イソトレチノインはニキビの治療薬として国内で承認されていません。そのため薬局・ドラッグストアには置かれておらず、国内の通販サイトで販売することもできません。
検索して出てくる通販サイトは、すべて個人輸入の代行です。医師の処方と違うのは、用量を決めて経過を診る医師がいるかどうかです。
妊娠中・妊娠の可能性がある方は使えません。 イソトレチノインには催奇形性があります。海外の添付文書では、女性は服用開始の1か月前から服用中、終了後1か月までの確実な避妊、男性も服用中と終了後1か月の避妊が求められています(米国添付文書)。日本の医療機関では終了後6か月までを求める方針もあり、期間は処方する医師が決めます。当院の方針は診察でお伝えします。自己判断で短くしないでください。
通販で手に入れると、用量を決めて経過を診る医師がいません。 当院(ミライメディカルクリニック)では、医師の診察を受けたうえでイソトレチノインを処方しています。オンライン診療なので通院は要らず、最短で当日に発送します。避妊の指導と副作用の確認も診察のなかで行います。
目次
ニキビ用のイソトレチノインは国内で販売できない

日本で医薬品を販売するには、品質・有効性・安全性の審査を受けて国の承認を得る必要があります。イソトロインやアクネトレントといったニキビ向けの製品は、この審査を受けていません。
「国内発送」「即日発送」と書かれていても、承認されていない医薬品を国内で販売することは認められていません。実態は海外の業者から取り寄せる手続きを代行しているにすぎません。
通販で買うと、用量を決めて経過を診る医師がいない

通販で手に入るのは薬そのものだけです。医療機関で処方を受けるときに付いてくるもののうち、次の4つが抜け落ちます。
| 抜け落ちるもの | 何が起きるか |
|---|---|
| 医師の診察 | 体調の変化が出ても相談する相手がいない |
| 妊娠の回避指導 | 催奇形性のある薬。ここが最も重大 |
| 用量の調整 | 悪化したとき、増やすのか減らすのかを自分で判断することになる |
| 副作用の相談先 | 症状が出ても、経過を知っている医師がいない |
個人輸入でいちばん問題になるのは、飲んでいるあいだ誰も経過を見ていないことです。肝機能と脂質の数値は自覚症状が出ないまま変化し、気分の落ち込みも本人は気づきにくい変化です。医師の処方なら、定期的な診察でこうした変化を確かめながら用量を調整します。
厚生労働省は「個人輸入される外国製品に品質、有効性及び安全性の保証はない」と明記しています(厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」)。偽造品の事例も報告されています(厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」)。
この薬でいちばん守るべきは妊娠の回避です。 催奇形性があり、海外の添付文書では女性は開始1か月前から終了後1か月まで、日本では終了後6か月までを求める方針もあります。避妊の指導を受けずに飲む薬ではありません。
当院(ミライメディカルクリニック)では、医師の診察を受けたうえでイソトレチノインを処方しています。オンライン診療なので通院は要らず、最短で当日に発送します。避妊の指導と副作用の確認も診察のなかで行います。
催奇形性のある薬なのに、避妊の指導が付いてこない
イソトレチノインには催奇形性があります。 服用中に妊娠した場合、胎児に重い先天異常が生じるおそれがあります。妊娠の回避はこの薬を使ううえで最も重い条件です。
医療機関では、開始前に妊娠していないことを確認し、避妊が必要な期間、献血の制限について説明を受けたうえで処方されます。個人輸入ではこの手順が一つも入りません。カートに入れて決済すれば届くため、妊娠の可能性がある人にも、条件を知らない人にも同じように渡ります。避妊と献血の具体的な条件は「イソトレチノインとは」の記事にまとめています。
厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」でも、個人輸入された未承認医薬品による健康被害の事例が示されています。
安く見える価格には、診察も経過の相談も入っていない
通販サイトの表示価格と医療機関の費用を並べると、桁が違って見えます。ただしこの2つは同じものを指していません。
| 通販(個人輸入の代行) | 医療機関 | |
|---|---|---|
| 含まれるもの | 薬と送料だけ | 診察、用量の決定、薬、経過の相談 |
| 用量の決定 | 自分で選ぶ | 体重と経過を見て医師が決める |
| 副作用が出たとき | 相談先がない | 用量の調整や中止の判断を受けられる |
この薬は肝機能と脂質の変化が自覚症状のないまま進むことがあります。相談できる医師がいないまま飲み続けると、体調の変化に気づいても判断できません。通販の価格には、この相談先が入っていません。
また含有量は製品によって違います。1カプセルあたりの単価を比べても、必要な総量が違えば総額は変わります。
個人輸入した薬で健康被害が出ても、救済制度は使えない
