物忘れ外来は、物忘れを専門に診る外来です。ただ、行ったことがない人にとっては、何をされるのか分からないまま予約するのは不安です。
何を調べているのかを知ると、受ける意味が変わります。 認知症かどうかを判定しているだけではありません。
当日の流れと検査の中身を整理します。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。症状の受け止め方や必要な対応は一人ひとり異なります。気になる症状があるときは、かかりつけ医または精神科・心療内科にご相談ください。
目次
物忘れ外来は何をするところか
物忘れの原因を調べ、対応を決めるための外来です。名称は医療機関によって、認知症外来、メモリークリニックなどとも呼ばれます。
診療科としては、神経内科、精神科、脳神経外科、老年科などが担当していることが多くあります。
| 調べること | 目的 |
|---|---|
| 記憶や認知の働き | どの程度、どんな種類の低下があるか |
| 血液の状態 | 甲状腺の機能、ビタミンの不足など、治せる原因がないか |
| 脳の画像 | 萎縮の程度、出血や腫瘍、水頭症などがないか |
| 生活の状況 | 服薬、金銭管理、火の始末など、どこが回らなくなっているか |
| 気分の状態 | うつが背景にないか |
「認知症かどうか」だけを見ているのではありません。 治せる原因を探しているという点が重要です。
治せる原因が見つかることがある
物忘れの背景に、治療で改善する状態が隠れていることがあります。
- 甲状腺の機能が低下している
- ビタミンB12や葉酸が不足している
- 薬の影響(睡眠薬、抗不安薬、複数の薬の組み合わせ)
- うつ状態
- 慢性硬膜下血腫(頭を打ったあと、しばらくしてから脳の表面に血がたまるもの)、正常圧水頭症(脳の周りの水が増えて、歩きにくさや物忘れが出るもの)など
とくに高齢者では、うつが認知症のように見えることがあります。これは治療で戻る可能性がある状態です。詳しくは老人性うつとは何かで扱っています。
検査を受けずに「年のせい」で済ませると、この可能性ごと見送ることになります。
物忘れ外来の当日の流れ

医療機関によって差はありますが、おおよその流れです。
初診は合計で1〜2時間程度を見ておくと安心です。画像検査が別日になる場合は2回に分かれます。
家族が同席する意味
本人だけでは伝わらない情報があります。
- いつから変わったか
- 生活のどこが回らなくなったか
- 同じことを何度聞くか
- 道に迷ったことがあるか
- 服薬や金銭管理の状況
本人は取り繕うことがあります。 家族が別に伝えられる時間があるかを、予約時に確認しておくとよい場合があります。
物忘れ外来の検査で何を見ているか
認知機能の検査
質問に答える形式で、記憶、見当識(いまの日付・場所・相手が分かる感覚)、計算、言葉などを確認します。長谷川式やMMSEといった検査が使われます。
これは点数で病名を決めるものではなく、どの働きがどの程度低下しているかを把握するものです。同じ点数でも、低下している部分が違えば意味が変わります。
緊張すると本来より低く出ることがあります。体調の悪い日や、極端に不安が強い日は避けたほうが実態に近い結果になります。
血液検査と画像検査
血液検査では、甲状腺の機能、ビタミンB12や葉酸、肝臓や腎臓の状態などを確認します。治せる原因を探すための検査です。
画像検査では、脳の萎縮の程度に加えて、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症といった、手術で改善する可能性のある状態がないかを確認します。
物忘れ外来の受診の準備
持っていくと診察が早く進みます。
| 持ち物 | 理由 |
|---|---|
| お薬手帳(すべての薬) | 薬が原因のことがあります |
| 健康診断の結果 | 身体の状態の参考になります |
| 気になった出来事のメモ | いつ、どんな場面で、何が起きたか |
| 保険証、医療証 | ー |
| 紹介状(あれば) | なくても受診できる医療機関が多くあります |
メモは日付つきで書いておくと、経過が伝わりやすくなります。「半年前から」でも構いません。
自宅でできるチェックは認知症セルフチェックにまとめています。受診の目安を整理するためのもので、診断ではありません。
本人が物忘れ外来に行きたがらない場合
物忘れ外来で最も多い行き詰まりが、本人が受診を拒むことです。
| 効きにくい言い方 | 通りやすい言い方 |
