精神科訪問診療の算定要件と診療報酬 令和8年度改定の点数で解説

精神科訪問診療の算定要件と診療報酬を令和8年度改定でわかりやすく解説

この記事は、医療・福祉の関係者の方に向けたものです。精神科の訪問診療に関わる診療報酬の建て付けを整理しています。内科系の在宅医療とは、算定する管理料や連携する訪問看護の枠組みが変わります。

中心になるのは在宅患者訪問診療料で、令和8年度改定では同一建物居住者以外890点、同一建物居住者215点です。算定できるのは週3回まで。この記事の点数はすべて令和8年度改定のものです。

※本記事は令和8年度診療報酬改定の内容をもとにした一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の算定可否を判断するものではありません。実際の算定にあたっては告示・通知および地方厚生局の取扱いをご確認ください。

精神科でも使う在宅患者訪問診療料(訪問して診察したときの診療報酬の項目)の基本

訪問診療の中心となるのが在宅患者訪問診療料です。

区分点数
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)1 同一建物居住者以外890点
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)1 同一建物居住者215点
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)2 同一建物居住者以外886点
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)2 同一建物居住者189点

令和8年度診療報酬改定時点。出典 厚生労働省令和8年度診療報酬改定 医科点数表(PDF)

算定の要件

  • 対象は「在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なもの」
  • 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)1は週3回まで、(Ⅰ)2は月1回まで
  • 初診料を算定する初診の日に訪問して診療を行った場合は算定できない
  • 往診料、在宅患者訪問看護・指導料などとは同一日に併算定できない組み合わせがある

「通院が困難」の判断が起点になります。 精神科の場合、身体的に歩行が可能であっても、精神症状により通院が成立しない状態が該当します。ひきこもり、意欲の低下、病識(自分が病気であるという自覚)の欠如、認知症による拒否などです。

対象の考え方は精神科の訪問診療を受けられる条件で患者・家族向けに整理しています。

精神科の在宅に関わる主な項目

精神科の在宅医療では、訪問診療料に加えて次のような項目が関わります。

項目位置づけ
精神科在宅患者支援管理料重症の精神疾患患者に対する計画的な在宅支援
在宅時医学総合管理料計画的な医学管理を行う場合の管理料
通院・在宅精神療法精神療法を行った場合
精神科訪問看護・指導料医療機関から訪問看護を行う場合
精神科訪問看護基本療養費訪問看護ステーションが行う場合
精神科退院時共同指導料退院時の連携

令和8年度改定では、精神科地域密着多機能体制加算(加算1 800点/加算2 250点/加算3 50点)が新設されました。施設基準には精神科の在宅・訪問の実績が組み込まれており、直近3か月の算定回数として、精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)および(Ⅲ)60回以上、訪問看護ステーションにおける精神科訪問看護基本療養費300回以上、精神科退院時共同指導料3回以上、在宅精神療法20回以上、精神科在宅患者支援管理料10回以上、在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料10回以上が挙げられています。これらは全部を満たすものではなく、定められた組み合わせのいずれかを満たす形です。

出典 厚生労働省令和8年度診療報酬改定の概要 11.重点的な対応が求められる分野(精神医療)(PDF)

訪問系の実績が施設基準に組み込まれたという点が、この改定の方向性を示しています。

精神科訪問看護との関係

訪問看護を開始するには、医師が発行する訪問看護指示書が必要です。

誰が訪問するか使う制度
医療機関の看護師など精神科訪問看護・指導料
訪問看護ステーション精神科訪問看護基本療養費

精神科の訪問看護は医療保険が中心になります。介護保険の訪問看護とは扱いが分かれるため、対象者の状態と主病名の確認が必要です。

役割の違いは精神科訪問診療と精神科訪問看護は何が違うかで整理しています。

精神科の患者負担と公費の関係

自立支援医療を使うと精神科の医療費が月2,500円からになることを示した図
2,500円は住民税非課税で年収826,500円以下の場合の上限額です。所得によって5,000円〜10,000円、生活保護世帯は0円になります

自己負担の軽減にはいくつかの制度が関わります。

制度内容
自立支援医療(精神通院医療)自己負担が原則1割。所得区分に応じた月額上限
高額療養費制度月の自己負担額の上限
生活保護(医療扶助)自己負担なし
精神障害者保健福祉手帳自治体により助成が付随する場合がある

自立支援医療の月額上限は次のとおりです。

区分上限月額
生活保護0円
低所得1(住民税非課税・収入年826,500円以下)2,500円
低所得2(住民税非課税・上記超)5,000円
中間所得層医療保険の自己負担限度額

