ヤーズフレックスに避妊効果はある?他のピルとの比較や、服用のメリットデメリットも解説

ピルは、生理痛の緩和や緊急避妊など女性の健康と生活の質向上に大きな役割を果たす薬です。しかし、「ピル」と一言で言っても、その種類や用途は実に多様です。

避妊目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症の治療にも使用される「ヤーズフレックス」という薬剤をご存知でしょうか?

本記事では、ヤーズフレックスの特徴や使用目的、そして他のピルとの違いについて詳しく解説します。ヤーズフレックスの服用を検討している方、ピルについてより深く知りたい方にとって、有益な情報となるでしょう。

医師 新田凌也
当記事の監修医師
医師:新田 凌也
島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

ヤーズフレックスは避妊効果が認められていない

ヤーズフレックスは超低用量ピルの一つですが、避妊薬ではありません。「ピル=避妊薬」ではなく、ピルにも様々な種類があります。

ヤーズフレックスはどのような目的で使用されるのか、また、ピルの種類について、詳しく見ていきます。

ヤーズフレックスは治療目的の薬

ヤーズフレックスは、日本において避妊目的での使用が認められていない薬剤です。なぜなら、ヤーズフレックスが治療目的の薬として承認されているからです。

ヤーズフレックスは以下の症状の治療に使用されます。

  • 月経困難症
  • 子宮内膜症に伴う痛み

生理痛がひどい場合や生理に伴って頭痛吐き気、疲労感など生活に支障が出る症状がある場合に、これらの症状の改善を目的として処方される薬です。

日本の薬事承認制度は、その効果と安全性を証明するための臨床試験が必要です。

ヤーズフレックスの場合、月経困難症や子宮内膜症の痛みに対する効果を中心に臨床試験が行われ、それらの治療薬として承認されました。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のヤーズフレックス配合錠のページのうち、「重要な基本的注意」にも「避妊目的で使用しないこと」と明記されています。

参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ヤーズフレックス配合錠」-8. 重要な基本的注意

超低用量、低用量、中用量、アフターピルの避妊効果の違い

ピルには4つの種類があり、使用目的や避妊効果などそれぞれ異なります。含有されているホルモンの種類や量、使用目的や避妊効果の違いを一覧表にまとめました。

それぞれ、違いをみていきましょう。

ピルの4つのタイプ:

  • 超低用量
  • 低用量
  • 中用量
  • アフターピル(緊急避妊薬)

【ピルの種類別の使用目的・避妊効果・エストロゲン含量量の違い】

ピル種類使用目的避妊効果エストロゲン含有量
超低用量ピル月経困難症や子宮内膜症の治療認められていない30μg未満
低用量ピル避妊
月経困難症や子宮内膜症の治療
正しく服用すると99.7%の避妊効果50μg未満
中用量ピル生理不順、過多月経、月経困難症などの治療薬認められていない50μg以上
アフターピル緊急避妊薬性交後、24時間以内の服用で約95%の避妊効果含まれていない

避妊目的での使用が認められているのは、低用量ピルとアフターピルの2種類のみです。超低用量ピルや中用量ピルは、日本では避妊目的での使用を認められていません。

低用量ピルは、月経困難症などの治療と定期的な避妊対策、どちらも目的にも使用されます。1日1錠、決まった時間に正しく服用すると99.7%という高い避妊効果が期待できるとされています。

中用量ピルは、低用量ピルに比べて頭痛や吐き気、血栓症などの副作用が強く出る可能性があるため、治療目的の場合、低用量ピルを処方されることの方が多いです。

アフターピルは、性交渉後に服用する緊急避妊薬として使われており、性交後72時間〜120時間以内の服用が推奨されています。

レボノルゲストレルやウリプリスタル酢酸エステルが有効成分で、服用することで一時的に排卵を抑制したり、受精を防ぐ効果が期待できます。

性交後、24時間以内の服用では約95%の避妊効果がありますが、アフターピルには継続的な避妊効果はありません。

参考:日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針

どのタイプのピルでも、目的に応じて正しく服用することが重要です。飲み忘れや服用時間のずれがあると、薬の効果が低下する可能性があります。特に、エストロゲンの含有量が少ない超低用量ピルは、飲み忘れの影響を受けやすいので注意しましょう。

