精神科訪問診療の対応疾患と、疾患ごとに訪問だからできること

精神科訪問診療の対応疾患と、疾患ごとに訪問だからできること

この記事で扱うのは、精神科の訪問診療で対応できる疾患です。それぞれ訪問診療だからできることを整理します。

同じ「自宅で診る」でも、疾患によって効いてくるポイントが違います。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。症状の受け止め方や必要な対応は一人ひとり異なります。気になる症状があるときは、かかりつけ医または精神科・心療内科にご相談ください。

精神科の訪問診療で対応している疾患

こころの訪問診療の対応疾患です。

疾患訪問診療で効いてくるところ
統合失調症通院が続かない状態でも治療を継続できる。持続性注射剤(LAI。数週間に1回の注射で効き目が続くタイプの薬)に対応
うつ病動けない時期に治療を始められる。服薬と生活リズムを継続して確認
妊娠中・産後のうつ子どもを連れての通院が不要。自宅で相談できる
育児期のうつ同上。生活の場を見たうえでの助言ができる
双極性障害波のどの時期でも受診が途切れない
認知症連れて行く負担がない。生活の場での様子から判断できる
不安障害外出そのものが負担になる状態でも診療を受けられる

上記以外の疾患・症状にも対応できる場合があります。

疾患別に見た精神科訪問診療の意味

統合失調症

この病気で治療が途切れる最大の理由は、本人が受診の必要を感じにくいことです。通院を前提にすると、そもそも医療につながりません。

訪問診療では、外に出る必要がありません。また、飲み薬の管理が難しい場合、自宅で持続性注射剤(LAI)を使うことができます。服薬が安定しないことによる再発を防ぐうえで、この点は大きく効きます。

初期のサインは統合失調症の初期症状と家族が気づくサイン、家族の対応は統合失調症の家族の対応で扱っています。

うつ病

うつの時期は、予約を取る、着替える、家を出るという動作そのものが負担になります。「行こうと思っているのに行けない」状態が続くと、治療が始まりません。

訪問診療なら、その一連の動作が不要になります。訪問のたびに服薬の状況と生活のリズムを確認できるため、経過を追いやすくなります。

家族の接し方はうつ病の家族の接し方にまとめています。

妊娠中・産後のうつ、育児期のうつ

小さな子どもを連れて待合室で待つことは、大きな負担です。預け先がなければ受診自体をあきらめることになります。

訪問診療なら、自宅で診察を受けられます。生活の場を見たうえでの助言ができるという点も、この時期には意味があります。

双極性障害

気分の波があるため、調子の悪い時期は通院できず、良い時期は「もう大丈夫」と感じて通院をやめてしまうことがあります。

定期訪問なら、波のどの時期でも診療が途切れません。経過を続けて記録できるため、波のパターンをつかみやすくなります。

セルフチェックは躁うつ(双極性障害)のセルフチェック、重症化については双極性障害が重症化するとどうなるかで扱っています。

認知症

連れて行くこと自体が難しいのが、この疾患の特徴です。拒否が強い、道中で興奮するといった理由で、医療機関にたどり着けないことがあります。

訪問診療では、生活の場での様子をそのまま見られます。いつ、どんな場面で症状が強くなるのかが分かるため、環境の調整まで含めた対応ができます。介護保険の主治医意見書(要介護認定のときに主治医が書く書類)の作成にも対応しています。

行動・心理症状については認知症の行動・心理症状(BPSD)とは何か、介護の限界については認知症の介護が限界だと感じたときで扱っています。

不安障害

外出そのものが強い不安を伴う場合、通院が治療の障害になります。訪問診療なら、自宅という安全な場所で診療を受けられます。

精神科の訪問診療で自宅でできる検査・処置

できること内容
血液検査薬の影響や身体の状態を確認
尿検査
薬の処方自宅で受け取れます
点滴脱水などに対応
予防接種
持続性注射剤(LAI)服薬管理が難しい方の治療継続に

精神科の訪問診療で作成できる書類

制度を使うための診断書は、訪問時に作成できます。書類のために別途通院する必要がありません。

  • 自立支援医療(精神通院)診断書
  • 精神障害者保健福祉手帳 診断書
  • 障害年金(精神)診断書
  • 介護保険 主治医意見書
  • 成年後見 診断書・鑑定書
  • 傷病手当金 申請書
  • 訪問看護指示書
  • 診療情報提供書 ほか