|---|---|
| 認知症かもしれないから | 健康診断のついでに頭の検査も受けておこう |
| 物忘れ外来に行こう | 血液検査を受けに行こう |
| 心配だから | 私が一緒に見てもらいたいから付き合ってほしい |
それでも動かない場合、家族だけで相談できる医療機関があります。また、通院自体が難しい場合には、自宅に医師が伺う訪問診療という方法があります。
進め方は本人が受診したがらないときの進め方で扱っています。
診断がついた後にできること
受診の意味は診断だけではありません。
- 治せる原因が見つかれば、そこを治療する
- 介護保険の申請につながる(主治医意見書が必要になります)
- 自立支援医療や手帳など、使える制度が分かる
- 進み方の見通しが立ち、準備ができる
- 家族が相談できる相手ができる
介護保険の主治医意見書(要介護認定のときに主治医が書く書類)は、かかりつけの医師が作成します。訪問診療でも作成できます。
行方不明への備えは認知症の徘徊で探す場所、精神科の訪問診療で何ができるかは精神科の訪問診療とはにまとめています。
物忘れ外来のほかに相談できる先
医療機関に行く前でも、相談できる窓口があります。
| 相談先 | 対象と内容 |
|---|---|
| 地域包括支援センター | 高齢者全般。認知症の相談、介護保険の申請 |
| 精神保健福祉センター | 各都道府県・政令市に設置。精神保健の相談 |
| 保健所 | 精神保健の相談、訪問相談 |
| ケアマネジャー | 介護保険を使っている場合 |
| 家族会 | 同じ立場の人と話せる場 |
| かかりつけ医 | 紹介や助言 |
高齢の方については地域包括支援センター、それ以外は保健所や精神保健福祉センターが入口になります。「どこに相談していいか分からない」という状態のまま時間が過ぎるのが、いちばん避けたい形です。
物忘れ外来についてよくある質問
物忘れ外来は何科ですか
神経内科、精神科、脳神経外科、老年科などが担当していることが多くあります。医療機関によって異なります。
どのくらい時間がかかりますか
初診で1〜2時間程度が目安です。画像検査が別日になる場合は2回に分かれます。
テストはどんな内容ですか
質問に答える形式の検査です。記憶、日付や場所の認識、計算、言葉などを確認します。長谷川式やMMSEなどが使われます。
紹介状は必要ですか
不要な医療機関が多くあります。予約時に確認してください。
本人が行きたがりません
健康診断や血液検査という入口から入る方法があります。それでも難しい場合は、自宅に医師が伺う訪問診療という方法もあります。
通院が難しいときは自宅での診療という方法があります
こころの訪問診療 byミライメディカルクリニックは、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏へ精神科医が伺う訪問診療です。うつ病・統合失調症・双極性障害・認知症・不安障害などに対応し、基本は月2回の定期訪問。ご契約中の方には緊急連絡先をご案内し、24時間お電話でご相談いただけます。
- 診療情報提供書はなくてもご相談いただけます
- ご本人が同席されなくても、ご家族だけでのご相談から始められます
- 自立支援医療をご利用の場合、自己負担は月2,500円〜が目安です
- 自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書も作成できます
お電話でのご相談 03-6689-8121
物忘れが気になる段階では、本人が受診に前向きでないことがほとんどです。こころの訪問診療は精神科医が自宅に伺う診療で、認知症も対応疾患に含まれます。
自宅で血液検査を行うこともでき、介護保険の主治医意見書の作成にも対応しています。ご本人が同席されない状態での、ご家族だけのご相談から始められます。
まとめ
物忘れ外来は、物忘れの原因を調べて対応を決めるための外来です。認知症かどうかだけを見ているのではなく、甲状腺の機能低下やビタミンの不足、薬の影響、うつなど、治せる原因を探しています。
当日は、問診、認知機能の検査、血液検査、画像検査という流れで、初診は1〜2時間程度が目安です。家族が同席して、生活のどこが回らなくなったかを伝える部分が大きくなります。
検査の点数で病名が決まるわけではありません。どの働きがどの程度低下しているかを把握するためのものです。本人が行きたがらない場合は、健康診断や血液検査という入口から入る方法や、自宅に医師が伺う訪問診療という方法があります。
