「独り言が多い人は病気なのか」。この調べ方をされる方が多くいます。
先に答えると、独り言だけでは病気とは言えません。 考えごとをしているとき、緊張しているとき、集中しているときに出るのは自然なことです。
問題になるのは、他の変化と重なったときです。何が重なると受診の対象になるのかを整理します。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。症状の受け止め方や必要な対応は一人ひとり異なります。気になる症状があるときは、かかりつけ医または精神科・心療内科にご相談ください。
目次
独り言そのものは病気ではない

独り言は、次のような場面で誰にでも出ます。
- 考えを整理しているとき
- 作業の手順を確認しているとき
- 緊張しているとき
- 一人で過ごす時間が長いとき
- 疲れているとき
つまり独り言の有無ではなく、内容と、他の変化があるかを見ます。
| 気にしなくてよい独り言 | 相談を検討する独り言 |
|---|---|
| 手順を確認している | 誰かと会話しているように見える |
| ため息のような短い言葉 | 相手がいるかのように受け答えしている |
| 本人に自覚がある | 本人に自覚がない |
| ほかに変化がない | 睡眠や対人関係にも変化がある |
「誰かと会話しているように見える」というのが、ひとつの分かれ目です。 うなずく、笑う、反論するといった反応が伴う場合、幻聴が関わっている可能性があります。
統合失調症ははっきりした症状の前に生活が変わる
統合失調症は、幻聴や被害的な考えといった分かりやすい症状が出る前に、生活の様子が先に変わることがあります。
上の段階ほど「本人の性格や生活態度の問題」として扱われがちです。ここで受診につながると、その後が変わります。
若い世代で起こりやすい時期がある
統合失調症は、思春期から30歳前後にかけて発症することが多いとされています。
この時期は、進学、就職、一人暮らしといった環境の変化と重なります。そのため「環境に慣れないだけ」「五月病のようなもの」と受け取られ、受診が遅れる要因になります。
環境の変化があった時期に始まった、というだけでは説明を打ち切らないでください。 数か月続いているなら、それは適応の問題を超えている可能性があります。
独り言のほかに家族が気づける順番
同居していると、変化が少しずつなので気づきにくくなります。次の順で確認すると整理できます。
| 確認する点 | 見るもの |
|---|---|
| 睡眠 | 何時に寝て何時に起きているか。眠れているか |
| 食事 | 一緒に食べているか。量が減っていないか |
| 外出 | 週に何回外に出ているか |
| 対人 | 友人や同僚との連絡が続いているか |
| 身だしなみ | 入浴や着替えの頻度 |
| 会話 | かみ合っているか。話が飛ばないか |
| 独り言 | 内容。会話のように見えるか |
このうち睡眠と外出の回数は、数字で記録できます。 「なんとなく元気がない」より、「2週間で外出が1回」のほうが医師に伝わります。
統合失調症で受診が遅れると何が起きるか
早い段階で医療につながると、症状が強くなる前に手を打てる場面が増えます。逆に遅れると、次のことが起こりやすくなります。
- 学業や仕事の中断が長くなる
- 対人関係が切れて孤立が進む
- 症状が固定して生活の立て直しに時間がかかる
- 本人の医療への抵抗が強くなる
- 家族の消耗が進む
とくに最後の2つが問題になります。 時間が経つほど、本人は「今まで放っておかれた」と感じ、家族は疲れ切っています。この状態から受診につなげるのは、初期より難しくなります。
独り言について本人にどう切り出すか
気づいても、どう言えばいいか分からずに時間が過ぎます。切り出し方には向き不向きがあります。
| 避けたい言い方 | 使える言い方 |
|---|---|
| 独り言が多いよ、大丈夫? | 最近よく眠れてる? |
| 病院に行ったほうがいい | 眠れないのがつらそうだから、一度みてもらおうか |
| おかしいよ、前と違う | 疲れてるように見えるから心配してる |
| 気のせいだよ | 私には聞こえないけど、あなたには聞こえるんだね |
症状を指摘するのではなく、困っていることから入るのが基本です。独り言や幻聴は本人にとって現実なので、そこを入口にすると反発されます。眠れない、疲れる、集中できないといった、本人も困っている部分なら受け入れられます。
受診の理由も「精神科に行こう」ではなく、「眠れないから」「体がつらいから」で構いません。入口はどこでも、診察の場で必要な話につながります。
