「生セックス」は妊娠や性感染症のリスクが非常に高い行為です。何となく不安を感じながらも、正しい知識を得ずに生セックスをしてしまっているのであれば、そのリスクを十分に理解する必要があります。
この記事では、生セックスによって生じるリスクや、生セックスをしてしまった場合の対処法について解説します。妊娠の可能性、性感染症の種類、アフターピルや検査についてなど、知っておくべき情報を網羅的に紹介します。

目次
生セックスとは?避妊具なしのリスクを知っておこう
生セックスとは、避妊具を使用しない性行為のことです。避妊をしないことで、妊娠や性感染症のリスクが高まります。
生セックスをしたい人の理由は様々です。男性の中には、ゴムを着けるのが面倒、感度が下がるといった理由で避妊を嫌がる人もいます。女性の中には、パートナーに言われるがまま避妊しないで性行為をしてしまう人もいるかもしれません。
生セックスのリスクを知らないまま性行為を続けると、意図しない妊娠につながる可能性があります。また、性感染症のリスクも忘れてはいけません。妊娠を希望していない場合、常に避妊を心がける必要があります。
避妊なしの生セックスで妊娠する可能性は46%程度
避妊法 | 避妊失敗率 | |
---|---|---|
理想的な使用注1) | 一般的な使用注2) | |
避妊しない | 46.0% | 46.0% |
緊急避妊法 | 5.1% | 5.1% |
コンドーム | 2.0% | 18.0% |
オギノ式避妊法 | 5.0% | 24.0% |
基礎体温法 | 5.0% | 24.0% |
膣外射精法 | 4.0% | 22.0% |
OC | 0.3% | 9.0% |
IUS | 0.2% | 0.2% |
IUD | 0.6% | 0.8% |
注2) 一般的な使用を想定した避妊失敗率:選んだ避妊法を使用しているにもかかわらず妊娠してしまう確率
上記のデータによると、「避妊なし」の場合の避妊失敗率は46%。半数程度が妊娠する可能性があるということが分かります。膣外射精(外出し)でも、22%程度のリスクがあり、コンドームを使用しない場合の妊娠率は20%を超える場合がほとんどです。
なお、低用量ピルや緊急避妊(アフターピル)を使用した場合は、グンと下がります。ただし、アフターピルはあくまで緊急時のみの服用が推奨されているため、常用するなら低用量ピルがおすすめです。
また、近年ではIUS(子宮内システム)やIUD(子宮内避妊具)という避妊方法も増えてきています。器具を挿入することで高い避妊効果が期待できるので、長期の避妊を希望する方や次の出産まで期間をあけたい方の中で需要が高まっています。
IUS (子宮内システム) | 子宮内に入れる小さな器具で、黄体ホルモンを放出する一度の挿入で最長5年間の避妊効果がある避妊率は99.8%と非常に高く、生理痛も軽減可能 |
IUD (子宮内避妊具) | 子宮内に装着する避妊具一度の装着で2~5年間効果が持続避妊率は99.2~99.4%と高い効果がある |
安全日はある?生理中でも生セックスは妊娠する可能性がある

(編集部作成)
安全日とは、妊娠の可能性が低い期間を指します。しかし、安全日だからといって絶対に妊娠しないわけではありません。
女性の生理周期は常に一定とは限らず、ストレスや生活習慣の変化によって排卵日がずれることもあります。排卵日のズレを考慮すると、安全日でも妊娠する可能性はあります。
また、生理中でも妊娠する可能性はゼロではありません。精子は女性の体内で数日間生存することがあるため、生理中でも性行為をすれば妊娠する可能性はあります。
生セックスをしたら速やかにアフターピルを服用しましょう

