イソトレチノインの費用は、薬の値段だけでは決まりません。ニキビへの使用は国内で承認された効能ではないため自由診療になり、診察料が別にかかります。
通販サイトに並ぶ価格は個人輸入の代行料で、診察も用量の決定も妊娠の回避指導も含まれていません。医師の処方でかかるのは診察料と薬剤費で、1クール(4〜6か月)の総額で見るのが基本です。
妊娠中・妊娠の可能性がある方は使えません。 イソトレチノインには催奇形性があります。海外の添付文書では、女性は服用開始の1か月前から服用中、終了後1か月までの確実な避妊、男性も服用中と終了後1か月の避妊が求められています(米国添付文書)。日本の医療機関では終了後6か月までを求める方針もあり、期間は処方する医師が決めます。当院の方針は診察でお伝えします。自己判断で短くしないでください。
総額は、1日に飲む量と期間、診察の回数で決まります。 当院(ミライメディカルクリニック)では、診察のときに1日の用量と想定する期間をお伝えします。そのため、飲みはじめる前に1クールの総額の見通しが立ちます。オンライン診療なので、通院にかかる交通費と移動時間はかかりません。
目次
費用は「1クール(4〜6か月)の総額」で見る。内訳は診察料と薬剤費
医療機関で処方を受ける場合、主にかかるのは次の2つです。ほかに配送料や保湿用品の費用がかかることもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診察料 | 初診と再診。自由診療のため医療機関ごとに設定 |
| 薬剤費 | 用量(1日あたりのmg)と日数で変わる |
イソトレチノインは体重あたりの総投与量で効果を判定する薬です。体重が重いほど必要な総量が増えるため、同じ期間でも費用は人によって変わります。
「1か月いくら」ではなく「1クール(4〜6か月)でいくら」で見てください。 途中でやめると再発しやすいため、1クール分を払い切れる金額かどうかで判断します。
費用が人によって違うのは、必要な総量が体重で変わるから
イソトレチノインは、体重1kgあたり何mgを合計でどれだけ飲んだかで終わりを決めます。これを積算量(総投与量)と呼びます。体重が重い人は必要な総量が増えるため、同じ4〜6か月でも薬剤費は上がります。用量の決め方そのものは「イソトレチノインとは」の記事で説明しています。
低用量で長く続けると、総額はかえって増えることがある
副作用を抑えるために、少ない量で期間を延ばす進め方があります。1か月あたりの薬剤費は下がりますが、必要な積算量は同じなので、1クールの薬剤費は変わりません。期間が伸びるぶん診察の回数が増え、総額はかえって増えることがあります。月額の安さだけで判断すると、この差を読み落とします。
途中でやめると、払った分がやり直しになる
「3か月でニキビが消えたからやめた」という中断は、よくある失敗です。見た目が落ち着いても積算量に達していなければ再発し、2クール目の費用がそのままかかります。途中でやめた場合、それまでの支払いは戻ってきません。だから月額ではなく1クールの総額で見ます。
診察でこの4つを聞けば、1クールの総額が出せる
1クールの総額は、1日の量と受診の回数で決まります。次の2つを診察で聞けば、自分の場合の概算が出せます。
| 聞くこと | なぜ要るか |
|---|---|
| 1日に飲む量と、想定している期間 | 薬剤費は「1日の量 × 日数」で決まる。1錠いくらだけでは出せない |
| 診察は1クールで何回で、1回いくらか | 定期的に受診するため、回数ぶん積み上がる |
この2つがそろえば、(1日あたりの薬剤費×日数)+(診察料×回数)で総額の目安が出ます。体重によって必要な総量が変わるため、自分の体重を伝えたうえで聞くと精度が上がります。
総額そのものを下げたいときは、あと2つ聞いておきます。
- 用量の方針を聞く。 低用量で長く続ける方針か、標準量で短く終える方針かで、診察の回数と総額が変わります
- オンライン診療かどうかを聞く。 通院の交通費と移動時間がかかりません
金額だけで決めないでください。 通販の価格には診察も経過の相談も入っていないので、そのぶん安く見えているだけです。
当院(ミライメディカルクリニック)では、診察のときに1日の用量と想定する期間をお伝えします。そのため、飲みはじめる前に1クールの総額の見通しが立ちます。オンライン診療なので、通院にかかる交通費と移動時間はかかりません。
保険のニキビ治療は3割負担、イソトレチノインは全額自己負担
保険が使えるニキビ治療は3割負担ですが、イソトレチノインは全額が自己負担になります。保険の範囲の治療で効果が出るなら、そちらが先です。
| 保険のニキビ治療 | イソトレチノイン | |
|---|---|---|
| 扱い | 保険診療(3割負担) | 自由診療(全額自己負担) |
| 主な薬 | アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌薬の外用・内服 | イソトレチノインの内服 |
