「気分の浮き沈みが激しい」「調子がいい時期と動けない時期の差が大きい」。そう感じて調べていくと、双極性障害(躁うつ病)という言葉に行き当たります。
ただ、この病気は本人が自分で気づきにくいという特徴があります。つらいのはうつの時期で、調子がいい時期は「本来の自分に戻った」と感じるためです。結果として、うつ病として治療を受けている期間が長くなることがあります。
下に本人用と家族用の2つを用意しました。両方に当てはまるものがあるなら、受診の対象です。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。症状の受け止め方や必要な対応は一人ひとり異なります。気になる症状があるときは、かかりつけ医または精神科・心療内科にご相談ください。
目次
躁鬱のセルフチェック(本人用)
過去に「調子がよすぎた時期」がなかったかを思い出しながら選んでください。いまの状態ではなく、これまでで最も調子がよかった数日〜数週間を思い浮かべます。
※このチェックは受診の目安を整理するためのもので、診断ではありません。当てはまる数が少なくても、生活に支障が出ているなら受診の対象になります。医療機関では、問診を軸に、過去の経過や家族から見た様子を合わせて判断します。
躁鬱のセルフチェック(家族用)
本人が思い出せない部分は、家族のほうがよく覚えています。
ご本人の様子について、この1〜2年を振り返って当てはまるものを選んでください。
躁鬱は本人より周囲が先に気づく
双極性障害は、気分が高まる時期(躁・軽躁)と落ち込む時期(うつ)を繰り返す病気です。
医療機関を受診するきっかけになるのは、ほとんどがうつの時期です。動けない、眠れない、何も楽しめない。この状態はつらいので、本人が助けを求めます。
一方で躁や軽躁の時期は、本人にとって苦痛ではありません。眠らなくても平気、次々にアイデアが浮かぶ、気が大きくなる。この状態を「調子がいい」と受け取ると、医師には伝わりません。
| 時期 | 本人の感じ方 | 周囲から見えること |
|---|---|---|
| うつの時期 | つらい。助けてほしい | 動かない、口数が減る、寝てばかり |
| 軽躁の時期 | 調子がいい。本来の自分 | よくしゃべる、寝ない、買い物が増える |
| 躁の時期 | 何でもできる感覚 | 話が飛ぶ、怒りっぽい、金銭や対人のトラブル |
だから、家族が「あのときは様子が違った」と伝えられるかどうかが、診断の分かれ道になります。
躁鬱とうつ病は治療の方向が違う

見分けが重要なのは、治療の中身が変わるためです。
うつ病では抗うつ薬が中心になりますが、双極性障害では気分安定薬などを軸に組み立てます。躁の時期があることを知らないまま抗うつ薬だけで進めると、気分の波が扱いにくくなることがあります。
つまり「うつ病の治療で思うようによくならない」という状況の裏に、まだ伝わっていない躁の時期が隠れていることがあります。
躁鬱はどうやって診断されるのか
医療機関では、問診を軸に、必要に応じて質問票や検査を組み合わせて判断します。気分の状態を数値でとらえる尺度としては、厚生労働省の国民生活基礎調査でも使われているK6(国の調査で使われている、こころの状態を点数で表す6項目の質問)のように、公的な調査で用いられているものがあります。
参考 島根県が公開するK6日本語版の質問票(PDF)
ただし、こうした尺度は「いまの状態の重さ」を測るもので、それだけで病名が決まるわけではありません。過去の経過をどれだけ具体的に伝えられるかが、実際には大きく効いてきます。
受診のときに持っていくと伝わるもの
- 落ち込みが始まった時期と、いまも続いているかどうか
- 「調子がよすぎた」時期があれば、その時期と具体的な様子
- 睡眠時間の変化(何時に寝て何時に起きているか)
- 仕事や学校を休んだ日数
- 家族から見て気になった出来事
- すでに飲んでいる薬があればその内容
日付と出来事を並べたメモが1枚あれば十分です。記憶をその場で引き出すより正確に伝わります。
躁鬱は気分の波より生活のほうが先に壊れる
双極性障害でつらいのは症状そのものだけではありません。躁の時期の行動が、あとから生活に響くことがあります。
- 仕事上のトラブルや退職
- 金銭的な負担
- 家族や友人との関係の悪化
- そのあとのうつの時期に、それらが重くのしかかる
だからこそ、波に気づいた時点で相談することに意味があります。落ち込んでから動くより、間に合う場面が増えます。
