「アフターピルの代わりになる市販薬はないか」と探している方に、まずお伝えすべきことがあります。代わりを探す必要はもうありません。2026年2月2日から、アフターピルそのものが処方箋なしで薬局で買えるようになりました。
逆に、アフターピルの代わりになる市販薬は今も存在しません。ドラッグストアで買える鎮痛剤や漢方薬、サプリメントに緊急避妊の作用はなく、ネットで「アフターピルの代わり」として売られているものにも根拠はありません。妊娠を避けたいなら、アフターピルそのものを手に入れるのが唯一の方法です。
この記事では、薬局で買える2種類のアフターピルと値段、買うときの条件と探し方、薬局が近くにない場合の入手ルートを解説します。性行為から72時間以内、それも早いほど確実性が高い薬です。読みながら動き始めて構いません。
東京慈恵会医科大学医学部卒業。現在は板橋中央総合病院の産婦人科医長として、妊婦健診や分娩管理、新生児対応をはじめ、切迫流産・早産の管理などにも従事。婦人科領域では、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌・卵巣癌に対する手術および化学療法(抗がん剤治療)まで幅広く対応。さらに、PMS(月経前症候群)や更年期障害など、ホルモンバランスに関連する女性特有の不調についても積極的に診療している。日本産科婦人科学会専門医として、日々多くの女性の健康課題に向き合い、臨床の第一線で診療を続けている。
目次
アフターピルは市販薬になった(代わりを探す必要はない)
2026年2月2日、緊急避妊薬「ノルレボ」(有効成分:レボノルゲストレル)が要指導医薬品として発売されました。2023年11月から一部の薬局で行われていた試験販売は、この正式販売への移行にともなって終了しています。「市販化は検討中」「試験販売の段階」という情報は、すでに古いものです。
2026年3月9日には2つ目の製品「レソエル72」も発売され、現在は2種類から選べます。有効成分はどちらもレボノルゲストレル1.5mgで、効き方に違いはありません。
| 製品名 | メーカー希望小売価格(税込) | 販売元 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| ノルレボ | 7,480円 | 第一三共ヘルスケア | 2026年2月2日 |
| レソエル72 | 6,930円 | アリナミン製薬 | 2026年3月9日 |
いずれもメーカーの希望小売価格で、実際の販売価格は店舗によって異なる場合があります。産婦人科での処方は8,000〜15,000円に初診料や処方料が加わるのが目安なので、薬の代金だけを比べれば薬局が安く済みます。
ただし棚には並んでいない(買えるのは全国約15,300件の薬局だけ)
「市販薬になった」といっても、要指導医薬品は棚から取ってレジに持っていける薬ではありません。販売できるのは、緊急避妊薬の研修を修了した薬剤師が在籍し、プライバシーに配慮した相談スペースを備え、近隣の産婦人科と連携している薬局に限られます。厚生労働省の一覧に掲載されている薬局は、令和8年7月1日更新版で全国約15,300件です。日本の薬局は約6万店あるので、4軒に1軒に届きません。
取り扱い店であっても、研修を修了した薬剤師が勤務している時間帯でなければ販売できず、在庫を切らしている場合もあります。厚生労働省も来店前に電話で連絡することを推奨しています。近くの取扱店は、市販のアフターピルを取り扱う薬局を地域別にまとめた一覧から探すのが早いです。
参考:厚生労働省「緊急避妊薬について」/「要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局等の一覧」
買えるのは本人だけ、身分証を持って行きその場で飲む
| 買える人 | 服用する本人のみ。パートナーや保護者による代理購入はできません |
|---|---|
| 年齢制限 | なし。未成年でも保護者の同意なく買えます |
| 時間の条件 | 性行為から72時間以内であること。薬剤師の問診で確認されます |
| 服用方法 | 薬剤師の目の前でその場で服用します。持ち帰りはできません |
| 持ち物 | 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)と代金 |
| 処方箋・保険 | 処方箋は不要。保険は適用されず全額自己負担です |
試験販売の時期にあった「16歳以上」「保護者同伴」といった制限は、正式な販売への移行にともなって撤廃されました。聞かれるのは、安全に飲めるかどうかを判断するための医学的な質問だけで、相手が誰か、なぜ避妊に失敗したかを問い詰められることはありません。
薬局が近くにない・閉まっているならオンライン診療
