認知症のチェックリストは数多くありますが、本人が自分で答えられる状態なら、そもそも大きな問題になっていないことが多くあります。
実際に必要なのは、家族が見ている範囲で答えられるチェックです。そして、当てはまる数より重い判断材料があります。生活のどこが回らなくなっているかです。
家族用と本人用の2つに分けました。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。症状の受け止め方や必要な対応は一人ひとり異なります。気になる症状があるときは、かかりつけ医または精神科・心療内科にご相談ください。
目次
家族が答える認知症のチェック
まず、日々の様子から答えられるものです。この半年ほどを振り返ってください。
ご本人の様子について、この半年ほどで当てはまるものを選んでください。
※このチェックは受診の目安を整理するためのもので、診断ではありません。当てはまる数が少なくても、生活に支障が出ているなら受診の対象になります。医療機関では、問診に加えて必要に応じて認知機能検査や血液検査などを組み合わせて判断します。
数より重い判断材料がある
当てはまる数に関係なく、次のどれかが起きているなら受診の対象です。
| 項目 | なぜ重いか |
|---|---|
| 薬を飲み忘れる、二重に飲む | 持病の治療そのものが崩れます |
| お金の管理ができない | 支払いの滞納や金銭トラブルにつながります |
| 火の消し忘れがある | 安全に直結します |
| 慣れた道で迷った | 行方不明のリスクにつながります |
| 車の運転で危ない場面があった | 事故のリスクがあります |
このうち1つでも当てはまるなら、チェックの数が少なくても相談してください。
認知症を本人が答えるチェック

自分で気になっている場合はこちらです。
ここ半年ほどの自分の状態について答えてください。
自覚があるほうが、実は認知症よりうつや睡眠の問題であることがあります。この点は物忘れと認知症の違いで扱っています。
気づける段階に多くの人がいる
厚生労働省が2024年に公表した推計では、2022年時点の高齢者の有病率は認知症12.3%、軽度認知障害(MCI)15.5%でした。将来推計では2060年に認知症645万人、MCI 632万人となり、合わせて高齢者の2.8人に1人にあたります。
出典 厚生労働省認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究(PDF)
2022年時点の高齢者における有病率(厚生労働省が2024年に公表した推計より作成)
MCIは、認知症へ進むこともあれば、保たれることも、戻ることもある状態です。チェックで3〜4つという段階は、この時期にあたることがあります。
ほかの症状も気になる場合は精神疾患のセルフチェックから入れます。介護がすでに重い場合は認知症の介護が限界だと感じたときを確認してください。
認知症のチェックのあとにやること
受診先は状況で変わります。
| いまの状況 | 連絡先 | そこでできること |
|---|---|---|
| かかりつけ医がいる | かかりつけ医 | ふだんの様子を知っているので相談が早い。必要なら紹介してもらえる |
| かかりつけ医がいない | 物忘れ外来、精神科、脳神経内科 | 認知機能の検査と、治せる原因がないかの確認 |
| 本人が受診を嫌がる | 地域包括支援センター | 家族だけで相談できる。訪問して様子を見てもらえることもある |
| 介護保険をまだ申請していない | 市区町村の窓口、地域包括支援センター | 要介護認定の申請。主治医意見書の手配も含めて相談できる |
| 急に様子が変わった | かかりつけ医または救急 | せん妄や身体の病気が隠れていることがある |
地域包括支援センターは、本人が来なくても家族だけで相談できます。お住まいの地域を担当する窓口が決まっているので、市区町村の名前と一緒に検索すれば見つかります。
医療機関では、問診に加えて認知機能の検査(長谷川式やMMSE(長谷川式と同じく、医療者が実施する認知機能の検査)など)、血液検査、画像検査を組み合わせて判断します。認知症かどうかだけでなく、甲状腺の機能低下やビタミン不足など、治せる原因を探しています。
物忘れ外来で何をするかは物忘れ外来とは何をするところかにまとめています。
認知症のセルフチェックについてよくある質問
チェックで多く当てはまったら認知症ですか
違います。このチェックは受診の目安を整理するためのもので、診断ではありません。医療機関では検査を組み合わせて判断します。
本人が受けたがりません
ご家族が答えるチェックだけでも構いません。受診の相談も、ご本人が同席されない状態から始められます。
MCIと言われた場合はどうなりますか
認知症へ進むこともあれば、保たれることも、戻ることもあります。定期的に経過を見ながら、体の状態と生活習慣を整えることが対応の中心です。
何科を受診すればいいですか
物忘れ外来、精神科、神経内科などです。かかりつけ医から紹介してもらう方法もあります。
通院が難しい場合はどうすればいいですか
自宅に医師が伺う訪問診療があります。認知症も対応疾患に含まれます。
通院が難しいときは自宅での診療という方法があります
こころの訪問診療 byミライメディカルクリニックは、世田谷区を中心に三軒茶屋駅から半径16km圏へ精神科医が伺う訪問診療です。うつ病・統合失調症・双極性障害・認知症・不安障害などに対応し、基本は月2回の定期訪問。ご契約中の方には緊急連絡先をご案内し、24時間お電話でご相談いただけます。
- 診療情報提供書はなくてもご相談いただけます
- ご本人が同席されなくても、ご家族だけでのご相談から始められます
- 自立支援医療をご利用の場合、自己負担は月2,500円〜が目安です
- 自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金などの診断書も作成できます
お電話でのご相談 03-6689-8121
物忘れが気になる段階では、本人が受診に前向きでないことがほとんどです。こころの訪問診療は精神科医が自宅に伺う診療で、認知症を対応疾患に含みます。
自宅での様子をそのまま見てもらえるため、生活のどこが回らなくなっているかが伝わりやすくなります。介護保険の主治医意見書(要介護認定のときに主治医が書く書類)の作成にも対応しています。
まとめ
認知症のチェックは、本人が答えるものより家族が観察して答えるもののほうが、実態に近づきます。この記事では両方を用意しました。
当てはまる数より重い判断材料があります。服薬、金銭管理、火の始末、道に迷うこと。このどれかが起きているなら、数が少なくても受診の対象です。
2022年時点の高齢者の有病率は認知症12.3%、MCI 15.5%でした。3〜4つ当てはまる段階はMCIにあたることがあり、この時期に受診すると治せる原因が見つかることもあります。チェックは診断ではなく、受診の目安を整理するためのものです。