躁鬱で受診が続かない・本人が行きたがらないとき
この病気で難しいのは、受診の継続です。
うつの時期は動けないので通院できず、調子が戻ると「もう大丈夫」と感じて通院をやめてしまう。この繰り返しで治療が途切れることがあります。
そのときの手段として、通院せずに自宅で診療を受ける方法があります。
| 状況 | 取れる方法 |
|---|---|
| うつの時期で外出できない | 訪問診療で自宅に医師が来る |
| 本人に受診の自覚がない | 家族だけで先に相談する |
| 通院が途切れがち | 定期訪問で経過を続けて見てもらう |
| 服薬が安定しない | 訪問のたびに服薬状況を確認して調整する |
本人が受診したがらないときの進め方は本人が受診したがらないときの進め方で詳しく扱っています。重症化したときに何が起きるかは双極性障害が重症化するとどうなるかにまとめました。
重症化として何が起きるかは双極性障害が重症化するとどうなるか、接し方は双極性障害や境界性パーソナリティ障害の人との接し方、ほかの症状も気になる場合は精神疾患のセルフチェックから入れます。
躁うつのセルフチェックについてよくある質問
チェックで当てはまる数が多いと双極性障害ですか
違います。このチェックは受診の目安を整理するためのもので、診断ではありません。当てはまる数が少なくても生活に支障が出ているなら受診の対象になります。
気分の波は誰にでもあるのではないですか
あります。判断の分かれ目は、期間の長さと生活への影響です。数日以上続き、仕事や人間関係、金銭面に実害が出ているかどうかを見ます。
家族が受診を勧めても本人が動きません
ご家族だけで医療機関に相談することができます。こころの訪問診療でも、ご本人が同席されない状態でのご相談から始められます。
うつ病と診断されていますが双極性障害の可能性はありますか
うつの時期に受診することが多いため、双極性障害がうつ病として扱われている期間が生じることがあります。過去に調子がよすぎた時期があるなら、次の受診で必ず伝えてください。
躁鬱の診断はどこで受けられますか
精神科または心療内科です。すでにかかりつけ医がいる場合は、そこから紹介してもらう方法もあります。通院が難しい場合は、自宅に医師が伺う訪問診療でも診察を受けられます。
軽い躁の状態でも診断の対象になりますか
なります。はっきりした躁状態だけでなく、数日続く軽い高まり(軽躁)も判断の材料になります。本人が「調子がよかっただけ」と受け取っている時期こそ、医師に伝える価値があります。
通院が難しいときは自宅での診療という方法があります
こころの訪問診療 byミライメディカルクリニックは、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏へ精神科医が伺う訪問診療です。うつ病・統合失調症・双極性障害・認知症・不安障害などに対応し、基本は月2回の定期訪問。ご契約中の方には緊急連絡先をご案内し、24時間お電話でご相談いただけます。
- 診療情報提供書はなくてもご相談いただけます
- ご本人が同席されなくても、ご家族だけでのご相談から始められます
- 自立支援医療をご利用の場合、自己負担は月2,500円〜が目安です
- 自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書も作成できます
お電話でのご相談 03-6689-8121
気分の波があると、調子の悪い時期ほど通院が難しくなります。こころの訪問診療は、精神科医が自宅に伺って診察と薬の調整を行う診療です。双極性障害も対応疾患に含まれます。
基本は月2回の定期訪問で、訪問のたびに服薬の状況と生活のリズムを確認します。通院が途切れて治療が振り出しに戻る、という状態を避けやすくなります。
ご本人が受診に前向きでない場合は、ご家族だけのご相談から始めていただけます。診療情報提供書がなくてもご相談いただけます。
まとめ
双極性障害は、本人がつらいと感じるうつの時期に受診し、調子がよかった時期は語られないことが多い病気です。そのため、家族が「あの時期は様子が違った」と伝えられるかどうかが診断の分かれ道になります。
このチェックは診断ではなく、受診の目安を整理するためのものです。当てはまる数が少なくても、落ち込みが2週間以上続いているなら受診の対象になります。
受診のときは、日付と出来事を並べたメモを1枚持っていくと正確に伝わります。うつの時期で外出できない、通院が続かないという場合には、自宅で診療を受ける方法もあります。