取扱店が近くにない地域、あるいは薬局が閉まっている時間帯に必要になった場合は、スマートフォンで受診できるオンライン診療が現実的です。料金が事前に明示されていることが多く、診察から発送までが早いため、72時間まで余裕がない状況でも間に合わせやすいのが利点です。持病がある方や服用中の薬がある方は、医師の診察を受けたほうが判断も確実です。
オンライン診療の緊急アフピルは避妊を専門とする医師が在籍し、24時間365日の無料相談に対応しています。国内で承認されているアフターピルを8,800円(税込)から処方しています。夜間や休日に必要になった場合は、薬局を探すより早く手に入る場合があります。
市販の鎮痛剤や漢方に緊急避妊の作用はない
ドラッグストアで手に入る薬のなかに、緊急避妊に使えるものはありません。鎮痛剤、漢方薬、サプリメント、いわゆる「妊娠しにくくなる」とうたう商品のいずれにも、排卵を抑えたり遅らせたりする作用はありません。
ネット通販や個人輸入で「アフターピルの代わり」として売られているものも避けてください。有効成分が入っていない偽造品が届く例が報告されているうえ、海外発送では72時間に間に合いません。個人輸入した医薬品による健康被害は、健康被害が出たときに国が補償する医薬品副作用被害救済制度の対象外で、副作用が出ても補償を受けられません。
参考:医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度」
低用量ピルもアフターピルの代わりにはならない
低用量ピルは、毎日飲み続けることで排卵を抑える薬です。避妊に失敗したあとに数錠まとめて飲んでも緊急避妊にはなりません。目的も飲み方も違う薬なので、手元にあっても代わりに使わないでください。なお低用量ピルは今も医師の処方が必要で、薬局では買えません。
日本で使えるのはレボノルゲストレル錠だけ、期限は72時間
日本で緊急避妊薬として承認されているのは、レボノルゲストレル1.5mg錠だけです。薬局で買えるノルレボとレソエル72、医療機関で処方される後発医薬品も、すべてこの成分です。日本産科婦人科学会の指針でも、レボノルゲストレル錠が唯一の承認薬であり第一選択として推奨されています。
用法は性行為から72時間以内に1錠です。72時間を超えた服用は用法・用量の適用外ですが、指針は「有効である可能性が高い」としています。ただし120時間を超えた場合については、効果があるかどうかのデータがありません。海外には「エラ」「エラワン」(有効成分:ウリプリスタール酢酸エステル)という120時間まで使える薬もありますが、これらは国内では承認されておらず、薬局で買うことはできません。
作用のしかたについても誤解が多いところです。緊急避妊薬は着床を妨げる薬ではなく、主に排卵を抑える、あるいは遅らせることで妊娠を防ぎます。すでに成立している妊娠を終わらせる薬ではないため、指針でも人工妊娠中絶薬とは見なされないと明記されています。
副作用は、国内の臨床試験で65例中47例(72.3%)に見られました。内訳は、薬の影響で月経のような出血が起きる消退出血が46.2%、月経とは無関係のタイミングで起きる不正出血が13.8%、頭痛が12.3%、吐き気やむかつき(悪心)が9.2%などです。いずれも数日でおさまることがほとんどですが、飲んでから2時間以内に吐いてしまった場合は薬が体に吸収されていない可能性があるため、ただちにもう1錠飲む必要があります。服用後の月経は95%の人が7日以内に来るとされ、7日以上遅れる場合は妊娠検査をおすすめします。
参考:日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(令和7年改訂版)」
よくある質問
アフターピルの代わりになる市販薬はありますか
ありません。ただし2026年2月2日から、アフターピルそのものが要指導医薬品として薬局で買えるようになったため、代わりを探す必要もなくなりました。
備えて買っておくことはできますか
できません。要指導医薬品は、その時点で必要と判断された本人にだけ販売され、薬剤師の面前で服用するルールです。取り置きや事前購入はできません。
高校生でも薬局で買えますか
買えます。年齢制限はなく、保護者の同意も不要です。試験販売の時期にあった16歳以上・保護者同伴といった制限は撤廃されました。
まとめ
アフターピルの代わりになる市販薬は存在しませんが、2026年2月2日からアフターピルそのものが薬局で買えるようになりました。値段はノルレボ7,480円、レソエル72が6,930円(いずれもメーカー希望小売価格・税込)です。ただし棚には並んでおらず、研修を修了した薬剤師がいる全国約15,300件の薬局に限られるため、来店前の電話確認が確実です。
取扱店が近くにない、薬局が閉まっている、持病があって判断に迷うという場合は、オンライン診療に切り替えてください。市販の鎮痛剤や漢方、個人輸入品で代用しようとすると、時間を失ったうえに避妊できません。72時間以内、早いほど確実性が高い薬です。
