プラノバールを飲み始めて気持ち悪くなった方へ。この吐き気は飲み始めの2〜3日がピークで、多くは1週間以内に軽くなります。エストロゲンの量が低用量ピルの2倍以上あるため、体が慣れるまでの間に出やすいという性質のものです。
この記事では、副作用がいつまで続くのか、吐き気を抑える飲み方、途中でやめた場合に何が起こるのか、そして受診が必要なサインを整理します。
東京慈恵会医科大学医学部卒業。現在は板橋中央総合病院の産婦人科医長として、妊婦健診や分娩管理、新生児対応をはじめ、切迫流産・早産の管理などにも従事。婦人科領域では、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌・卵巣癌に対する手術および化学療法(抗がん剤治療)まで幅広く対応。さらに、PMS(月経前症候群)や更年期障害など、ホルモンバランスに関連する女性特有の不調についても積極的に診療している。日本産科婦人科学会専門医として、日々多くの女性の健康課題に向き合い、臨床の第一線で診療を続けている。
目次
プラノバールの副作用でもっとも多いのは吐き気、ピークは飲み始めの2〜3日
プラノバールでいちばん多い訴えが吐き気と胃のむかつきです。飲み始めてから体がホルモン量に慣れるまでの反応なので、時間の経過とともに落ち着きます。
| 時期 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 服用後2〜6時間 | その日の吐き気がもっとも強く出る時間帯 |
| 1〜3日目 | 吐き気のピーク。頭痛や眠気を伴うこともある |
| 4〜7日目 | 多くの方で軽くなり始める |
| 1週間以降 | 残っていても程度が下がることが多い |
1週間を過ぎても嘔吐が続いて食事が取れない場合は、我慢せず処方元へ連絡してください。吐き気止めを一緒に処方してもらえることがあります。
プラノバールの副作用が強いと言われる理由はエストロゲンの量
プラノバールは中用量ピルに分類されます。日本で処方されている中用量ピルは実質的にこの薬だけです。低用量ピルと比べると、含まれるエストロゲン(エチニルエストラジオール)の量に差があります。
| プラノバール(中用量) | 低用量ピル | 超低用量ピル | |
|---|---|---|---|
| エチニルエストラジオール | 0.05mg | 0.03mg前後 | 0.02mg |
| 吐き気の出やすさ | 出やすい | 中程度 | 出にくい |
| 主な使いどころ | 短期間の出血コントロール | 長期の月経困難症、避妊 | 長期の月経困難症 |
エストロゲンには吐き気を起こす作用があり、量が多いほど出やすくなります。プラノバールが「きつい」と言われるのはこのためです。裏を返すと、出血を短期間で確実に止めたい場面ではこの量が必要になる、ということでもあります。
プラノバールの副作用一覧と、すぐ受診すべき血栓症のサイン
- 消化器:吐き気、嘔吐、食欲不振、胃の不快感
- 全身:頭痛、眠気、だるさ、めまい
- 体液の貯留:むくみ、体重が増えたように感じる
- 乳房:張り、痛み
- 出血:不正出血、飲み終えたあとの消退出血
- 肝機能:血液検査での肝機能の数値の変化
むくみによる体重変化は、飲み終えて数日でもとに戻ることがほとんどです。脂肪が増えたわけではありません。
頻度は低いものの、注意が必要な副作用として血栓症があります。次の症状が出た場合は服用を中止して受診してください。
| 症状 | 疑われる部位 |
|---|---|
| 片脚のふくらはぎの痛み、むくみ、握ると痛い | 脚の静脈 |
| 突然の息切れ、息を吸うと胸が痛い | 肺 |
| これまでにない激しい頭痛、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らない | 脳 |
| 急な視力低下、視野が欠ける | 網膜 |
いつもの頭痛と迷ったときは、「これまで経験したことのない強さかどうか」で判断してください。吐き気が続いているときの頭痛は見過ごされやすいため、注意が必要です。
プラノバールを使えない人と、副作用が出やすい人
添付文書では、次に当てはまる方への投与が禁じられています。
- 血栓性静脈炎、肺塞栓症またはその既往がある方
- 乳がん、子宮内膜がんなどエストロゲン依存性の悪性腫瘍がある方、その疑いがある方
- 重い肝障害がある方
- 前回の妊娠中に黄疸や持続する強いかゆみが出た方
- 妊娠中の方
禁忌ではないものの、副作用が強めに出やすいのは次のような場合です。
- もともと乗り物酔いをしやすい、胃腸が弱い
- 低用量ピルでも吐き気が出た経験がある
- 喫煙の習慣がある。とくに35歳以上では血栓症の危険が上がります
- 肥満、長時間の同じ姿勢が続く生活、脱水しやすい環境
吐き気を抑える飲み方は就寝前と、空腹を避けること
就寝前に飲んでピークを睡眠中に通す
もっとも効果がはっきりしている工夫です。吐き気が強くなるのは服用の2〜6時間後なので、その時間帯を眠っている時間に重ねます。毎日同じ時刻に飲む必要があるため、就寝時刻がばらつく方は「23時」など時刻を固定してください。
空腹のまま飲まない
胃が空の状態だと刺激を受けやすくなります。夕食後や、軽く何か口に入れてから飲むほうが楽です。ただし脂っこいものの直後は胃にとどまる時間が長くなるため、消化のよいものを選んでください。
吐き気止めを一緒に処方してもらう
あらかじめ「吐き気が出やすい」と伝えておけば、吐き気止めを一緒に出してもらえることがあります。実際に飲めなくなってから連絡するより、最初に相談しておくほうが確実です。
錠剤を割って量を減らすことはしない
