精神科訪問看護と訪問診療は何が違う?誰が来るかとできることの一覧

精神科訪問看護と訪問診療は何が違う?誰が来るかとできることの一覧

この記事で扱うのは、精神科の訪問サービスです。調べていると訪問診療と訪問看護という2つの言葉が出てきます。名前が似ているため、同じものだと思われがちです。

違いは単純です。訪問診療は医師が来て、訪問看護は看護師が来ます。 そして、できることが変わります。

どちらが必要か、両方使えるのかを整理します。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。症状の受け止め方や必要な対応は一人ひとり異なります。気になる症状があるときは、かかりつけ医または精神科・心療内科にご相談ください。

精神科の訪問診療と訪問看護は誰が来るかが違う

往診と訪問診療の違い

まず全体像です。

精神科訪問診療精神科訪問看護
誰が来るか医師(看護師や精神保健福祉士(生活面や制度の相談に乗る精神科の専門職)が同行することがある)看護師、精神保健福祉士、作業療法士など
主な目的診察、診断、薬の処方と調整生活の支援、服薬の確認、体調の観察、相談
頻度の目安月2回程度の定期訪問週1〜3回程度(状態や指示による)
1回の時間比較的短い30分〜1時間程度
開始に必要なもの医療機関への相談医師の指示書
使う保険医療保険医療保険(精神科では医療保険が中心)

訪問看護を始めるには医師の指示書がいる

ここが実務上の大きな違いです。訪問看護は、単独では始められません。医師が発行する訪問看護指示書が必要になります。

つまり、主治医がいない状態では訪問看護も始まらないということです。かかりつけの医療機関がない場合、まず医師につながる必要があります。

こころの訪問診療では訪問看護指示書の作成に対応しています。

精神科の訪問診療と訪問看護でできること・できないことの違い

内容訪問診療(医師)訪問看護(看護師など)
診察と診断できるできない
薬の処方できるできない
薬の調整できる状況を医師に伝える
血液検査・尿検査できる医師の指示のもとで採血を行うことがある
点滴できる医師の指示のもとで実施
持続性注射剤(LAI。数週間に1回の注射で効き目が続くタイプの薬)できる
服薬できているかの確認訪問時に確認頻度が高いぶん細かく見られる
生活のリズムや家事の支援助言一緒に取り組む
家族の相談できるできる
診断書などの書類作成できるできない

診断と処方は医師にしかできません。一方、生活に密着した支援は訪問看護のほうが向いています。役割が違うので、どちらが優れているという関係ではありません。

こころの訪問診療でできること

自宅でできる検査・処置は、血液検査、尿検査、薬の処方、点滴、予防接種、持続性注射剤(LAI)です。

LAIに対応していることには意味があります。飲み薬の管理が難しい方でも、自宅で治療を続けられるためです。

作成できる書類は次のとおりです。

  • 自立支援医療(精神通院)診断書
  • 精神障害者保健福祉手帳 診断書
  • 障害年金(精神)診断書
  • 介護保険 主治医意見書
  • 成年後見 診断書・鑑定書
  • 傷病手当金 申請書
  • 訪問看護指示書
  • 診療情報提供書 ほか

精神科では実際に両方を使うことが多い

訪問診療と訪問看護は、どちらかを選ぶものではありません。組み合わせて使う形が一般的です。

1
訪問診療で治療の方針を決める
月2回程度の訪問で、診察と薬の調整を行います。
2
訪問看護で日々の状態を見る
週に数回訪問し、服薬の状況、体調、生活の様子を確認します。
3
気づいたことが医師に戻る
訪問看護が把握した変化が医師に共有され、次の診察の材料になります。
4
必要に応じて方針を変える
薬の調整や訪問の頻度を見直します。

医師が月2回しか会えない部分を、訪問看護が埋める形になります。症状が不安定な時期ほど、この組み合わせが効きます。

精神科訪問診療と訪問看護のどちらから相談すればよいか

状況によって入口が変わります。

いまの状況先に相談する先
かかりつけの精神科がない訪問診療(医師)から
通院しているが外出が難しくなってきた通院先に相談し、必要なら訪問診療へ
主治医はいるが日々の生活が不安定主治医に訪問看護の指示書を相談する
退院を控えている退院先の病院と、訪問診療・訪問看護の両方を調整
家族だけで抱えていて誰にも相談していないどちらでもよいが、まず相談だけしてみる