副作用のリスクなども考慮する必要があり、医師と相談しながら決めることが大切です。自分の体質や生活スタイルに合ったピルを選ぶことで、より安全で効果的な服用が可能になります。

ヤーズフレックスのメリットとデメリットまとめ

ヤーズフレックスは、月経困難症や子宮内膜症の治療に用いられる超低用量ピルです。ここでは、ヤーズフレックスのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

メリット1|保険適用される可能性がある

ヤーズフレックスの大きなメリットの一つは、保険適用の可能性があることです。これは、月経困難症や子宮内膜症の治療薬として承認されているためです。

毎月の生理痛がひどく、仕事や学校を休まざるを得ないなど生活に支障が出ている場合、月経困難症と診断された場合、ヤーズフレックスが処方される可能性があります。

一例では、ヤーズフレックスの1シート(28錠)あたりの価格が保険適用で約720円、自費診療の場合の約2,390円と、保険適用によって大幅に金銭的負担を軽くできます。

メリット2|低用量ピルと比べて副作用が少ない

ヤーズフレックスの二つ目のメリットは、低用量ピルと比較して副作用が少ない点です。これは、ヤーズフレックスが「超低用量ピル」であり、エストロゲン含有量が低用量ピルより少ないためです。

エストロゲンは女性ホルモンの一種で、多すぎると様々な副作用の原因となります。ヤーズフレックスは、このエストロゲンの量を最小限に抑えつつ、効果を維持するよう設計されています。

ただし、副作用の発生には個人差があり、全ての人に当てはまるわけではありません。医師との相談を通じて、自分に合った薬を選ぶことが大切です。

デメリット1|避妊効果が認められていない

ヤーズフレックスは、避妊目的で使用されるピルではありません。日本では、ヤーズフレックスの承認が月経困難症や子宮内膜症の治療薬としてのみ行われているためです。

避妊を目的とする場合は、低用量ピルの服用や、コンドームの使用、生理周期を踏まえたリズム方など、他の避妊方法を選択する必要があります。

参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ヤーズフレックス配合錠」

緊急の避妊目的ならアフターピルがおすすめ

避妊に失敗してしまった、または避妊をせずに性行為をしてしまった場合、緊急避妊薬(アフターピル)が有効な選択肢となります。

ここでは、アフターピルの効果や特徴、入手方法について詳しく解説します。

アフターピルの効果や特徴

アフターピルは、避妊に失敗した後に服用することで妊娠を防ぐ緊急避妊薬です。その効果と特徴について、具体的に見ていきましょう。

高い避妊効果

アフターピルは、性行為後72時間〜120時間以内に服用することで、高い避妊効果を発揮します。服用が早ければ早いほど効果が高く、性交後24時間以内に服用した場合、約95%の避妊効果があるとされています。

これは、コンドームが破れてしまったり、避妊を忘れてしまったりした場合に、非常に心強い選択肢となります。

アフターピルの主な作用は、排卵を遅らせることです。例えば、性行為の翌日に排卵予定だった場合、アフターピルを服用することで排卵を数日遅らせる効果が期待できます。この作用により、精子と卵子が出会う機会を減らし、妊娠を防ぎます。

100%妊娠を防げるわけではない

アフターピルは高い避妊効果がありますが、100%ではありません。すでに排卵が始まっている場合や、服用のタイミングが遅れた場合は、効果が低下し避妊できない可能性があります。