独り言を指摘しても受診につながらないとき
統合失調症では、本人が病気だと感じていないことが多くあります。「調子が悪い」ではなく「周りがおかしい」と受け取っているためです。
| 効きにくい言い方 | 通りやすい言い方 |
|---|---|
| 統合失調症かもしれない | 眠れていないみたいだから診てもらおう |
| 精神科に行こう | まず体の調子を見てもらおう |
| おかしいから病院へ | 私が心配だから付き合ってほしい |
それでも動かない場合、家族だけで医療機関に相談できます。外出そのものが難しい場合は、自宅に医師が伺う訪問診療という方法があります。
進め方は本人が受診したがらないときの進め方で扱っています。
チェックの形で確認したい場合は統合失調症セルフチェックを、家族の関わり方は統合失調症の家族の対応をご覧ください。
医療機関のほかに相談できる先
医療機関に行く前でも、相談できる窓口があります。
| 相談先 | 対象と内容 |
|---|---|
| 地域包括支援センター | 高齢者全般。認知症の相談、介護保険の申請 |
| 精神保健福祉センター | 各都道府県・政令市に設置。精神保健の相談 |
| 保健所 | 精神保健の相談、訪問相談 |
| ケアマネジャー | 介護保険を使っている場合 |
| 家族会 | 同じ立場の人と話せる場 |
| かかりつけ医 | 紹介や助言 |
高齢の方については地域包括支援センター、それ以外は保健所や精神保健福祉センターが入口になります。「どこに相談していいか分からない」という状態のまま時間が過ぎるのが、いちばん避けたい形です。
統合失調症の初期症状についてよくある質問
独り言が多いだけで病気ですか
独り言だけでは判断できません。誰かと会話しているように見えるか、睡眠や対人関係にも変化があるかを合わせて見ます。
初期症状はどのくらい続いたら受診の対象ですか
数か月続き、生活に影響が出ているなら相談の対象です。環境の変化があった時期でも、それだけで説明を打ち切らないでください。
何歳ごろに始まりますか
思春期から30歳前後にかけて発症することが多いとされています。進学や就職の時期と重なるため、環境の問題と受け取られやすくなります。
本人に自覚がありません
この病気ではよくあることです。ご家族だけで医療機関に相談できます。
何科を受診すればいいですか
精神科です。通院が難しい場合は、自宅に医師が伺う訪問診療でも診察を受けられます。
外に出るのが難しいときは自宅での診療という方法があります
こころの訪問診療 byミライメディカルクリニックは、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏へ精神科医が伺う訪問診療です。うつ病・統合失調症・双極性障害・認知症・不安障害などに対応し、基本は月2回の定期訪問。ご契約中の方には緊急連絡先をご案内し、24時間お電話でご相談いただけます。
- 診療情報提供書はなくてもご相談いただけます
- ご本人が同席されなくても、ご家族だけでのご相談から始められます
- 自立支援医療をご利用の場合、自己負担は月2,500円〜が目安です
- 自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書も作成できます
お電話でのご相談 03-6689-8121
長い期間、外に出られない状態が続いている場合、通院を前提にすると治療そのものが始まりません。こころの訪問診療は精神科医が自宅に伺う診療で、統合失調症も対応疾患に含まれます。
長期間医療につながっていない方こそ、訪問診療の対象です。初回から診察にこだわらず、ご本人のペースに合わせて段階的に関係をつくることもできます。飲み薬の管理が難しい場合、持続性注射剤(LAI。数週間に1回の注射で効き目が続くタイプの薬)を自宅で使うこともできます。
まずはご家族からのご相談だけでも構いません。
まとめ
独り言そのものは病気ではありません。考えごとをしているときや緊張しているときに、誰にでも出ます。分かれ目は、誰かと会話しているように見えるかどうかと、他の変化と重なっているかどうかです。
統合失調症は、幻聴や被害的な考えが出る前に、睡眠、成績や仕事の質、対人関係、身だしなみといった生活の様子が先に変わります。この段階は「怠けている」と受け取られやすく、受診が遅れる要因になります。
思春期から30歳前後に発症することが多く、進学や就職の時期と重なります。環境の変化があった時期でも、数か月続いているなら適応の問題を超えている可能性があります。本人に自覚がないことが多く、家族だけで相談できる医療機関があります。