避妊なしで生セックスをしてしまった場合、妊娠を防ぐためにはアフターピルによる緊急避妊が必要です。「大丈夫だろう」という油断は禁物です。もし望まない妊娠してしまっていたら、心も体も、経済的にも今よりも負担が大きくなってしまいます。
アフターピルは性行為後72〜120時間以内に服用することで、高い避妊効果が期待できます。服用までの時間が早ければ早いほど効果が高くなるため、避妊の失敗に気づいたらすぐに行動することが大切です。主なアフターピルの種類と効果は以下の表を参考にしてください。
主なアフターピルの種類と効果は以下の表を参考にしてください。
種類 | 120時間有効アフターピル | 72時間有効アフターピル |
商品名 | エラ、エラワン、ジョセイ | ノルレボ、レボノルゲストレル錠、マドンナ |
有効成分 | ウリプリスタール酢酸エステル | レボノルゲストレル |
避妊率 | 120時間以内の服用で98.9% | 72時間以内の服用で85% |
120時間有効のアフターピルは、有効時間や避妊率において優位です。ただし、価格も約2倍になるため、性行為からの経過時間や金銭的な事情を考慮して選択することをおすすめします。
生セックスで感染する主な性感染症(STD)
性感染症(STD)は、性行為によって感染する病気です。主なSTDには、クラミジア、梅毒、淋病、HIV、コンジローマなどがあります。生セックスは、避妊具を使用しない性行為を指し、STD感染のリスクを高めるため、注意が必要です。
性感染症(STD) | 主な症状 | 感染時の注意点 |
---|---|---|
クラミジア | 無症状が多い、おりもの増加、排尿時痛 | 適切な抗生物質治療で完治。早期発見・治療が重要 |
梅毒 | しこり、発疹、発熱 | 早期であれば抗生物質で完治。進行すると後遺症の可能性 |
淋病 | 排尿時痛、黄色い分泌物 | 適切な抗生物質で完治。耐性菌に注意 |
コンジローマ | イボ状の隆起 | イボは治療で除去可能だが、ウイルスは体内に残存 |
HIV | 発熱、倦怠感、免疫低下 | 完治は不可。治療で抑制は可能 |
性感染症は、自覚症状がない場合でも感染している可能性があります。性行為後には、パートナーと共に性感染症の検査を受けることが重要です。早期発見・早期治療によって、重症化を防ぐことができます。
地域によっては保健所などで匿名・無料で検査を受けられることもあるので、金銭的な事情で病院に行けないという場合でも、該当する症状がある場合は必ず検査を受けるようにしましょう。

引用:東京都保険医療局「東京都性感染症ナビ」
都内の場合は「東京都性感染症ナビ」で詳細を確認することが可能です。他の地域でも同様の検査を実施しているため、「都道府県 性病検査 無料」などで調べてみてください。
まとめ
生セックスとは、避妊をせずに性行為を行うことを指します。快楽を優先するなどの理由から、避妊をしない選択をするカップルも存在しますが、そこには大きなリスクが伴うことを理解しておかなければなりません。
生セックスによって、意図しない妊娠をしてしまう可能性があります。生理中や安全日とされる日であっても、妊娠の可能性はゼロではありません。また、外出しも避妊法としては不確実であり、男性の我慢汁にも精子が含まれている場合があるため注意が必要です。
さらに、生セックスは性感染症(STD)のリスクを高めます。クラミジアや梅毒、淋病、HIV、コンジローマなど、様々な感染症の危険にさらされることになります。特に、クラミジアは無症状のケースも多く、気づかないうちにパートナーに感染させてしまうこともあります。近年、梅毒や淋病の感染者数は急増しており、HIVのリスクも決して低く見積もってはいけません。
もし、生セックスをしてしまった場合は、アフターピルによる緊急避妊や、性感染症の検査など、適切な対処を行うことが重要です。
生セックスのリスクを十分に理解し、パートナーとよく話し合った上で、安全な性行為を心がけましょう。自身の健康と将来を守るためにも、正しい知識を身につけ、責任ある行動をとることが大切です。