個人輸入した医薬品で健康被害が出ても、医薬品副作用被害救済制度の対象にはなりません。医薬品を自分で使うために取り寄せること自体は、数量などの条件のもとで認められています。ただし認められているのは取り寄せるところまでで、飲んだあとに起きたことは自分で引き受けることになります。
| 行為 | 扱い |
|---|---|
| 自分で使うために取り寄せる | 数量などの条件のもとで認められる |
| 家族や友人に渡す | 譲渡にあたり、認められない |
| 転売する | 販売にあたる。薬機法違反 |
| 国内で広告して売る | 国内で承認を受けていない医薬品の広告・販売はできない |
ニキビに使うイソトレチノインは、医師の処方であっても同じく救済制度の対象外です。だからこそ、診察を受けて副作用を早く見つけることが大切になります。
「違法ではない」ことと「守られている」ことは別です。この薬は医師が用量を決め、妊娠の回避を指導したうえで使う薬なので、抜けるものが大きすぎます。
すでに手元にある場合は、飲み続けずに医師に相談する
もう取り寄せてしまった、あるいは飲み始めているという状態からでも、やり直しはできます。
- 自己判断で飲み続けない。 まず医療機関を受診し、何をどれだけ飲んだかを正直に伝えてください
- 手元の箱と説明書を持参する。 製品名と含有量が分かれば、これまでの積算量を計算できます
- 体調の異変があるなら先に受診する。 飲んだものの名前と量を伝えれば、必要な検査を判断できます
- 妊娠の可能性がある場合はすぐ相談する。 催奇形性があるため、ここだけは日をあけずに
正直に伝えることで不利になることはありません。伝えないまま診察を受けると、医師が必要な検査を判断できません。偽造品が疑われる場合は厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」に情報提供もできます。
届いた薬に不安があるときの相談先
個人輸入した医薬品で体調を崩した場合、医薬品副作用被害救済制度の対象にはなりません。それでも相談できる窓口はあります。
- 体調の異変があるときは、まず医療機関を受診する。飲んだものの名前と量を伝える
- 偽造品が疑われるときは、厚生労働省の「あやしいヤクブツ連絡ネット」に情報提供できる
- 代金のトラブルは消費生活センター(消費者ホットライン188)
- 手元の薬は自己判断で飲み続けない。医師に見せて判断してもらう
よくある質問
市販薬はありますか
ありません。ニキビ向けの製品は国内で承認されていないため、市販されていません。
個人輸入は違法ですか
自分で使う範囲での個人輸入は、数量などの条件のもとで認められています。ただし、医師の診察も避妊の指導もないまま飲むことになる点は変わりません。
正規品と書いてあれば安全ですか
日本の審査を通ったという意味ではありません。国内で承認を受けていない製品である以上、正規流通という概念が当てはまりません。
安く済ませたい場合はどうすればいいですか
1クールの総額を診察で確認してから始めてください。最後まで続けられる計画にしたほうが、払う総額は結果として少なく済みます。途中でやめると再発しやすく、やり直しになります。
皮膚科では処方してもらえますか
取り扱いのある医療機関であれば処方されます。ただしニキビへの使用は国内で承認された効能ではないため、保険は使えません。自由診療になります。
併用できない薬はありますか
テトラサイクリン系の抗菌薬とビタミンA製剤は併用しません。個人輸入では、この確認をする医師がいません。
毛穴にも変わりますか
皮脂の分泌が減るため、皮脂で広がっていた毛穴は目立ちにくくなることがあります。すでにできた陥凹の形は戻りません。
まとめ
- 薬局・ドラッグストア・国内の通販では買えない。ニキビ向けの製品が国内で承認されていないため
- 通販サイトはすべて個人輸入の代行
- 通販では医師の診察・妊娠の回避指導・副作用の相談先が抜け落ちる
- ニキビに使うイソトレチノインは、個人輸入でも医師の処方でも救済制度の対象外
ニキビに使うイソトレチノインについて
- 未承認医薬品です。 イソトレチノインは、ニキビの治療薬としては国内で承認されていません。ニキビへの使用は自由診療です。
- 国内で承認された同じ成分の薬は、ニキビ用ではありません。 2026年6月19日にイソトレックスカプセル8mg・16mg(サンファーマ)が承認されましたが、効能・効果は「大量化学療法後の神経芽腫」(希少疾病用医薬品)です(PMDA「2026年度承認品目一覧(新医薬品)」)。
- 海外の安全性情報。 米国FDAは、イソトレチノインには重い先天異常を起こす強い催奇形性があるとして、米国で承認されたすべての製品を、胎児への影響を防ぐための管理プログラム(iPLEDGE REMS)の対象にしています。また、服用中はうつ症状や自殺を考える気持ち、精神病症状が出ていないかを注意深く観察し、出た場合はすぐに服用をやめて医師に連絡するよう求めています(米国の添付文書 DailyMed「Amnesteem(isotretinoin)」)。
- 医薬品副作用被害救済制度の対象外です。 救済制度の対象は、国内で承認を受けた医薬品を適正に使った場合です。ニキビに使うイソトレチノインは、医師の処方であっても対象になりません(PMDA「医薬品副作用被害救済制度の給付対象」)。