| 1か月の目安 | 初診料を含めて数千円 | 薬剤費に加えて診察料がかかる |
| 期間 | 症状に応じて継続 | 1クール4〜6か月で区切る |
外用薬と抗菌薬を続けても変わらなかった段階で、次の手として検討するのが順番です。最初からイソトレチノインを選ぶ治療ではありません。
途中で費用が増える場面
最初に出してもらった見積もりから、実際の総額が増えることがあります。どこで増えるかを先に知っておけば、追加の費用を見込んで予算を組めます。
| 起きること | 費用への影響 |
|---|---|
| 副作用が出て、診察の回数が増えた | 診察料が回数ぶん加算される |
| 副作用が強く、用量を下げて期間を延ばした | 診察の回数が増える |
| 乾燥への対処で保湿剤や目薬が必要になった | 市販品でも継続的にかかる |
| 積算量に届かず、期間を延長した | 薬剤費が日数ぶん増える |
また、途中でやめても、それまでに払った分は戻りません。再発すれば2クール目の費用がまるごとかかります。だから「月いくらなら払えるか」ではなく「1クール分を払い切れるか」で判断します。
保湿にかかる費用も見込んでおく
見落とされがちですが、乾燥への対処はほぼ全員に必要になります。唇、顔、体、目、鼻のそれぞれに対して、治療期間のあいだずっと続けることになります。
- リップクリームやワセリン。 唇は服用を始めて数日で乾き、ほぼ全員に出ます。持ち歩く前提で複数本
- 全身用の保湿剤。 顔だけでなく手足も乾くため、消費量が普段より増えます
- 目薬。 コンタクトレンズが使いにくくなる人がいます
- 低刺激の洗浄剤。 熱いお湯と強い洗浄剤を避けるため、入れ替えが要ることがあります
1つひとつは大きな額ではありませんが、4〜6か月続きます。診察料と薬剤費だけで見積もると、実際の負担より少なく見えます。用量の決め方や副作用の出方は「イソトレチノインとは」の記事にまとめています。
通販の値段と比べられない理由

通販サイトの価格には、診察も経過の相談も含まれていません。薬の代金だけを比べると安く見えますが、比べているものが違います。
厚生労働省は、国内で正規に流通している医薬品は品質・有効性・安全性の確認がなされているのに対し、個人輸入される外国製品にはそのような保証がないと注意を呼びかけています(厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」)。実際に偽造品の事例も報告されています(厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」)。
なお、ニキビに使うイソトレチノインは、個人輸入でも医師の処方でも医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
よくある質問
保険は使えますか
ニキビへの使用は国内で承認された効能ではないため、保険は使えません。全額自己負担になります。
体重で費用は変わりますか
変わります。総投与量が体重あたりで決まるため、体重が重いほど必要な総量が増えます。
医療費控除の対象になりますか
治療目的の自由診療は対象になりうるとされています。領収書を保管し、確定申告時に確認してください。
薬の価格はどのくらいですか
自由診療のため医療機関ごとに設定が異なります。用量(1日何mg飲むか)と体重によって必要な総量が変わるため、1錠あたりの価格ではなく1クールの総額で見積もってください。
まとめ
- 主な費用は診察料と薬剤費。自由診療で全額自己負担
- 体重あたりの総投与量で決まるため、必要量は人によって違う
- 月額ではなく1クール(4〜6か月)の総額で見る
- 通販の価格には診察も経過の相談も含まれていない。ニキビに使う場合は医師の処方でも救済制度の対象外
ニキビに使うイソトレチノインについて
- 未承認医薬品です。 イソトレチノインは、ニキビの治療薬としては国内で承認されていません。ニキビへの使用は自由診療です。
- 国内で承認された同じ成分の薬は、ニキビ用ではありません。 2026年6月19日にイソトレックスカプセル8mg・16mg(サンファーマ)が承認されましたが、効能・効果は「大量化学療法後の神経芽腫」(希少疾病用医薬品)です(PMDA「2026年度承認品目一覧(新医薬品)」)。
- 海外の安全性情報。 米国FDAは、イソトレチノインには重い先天異常を起こす強い催奇形性があるとして、米国で承認されたすべての製品を、胎児への影響を防ぐための管理プログラム(iPLEDGE REMS)の対象にしています。また、服用中はうつ症状や自殺を考える気持ち、精神病症状が出ていないかを注意深く観察し、出た場合はすぐに服用をやめて医師に連絡するよう求めています(米国の添付文書 DailyMed「Amnesteem(isotretinoin)」)。
- 医薬品副作用被害救済制度の対象外です。 救済制度の対象は、国内で承認を受けた医薬品を適正に使った場合です。ニキビに使うイソトレチノインは、医師の処方であっても対象になりません(PMDA「医薬品副作用被害救済制度の給付対象」)。