「重度かつ継続」(長く医療が必要な状態として、負担の上限が別に定められる区分)に該当する場合、中間所得層1(住民税の所得割額(住民税のうち所得に応じてかかる部分)3万3千円未満)で5,000円、中間所得層2(同23万5千円未満)で10,000円、一定所得以上は経過措置として20,000円(令和9年3月31日まで)です。

出典 東京都福祉局自立支援医療

統合失調症、躁うつ病、うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害などが「重度かつ継続」の対象に含まれます。

患者・家族向けの費用の説明は精神科の訪問診療の費用はいくらかかるかにまとめています。

精神科訪問診療への紹介・連携の実務

医療機関や事業所から紹介いただく際の流れです。

1
ご連絡
電話またはWebから。患者さまの状況、住所、主病名、通院が困難な理由をお知らせください。
2
対応可否の確認
対応エリアと診療の範囲を確認します。三軒茶屋駅を基準に半径16km圏が対象です。
3
情報提供
診療情報提供書があればFAXまたは郵送でお送りください。無い場合もご相談いただけます。
4
初回訪問・契約
医師とスタッフが訪問し、病歴と服薬状況を確認して契約します。
5
定期訪問
月2回を基本に訪問します。訪問看護等との連携も調整します。

作成できる書類

  • 自立支援医療(精神通院)診断書
  • 精神障害者保健福祉手帳 診断書
  • 障害年金(精神)診断書
  • 介護保険 主治医意見書
  • 成年後見 診断書・鑑定書
  • 傷病手当金 申請書
  • 訪問看護指示書
  • 診療情報提供書 ほか

自宅で実施できる検査・処置

血液検査、尿検査、薬の処方、点滴、予防接種、持続性注射剤(LAI。数週間に1回の注射で効き目が続くタイプの薬)。LAIに対応しているため、服薬管理が困難な症例でも在宅での治療継続が可能です。

精神科訪問診療の対応エリア

三軒茶屋駅を基準に半径16km圏が対象です。

エリア範囲
世田谷区全域
目黒区・渋谷区全域
港区・新宿区全域
杉並・中野・品川・大田・狛江・調布・川崎市一部

境界付近の場合は、住所をお知らせいただければ対応可否を確認します。

精神科訪問診療の算定についてよくある質問

在宅患者訪問診療料は週何回まで算定できますか

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)1は週3回までです。(Ⅰ)2は月1回までとされています。

「通院が困難」はどのように判断しますか

在宅で療養を行っており通院が困難であることが要件です。精神科では、身体的に歩行が可能でも精神症状により通院が成立しない状態が該当します。

訪問看護と訪問診療は同一日に算定できますか

同一日に併算定できない組み合わせがあります。実際の運用は、算定する項目の組み合わせによって確認が必要です。

診療情報提供書がない場合も紹介できますか

できます。無い場合もご相談いただけます。

介護保険を利用している患者も対象になりますか

なります。訪問診療は医療保険の診療で、介護保険のサービスと併用できます。

紹介・連携のご相談を受け付けています

通院が難しいときは、ご自宅での精神科診療という方法があります

こころの訪問診療 byミライメディカルクリニックは、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏へ精神科医が伺う訪問診療です。うつ病・統合失調症・双極性障害・認知症・不安障害などに対応し、基本は月2回の定期訪問。ご契約中の方には緊急連絡先をご案内し、24時間お電話でご相談いただけます。

  • 診療情報提供書はなくてもご相談いただけます
  • ご本人が同席されなくても、ご家族だけでのご相談から始められます
  • 自立支援医療をご利用の場合、自己負担は月2,500円〜が目安です
  • 自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書も作成できます

お電話でのご相談 03-6689-8121

医療機関、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、行政機関からのご紹介・連携のご相談を受け付けています。

診療情報提供書がない場合もご相談いただけます。対応可否の確認は、住所と患者さまの状況をお知らせいただければその場でお答えできます。

まとめ

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)1は、令和8年度改定時点で同一建物居住者以外890点、同一建物居住者215点です。対象は「在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なもの」で、(Ⅰ)1は週3回まで算定できます。

精神科の在宅では、訪問診療料に加えて精神科在宅患者支援管理料、通院・在宅精神療法、精神科訪問看護・指導料などが関わります。令和8年度改定で新設された精神科地域密着多機能体制加算では、訪問系の算定実績が施設基準に組み込まれました。

患者負担については、自立支援医療(精神通院医療)により自己負担が原則1割となり、所得区分に応じた月額上限が設定されます。統合失調症、躁うつ病、うつ病、認知症等は「重度かつ継続」の対象に含まれます。

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