そのため、アフターピルを服用したからといって安心せず、アフターピル服用から3週間後を目安に、妊娠検査薬で本当に妊娠していないか確認する必要があります。

副作用

アフターピルにも副作用があります。主な副作用には、以下のようなものがあります。

アフターピルの主な副作用

アフターピルの副作用の例:

  • 吐き気
  • 頭痛
  • 腹痛

服用後にこのような症状が見られる場合がありますが、多くの場合は一時的なもので自然に治ります。ただし、症状が重い場合や長く続く場合は、医師に相談することをおすすめします。

定期的な使用は不適切

アフターピルは、あくまでも緊急時の避妊薬です。毎月の避妊方法にアフターピルを使用することは、適切ではありません。

定期的な避妊が必要な場合は、低用量ピルや他の避妊方法を検討しましょう。

アフターピルの入手方法

アフターピルを入手するには、医師の処方が必要です。産婦人科を直接受診するか、オンライン診療サービスを利用することで、アフターピルを処方できます。

ここでは、アフターピルの入手方法のうち、オンライン診療に焦点を当てて説明します。

オンライン診療のメリット

オンライン診療のメリットとデメリット

オンライン診療は、アフターピルを入手する上で非常に便利な方法です。オンライン診療のメリットとデメリットには、以下のようなものが挙げられます。

オンライン診療サービスのメリット:
  • 24時間いつでも利用可能
  • 自宅で利用できる
  • 周りにバレにくい
  • 価格が事前に把握できる
オンライン診療サービスのデメリット:
  • 薬の受け取りが郵送のため服用するまでに時間がかかる可能性がある
  • 医師から直接説明を受けられない

オンライン診療は、産婦人科が空いていない夜間や土日祝日の利用や、周りにバレずプライバシーを守りたい場合の利用に、特におすすめです。

オンライン診療の流れ

オンライン診療でアフターピルを入手する流れは、以下のようになります。

オンライン診療の流れ:

  1. 予約:オンライン診療を行っている医療機関のウェブサイトで予約
  2. 問診:オンラインで問診票に回答
  3. 診療:ビデオ通話またはチャットで医師の診療を受ける
  4. 処方:医師が処方を判断
  5. 受け取り:指定の薬局で受け取り、または自宅まで郵送

24時間利用できるサービスもあるため、土日祝日や夜間であっても、すぐにアフターピルを入手できる可能性があります。

オンライン診療の場合のアフターピルの費用

アフターピルの費用は、医療機関や薬の種類によって異なります。ただし、オンライン診療と対面診療、どちらであってもアフターピルは保険適用外の自費診療となるので注意しましょう。

オンライン診療の相場は、診察料とアフターピルの薬代を合わせて、1万円から2万円程度かかることが多いです。オンライン診療サービスの場合、事前にホームページなどで費用を確認できるため、複数のサービスを比較して選ぶといいでしょう。

緊急アフピルであれば、避妊専門の医師が常に在籍しており、24時間365日待ち時間なしで無料相談が可能で、国内で承認されているアフターピルを8,800円(税込)〜販売しております。心配な方やアフターピルの購入を迷われている方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

ヤーズフレックスは低用量ピルであり、月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みの改善目的で使用される治療薬です。避妊目的での使用は、国内では認められていません。避妊目的でピルを使用したい場合は、低用量ピルを検討することになります。

性交後の緊急の避妊が必要な場合はアフターピルがおすすめです。アフターピルは、性交後72時間以内に服用することで高い避妊効果を発揮します。ただし、副作用のリスクや注意点をしっかり理解した上で使用することが大切です。

アフターピルの入手方法は、産婦人科の受診とオンライン診療の利用の2つの方法があります。近くに産婦人科がない場合や、土日など病院の営業時間外の場合は、すぐに利用できるオンライン診療が便利です。

ただし、あくまでアフターピルは緊急避妊薬であるため、定期的な避妊方法には適していません。定期的な避妊方法としてピルの服用を検討したい場合には、病院を受診して、医師と相談の上、服用するかどうか検討してください。

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