判断がつかない場合も、相談の段階で整理できます。こころの訪問診療では、ご家族だけでのご相談から始められます。

費用はどうなるか

どちらも医療保険の診療です。訪問診療の費用の目安は次のとおりです。

区分目安
1割負担(自立支援医療等を含まない)約6,000〜9,000円/月
3割負担約18,000〜27,000円/月
自立支援医療を利用2,500円〜/月

自立支援医療(精神通院医療)は訪問看護にも使えます。両方を利用しても、月額の上限は所得区分ごとに決まっているため、上限に達したあとは増えません。

費用の詳細は精神科の訪問診療の費用はいくらかかるかにまとめています。

精神科訪問看護と介護保険の関係

介護保険を使っている場合の関係も整理しておきます。

サービス保険
精神科訪問診療医療保険
精神科訪問看護医療保険(精神科では医療保険が中心)
訪問介護(ヘルパー)介護保険
デイサービス、ショートステイ介護保険
居宅療養管理指導(介護保険の給付区分のひとつ。医師などが自宅で療養上の管理や指導を行うもの)介護保険

介護保険を使っているから訪問診療が受けられない、ということはありません。医療と介護は別の枠組みで、併用できます。

費用の目安は精神科の訪問診療の費用、対象になる条件は訪問診療を受けるには、対応できる疾患は精神科訪問診療の対応疾患にまとめています。

精神科の訪問診療と訪問看護で使える制度

診断がつくと、使える制度が増えます。手続きの前に診断が必要なものが多いため、受診が入口になります。

制度内容窓口
自立支援医療(精神通院)精神科の医療費の自己負担が原則1割。所得に応じた月額上限市区町村
精神障害者保健福祉手帳各種の割引や支援。自治体により医療費助成市区町村
障害年金(精神)一定の状態が続いている場合の年金年金事務所
傷病手当金働けない期間の所得の補填加入している健康保険
介護保険訪問介護、デイサービス、ショートステイ地域包括支援センター
生活保護(医療扶助)医療費の自己負担なし市区町村

自立支援医療の自己負担の上限は、住民税非課税で収入が年826,500円以下なら月2,500円、それを超える場合は月5,000円、生活保護を受けている世帯は0円です。統合失調症・躁うつ病・うつ病・認知症等は「重度かつ継続」(長く医療が必要な状態として、負担の上限が別に定められる区分)の対象に含まれ、中間所得層でも上限が設けられます。

出典 東京都福祉局自立支援医療

こころの訪問診療では、自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金・介護保険の主治医意見書(要介護認定のときに主治医が書く書類)・傷病手当金などの診断書や申請書を訪問時に作成できます。書類のために別途通院する必要はありません。

訪問診療と訪問看護の違いについてよくある質問

精神科訪問看護では何をしてもらえますか

服薬の確認、体調と生活の様子の観察、相談への対応、生活のリズムを整える支援などです。診断や処方はできません。

訪問看護だけを利用できますか

医師の訪問看護指示書が必要です。主治医がいない場合は、先に医師につながる必要があります。

両方使うと費用は倍になりますか

自立支援医療を使っている場合、所得区分ごとの月額上限があるため、上限に達したあとは増えません。

訪問診療はどのくらいの頻度で来ますか

基本は月2回の定期訪問です。状態に応じて間隔を調整します。

家族だけで相談してもいいですか

構いません。こころの訪問診療では、ご本人が同席されない状態でのご相談から始められます。

訪問診療と訪問看護の組み合わせも相談できます

通院が難しいときは、ご自宅での精神科診療という方法があります

こころの訪問診療 byミライメディカルクリニックは、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏へ精神科医が伺う訪問診療です。うつ病・統合失調症・双極性障害・認知症・不安障害などに対応し、基本は月2回の定期訪問。ご契約中の方には緊急連絡先をご案内し、24時間お電話でご相談いただけます。

  • 診療情報提供書はなくてもご相談いただけます
  • ご本人が同席されなくても、ご家族だけでのご相談から始められます
  • 自立支援医療をご利用の場合、自己負担は月2,500円〜が目安です
  • 自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書も作成できます

お電話でのご相談 03-6689-8121

どちらが必要か、両方入れたほうがよいかは、いまの状態によって変わります。こころの訪問診療では、診察と処方に加えて、訪問看護指示書の作成にも対応しています。

医療・福祉関係者からの紹介や連携のご相談も受け付けています。すでに訪問看護が入っている場合の連携についても、ご相談ください。

まとめ

精神科の訪問診療は医師が来て診察と処方を行い、精神科訪問看護は看護師などが来て生活の支援と状態の観察を行います。診断と処方は医師にしかできません。

訪問看護を始めるには医師の訪問看護指示書が必要なので、主治医がいない場合は先に医師につながる必要があります。

実際には、月2回程度の訪問診療で方針を決め、週に数回の訪問看護で日々の状態を見る、という組み合わせが多くなります。どちらも医療保険の診療で、自立支援医療を使えば所得区分ごとの月額上限が適用されます。介護保険のサービスとも併用できます。

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