生理痛の重さは日によっても異なります。なかでも一日目だけひどく、その後は楽になるという方は少なくありません。
この記事では、なぜ生理痛が一日目だけひどくなるのか、その理由を分かりやすく解説します。また、動けないほどの痛みが続く場合の注意点もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

目次
生理痛が一日目だけひどくなるのはなぜ?
生理痛が一日目だけひどくなるのは、生理の生理学的な仕組みが関係しています。
生理が始まると、子宮内膜が剥がれ落ち、経血として排出されます。この際、子宮の収縮を促すために大量に分泌されるのが、「プロスタグランジン」というホルモン様物質です。
プロスタグランジンは、子宮を収縮させることで経血を排出する役割を果たしますが、過剰に分泌されると、痛みの神経を刺激し、強い生理痛を引き起こします。
特に、生理初日は出血量が多いため、プロスタグランジンの分泌も活発になりがちです。このため、一日目に強い痛みを感じることが多くなります。また、ストレスや冷えがあると血行が悪化し、痛みをさらに強くする可能性があります。
動けないほどの生理痛は病気の可能性も
生理痛の重さは人によってもさまざまです。もし日常生活に支障をきたすほどの激しい痛みがあり、動けないほど生理痛がひどい場合は、単なる生理痛ではなく病気が隠れている可能性も考えられます。生理痛がひどい場合に考えられる病気は以下のとおりです。
病名 | 主な症状 |
---|---|
子宮内膜症 | 激しい生理痛、性交痛、排便痛 |
子宮腺筋症 | 強い生理痛、過多月経、月経期間の延長 |
子宮筋腫 | 生理痛、過多月経、不正出血 |
子宮頸管狭窄症 | 強い生理痛、月経困難症 |
骨盤炎症性疾患 | 生理痛の悪化、下腹部痛、おりものの異常 |
上記は一般的な症状であり、必ずしもすべての患者様に当てはまるわけではありません。しかし、症状に心当たりがある場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
生理痛がひどいときに試したい緩和法3選
ここでは、生理痛がひどいときに試したい緩和法を3つご紹介します。
緩和法1|カイロや毛布で身体を温める
ひどい生理痛を感じる場合は、下腹部を温めるのが効果的です。カイロを下着の上から貼ったり、毛布でお腹を包み込むように温めましょう。
温めることで血行が促進され、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの産生を抑える効果が期待できます。また、身体を温めることでリラックス効果も得られ、精神的な緊張も和らぎます。湯たんぽを使う場合は、低温やけどに注意し、タオルなどで包んで使用してください。
緩和法2|軽いストレッチで血行を良くする
生理痛がひどいときに身体を動かすのは億劫に感じますが、軽いストレッチは血行促進に効果的です。激しい運動ではなく、無理のない範囲で身体を動かすというイメージで取り組んでみましょう。
例えば、仰向けに寝て膝を抱えたり、両足を左右にゆっくり倒すストレッチは、下腹部周辺の筋肉をほぐす効果があります。また、座ったままでもできる、肩甲骨を回すストレッチなどもおすすめです。血行が良くなることで、生理痛の緩和に繋がります。
緩和法3|我慢せず鎮痛剤を服用する
痛みがひどい場合は、我慢せずに鎮痛剤を服用しましょう。市販の鎮痛剤には様々な種類がありますが、「エルペインコーワ」や「バファリンルナ」など生理痛に特化したタイプの鎮痛剤を選ぶとより効果的です。
痛みがピークになってからでは、効果が得られるまでに時間がかかるため、鎮痛剤は痛み始めたらすぐに服用しましょう。あくまで対症療法ですので、鎮痛剤を服用しないと動けないほど痛みがある場合は、婦人科への受診を検討しましょう。
一日目だけ生理痛がひどい!治療に効果的な薬剤
市販の鎮痛薬は服用することで痛みを和らげることができますが、根本的な治療にはなりません。鎮痛剤を飲まなくてもいいように改善したい場合は、以下の治療を検討してみてください。
漢方による体質改善

漢方薬は、体質から生理痛を改善したい方におすすめです。即効性はありませんが、西洋薬(通常の薬)と比べて副作用が少ないと言われています。
さまざまな症状に合わせて、その人にあった漢方薬を組み合わせることができるので、より直接的なアプローチが可能です。市販でも購入できますが、可能な限り自己判断せず、医師に相談して処方してもらうようにしましょう。
低用量ピルでホルモンバランスを整える

低用量ピルは、経口避妊薬として知られていますが、ホルモンバランスを整えることで生理痛を軽減する効果があります。
低用量ピルに期待できるおもな効果は以下の7つです。
《低用量ピルで得られる7つの効果》
生理痛の緩和以外にも多くの効果が期待できますが、服用開始から1〜3ヶ月は、副作用として吐き気や不正出血、頭痛が見られることがあります。ただし、これらは時間とともに軽減することが多いので、PMSの症状全般を緩和したい方は、服用を検討してみてください。
まとめ
生理痛が一日目だけひどいと感じる主な理由は、生理初日の出血量が多かったり、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの分泌も多くなるからです。また、ホルモンバランスの変化も痛みを増強させる要因となります。
動けないほどの強い生理痛は、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が隠れている可能性もあります。我慢せずに婦人科を受診し、適切な診断を受けることが大切です。
生理痛を和らげる方法としては、カイロや毛布で身体を温めたり、軽いストレッチで血行を良くしたりすることが効果的です。痛みがひどい場合は、我慢せずに鎮痛剤を服用しましょう。
また、漢方薬で体質改善を図ったり、低用量ピルでホルモンバランスを整えたりすることも、生理痛の緩和に役立ちます。
生理痛は個人差が大きく、対処法も様々です。自分に合った方法を見つけて、少しでも快適な生理期間を過ごしましょう。症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。