つらいからといって半分に割ったり、1日おきにしたりすると、必要なホルモン量が保てず不正出血の原因になります。量の調整は自己判断ではなく処方元に相談してください。
飲んで2時間以内に吐いてしまったとき
薬が吸収されていない可能性があります。自己判断でもう1錠飲まず、処方元に連絡して指示を受けてください。
プラノバールを途中でやめると数日以内に出血が起こる
「つらいので4日でやめたい」という相談はよくあります。ここで知っておきたいのは、やめると2〜4日ほどで出血(消退出血)が始まるということです。プラノバールは飲んでいる間ホルモンを補って出血を抑え、飲み終えると一気に下がることで出血が起こる仕組みだからです。
- 生理を遅らせる目的で飲んでいた場合、やめた数日後に生理が来ます。予定していた日程に間に合わなくなることがあります
- 不正出血を止める目的で飲んでいた場合、途中でやめると出血が再び始まることがあります
- 飲み忘れが続いた場合も同じで、想定より早く出血が起こります
やめること自体が体に害を及ぼすわけではありませんが、飲んでいた目的が果たせなくなります。中断を考えるときは、その前に処方元へ連絡して、吐き気止めを足すか薬を変えるかを相談するほうが結果的に近道です。
プラノバールが処方される場面は生理日調整だけではない
プラノバールは生理日の調整で使われることが多いものの、承認されている効能はもっと広く、治療のために使われる場面が複数あります。飲む目的によって飲み方も期間も変わるため、自分がどれに当てはまるかを知っておくと副作用への向き合い方も変わります。
| 使う場面 | 飲み方の目安 |
|---|---|
| 機能性子宮出血(だらだら続く出血を止める) | 1日1錠を7〜10日間続ける |
| 月経困難症、月経周期異常、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全 | 1日1錠を月経周期第5日から約3週間続ける |
| 生殖補助医療での調節卵巣刺激の開始時期の調整 | 治療計画に合わせる |
出血を止める目的で使う場合は、飲み終えてから出血が起こることが前提の設計です。途中でやめれば出血が再開するため、期間を守ることに意味があります。
生理日を動かすときのスケジュールの立て方
旅行や試験に生理を重ねたくない場合、生理を遅らせる方法と早める方法があります。それぞれ、間に合う時期が違います。
| 遅らせる場合 | 早める場合 | |
|---|---|---|
| 飲み始める時期 | 生理予定日の5日ほど前から | ひとつ前の周期のうちから |
| 受診の目安 | 予定日の1週間前までに | 2周期前までに |
| 飲み終わりの設定 | ずらしたい日を過ぎるまで飲み続ける | 予定より早く生理を起こして済ませる |
| 出血が来る時期 | 飲み終えて2〜4日後 | 飲み終えて2〜4日後 |
| 間に合わないと | 直前だと調整できないことがある | 周期をまたぐため準備期間が要る |
よくある失敗が、直前になってから相談することです。遅らせる場合でも予定日の5日前には飲み始めている必要があるため、日程が決まった時点で相談しておくと確実です。早める方法はさらに前倒しの準備が要ります。
なお、生理日の調整を目的とした処方は自費になるのが一般的です。治療目的で使う場合とは費用の扱いが変わります。
飲み合わせで注意が必要な薬
| 種類 | 注意点 |
|---|---|
| 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど) | 一般的には併用できます。頭痛がつらいときは処方元に確認したうえで使用します |
| 一部の抗てんかん薬、抗結核薬 | ホルモンの分解が早まり、働きが弱まることがあります |
| 一部の抗菌薬 | 下痢を起こすと吸収が落ちることがあります |
| セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含むサプリ | ホルモンの働きを弱めるおそれがあります |
市販薬やサプリメントも含め、飲んでいるものはすべて処方時に伝えてください。ハーブ系のサプリは見落とされやすい部分です。
プラノバールの副作用についてよくある質問
プラノバールの気持ち悪さは何時間続きますか
1回の服用でいちばん強く感じるのは2〜6時間後で、その後は落ち着いていきます。日単位で見ると2〜3日目がピークです。
プラノバールを飲むと太りますか
むくみで一時的に体重が増えたように見えることはありますが、脂肪が増えているわけではありません。飲み終えて数日で戻ることがほとんどです。
プラノバールに避妊効果はありますか
プラノバールは避妊薬として承認されている薬ではありません。飲んでいる間も、妊娠を避けたいならコンドームなど別の方法を使ってください。
飲み終わったのに生理が来ません
多くは飲み終えて2〜4日で出血が始まります。1週間たっても来ない場合や、妊娠の可能性がある場合は受診してください。
副作用がつらいので低用量ピルに変えられますか
目的によります。長く続ける治療であれば低用量ピルや超低用量ピルへの変更を検討できますが、短期間で出血を止める目的では中用量が必要なことがあります。処方元に目的ごと相談してください。
まとめ
プラノバールの副作用でもっとも多い吐き気は、飲み始めの2〜3日がピークで、多くは1週間以内に軽くなります。就寝前に飲む、空腹で飲まない、必要なら吐き気止めを併用する。この3つでかなり楽になります。
途中でやめると数日以内に出血が起こり、飲んでいた目的が果たせなくなります。自己判断で中断する前に処方元へ連絡してください。ふくらはぎの痛み、突然の息切れ、これまでにない激しい頭痛は、様子を見ずに受診が必要なサインです。