精神科の訪問診療の対象になるかどうか

疾患名だけでなく、通院が困難かどうかで判断します。

  • 精神疾患により単独での通院が困難な方
  • 引きこもり等で外出が困難な方
  • 出産後・育児期のうつで、お子さまを連れての通院が難しい方
  • 認知症による周辺症状でお困りの方
  • 退院後の服薬管理や生活リズムの調整が必要な方

条件の詳細は精神科の訪問診療を受けられる条件、制度としての説明は精神科の訪問診療とは何かで扱っています。

算定の仕組みは精神科訪問診療の算定要件、受診の目安は精神疾患のセルフチェックにまとめています。

精神科の訪問診療で使える制度

訪問診療が始まるまでの4つの流れ

診断がつくと、使える制度が増えます。手続きの前に診断が必要なものが多いため、受診が入口になります。

制度内容窓口
自立支援医療(精神通院)精神科の医療費の自己負担が原則1割。所得に応じた月額上限市区町村
精神障害者保健福祉手帳各種の割引や支援。自治体により医療費助成市区町村
障害年金(精神)一定の状態が続いている場合の年金年金事務所
傷病手当金働けない期間の所得の補填加入している健康保険
介護保険訪問介護、デイサービス、ショートステイ地域包括支援センター
生活保護(医療扶助)医療費の自己負担なし市区町村

自立支援医療の自己負担の上限は、住民税非課税で収入が年826,500円以下なら月2,500円、それを超える場合は月5,000円、生活保護を受けている世帯は0円です。統合失調症・躁うつ病・うつ病・認知症等は「重度かつ継続」(長く医療が必要な状態として、負担の上限が別に定められる区分)の対象に含まれ、中間所得層でも上限が設けられます。

出典 東京都福祉局自立支援医療

こころの訪問診療では、自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金・介護保険の主治医意見書・傷病手当金などの診断書や申請書を訪問時に作成できます。書類のために別途通院する必要はありません。

対応疾患についてよくある質問

診断がついていなくても相談できますか

できます。まだ医療につながっていない方こそ、訪問診療の対象です。ご家族だけのご相談から始められます。

一覧にない疾患でも対応できますか

対応できる場合があります。まずはお電話でご確認ください。

身体の病気もあわせて診てもらえますか

精神科の診療が中心になります。身体の治療が必要な場合は、内科系の在宅医療との連携が必要になります。

認知症でも対応してもらえますか

対応疾患に含まれます。物忘れに伴う不安、妄想、興奮などの症状(BPSD)のご相談も含め、ご家族やケアマネジャーと連携しながら診療を行います。

産後のうつでも受けられますか

対象です。お子さまを連れての通院が難しい場合や、ご家族だけでのご相談でも構いません。

対象になるかは相談の段階で確認できます

通院が難しいときは、ご自宅での精神科診療という方法があります

こころの訪問診療 byミライメディカルクリニックは、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏へ精神科医が伺う訪問診療です。うつ病・統合失調症・双極性障害・認知症・不安障害などに対応し、基本は月2回の定期訪問。ご契約中の方には緊急連絡先をご案内し、24時間お電話でご相談いただけます。

  • 診療情報提供書はなくてもご相談いただけます
  • ご本人が同席されなくても、ご家族だけでのご相談から始められます
  • 自立支援医療をご利用の場合、自己負担は月2,500円〜が目安です
  • 自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書も作成できます

お電話でのご相談 03-6689-8121

疾患名だけで判断せず、いまの状況をお知らせください。住所と状態をお伝えいただければ、対応できるかその場で確認できます。

こころの訪問診療は、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏が対象です。診療情報提供書はなくてもご相談いただけます。

まとめ

こころの訪問診療の対応疾患は、統合失調症、うつ病、妊娠中・産後のうつ、育児期のうつ、双極性障害、認知症、不安障害です。

疾患によって、訪問診療で効いてくるポイントが違います。統合失調症では持続性注射剤(LAI)による治療継続、うつ病では動けない時期に治療を始められること、認知症では生活の場での様子から判断できることが大きく効きます。

自宅で血液検査、点滴、LAIまで対応でき、自立支援医療や障害年金などの診断書も訪問時に作成できます。対象かどうかは疾患名だけでなく、通院が困難かどうかで判断します。

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