低用量ピルで避妊効果がないものはある?ピルの種類や特徴を徹底解説

女性の健康管理や避妊方法の一つとして、低用量ピルは重要な役割を果たしています。

低用量ピルは、主に避妊や月経困難症の治療を目的として使用される経口薬です。エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを含有しており、これらのホルモンのバランスにより、さまざまな効果が得られます。

ピルの違いを理解することは、自分に適した低用量ピルを選択する上で重要です。

本記事では、低用量ピルの種類や避妊効果について詳しく解説し、それぞれの特徴や使用目的、価格などを比較します。正しい知識を身につけることで、より安全で効果的な低用量ピルの使用が可能になるでしょう。

低用量ピルの種類と避妊効果を解説

避妊目的で低用量ピルを利用することは一般的です。しかし、低用量ピルにはさまざまな種類があり、中には避妊効果が期待できないものもあります。

低用量ピルを避妊目的に服用するのであれば、低用量ピルの種類や避妊効果の有無を正しく理解することが大切です。

まずは、低用量ピルの避妊効果のないものや種類、使用目的などについて解説します。

ピルはOCとLEPに分かれている

低用量ピルは、大きく分けてOCとLEPの2種類があります。どちらも卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが配合されていますが、それぞれ以下の特徴があります。

OC避妊効果が期待できる
避妊目的で使用される
LEP避妊効果は不確実
月経困難症や子宮内膜症などの治療を目的として使用される

※月経困難症:月経時や月経直前から始まる強い下腹部痛や腰痛をメインに、吐き気や頭痛、めまい、疲労、脱力感、イライラなどの症状

OCは「Oral Contraceptives(経口避妊薬)」の略称で、避妊を目的として使用されます。一方、LEPは「Low-dose Estrogen Progestin(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)」の略称で、主に月経困難症や子宮内膜症の治療を目的に使用されます。

LEPは副効用として避妊効果が期待できますが確実性はなく、避妊目的であればOCを服用する必要があります。

また、低用量ピルに含まれる女性ホルモンは、エストロゲンはエチニルエストラジオールといわれる同じ種類のものですが、黄体ホルモンは4種類に分かれており、以下のように分類されます。

世代OCLEPプロゲステロンの種類特徴
第1世代シンフェーズルナベルULD
フリウェルULD
ルナベルLD
フリウェルLD
ノルエチステロン経血の減少効果
生理痛の緩和効果
第2世代トリキュラー
アンジュ
ラベルフィーユ
ジェミーナレボノルゲストレル生理周期のコントロールに適している
不正出血しにくい
第3世代マーベロン
ファボワール
デソゲストレル肌荒れ改善やニキビ・体毛の増加などに効果的
第4世代
(超低用量ピル)
ヤーズ
ヤーズフレックス
ドロエチ
ドロスピレノン黄体ホルモンが他の世代よりも少ない
副作用が出にくい

低用量ピルを服用していて効果が感じられない、副作用が気になるなどの問題がある場合は、世代の種類の変更がおすすめです。

避妊効果がない超低用量ピル

避妊効果が不確実なLEPの中でも、特に避妊効果がないとされているのが「超低用量ピル」です。超低用量ピルと低用量ピルの違いは、以下のとおりです。

種類超低用量ピル低用量ピル
エストロゲンの量30㎍以下50㎍以下

超低用量ピルはエストロゲンの量が少ないため、下痢や吐き気などの副作用のリスクが低いとされており、生理痛や子宮筋腫の治療目的で多く処方されます。

ただし避妊効果に関する十分な臨床試験が行われていないため、日本では避妊目的での使用は認められていません。そのため、超低用量ピルを服用している方が避妊を希望する場合は、コンドームの使用をはじめとする別の方法で避妊する必要があります。

避妊効果がある低用量ピル

低用量ピルの中で、避妊効果があるものがOCです。OCは正しく服用することで高い避妊効果が期待できるとされています。

しかし、現実的には完璧な使用は難しく、飲み忘れや他の薬との相互作用などにより、一般的な使用状況下での妊娠確率は約5%と若干高くなります。

さらに、OCはプロゲステロンの種類や含有量により体との相性があるため、自分の体と相性の良いものを選び、正しく服用することが大切です。

参考:厚生労働省「経口避妊薬(OC)の有効性についてのとりまとめ

超低用量、低用量、中用量、アフターピルの違い

ピルにはさまざまな種類がありますが、主に超低用量、低用量、中用量、アフターピルの4種類に分類されます。

ここでは、それぞれのピルの特徴や避妊効果、価格について詳しく比較していきます。

超低用量ピル

超低用量ピルは、含まれるエストロゲンの量が30㎍以下のものを指します。超低用量ピルの特徴は、以下のとおりです。

使用目的月経困難症や子宮内膜症などの治療
避妊効果不確実
価格保険適用:500~2,500円程度
保険適用外:2,500円~3,500円程度
種類ヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチなど

超低用量ピルは日本では避妊目的での使用は認められておらず、月経困難症や子宮内膜症の治療目的で使用されます。

一般的な医療機関を受診して処方される場合は保険適用になりますが、自由診療のオンライン診療を利用する場合は保険適用外になるため注意が必要です。

低用量ピル

低用量ピルは、含まれるエストロゲンの量が超低用量ピルより多く、50㎍以下のものです。低用量ピルの特徴は以下のとおりです。

使用目的避妊・月経困難症や月経前症候群(PMS)の改善・肌荒れやニキビ治療など
妊娠効果期待できる
価格2,500円~3,500円程度
種類トリキュラー、マーベロン、アンジュ、ファボワールなど

低用量ピルは、避妊をはじめさまざまな目的で使用されます。中でもOCは正しく服用することで高い避妊効果が期待できます。

ただし、低用量ピルは超低用量ピルとは異なり、自由診療となるため保険適用外です。

中用量ピル

中用量ピルは、低用量ピルと比較して相対的に女性ホルモンが多く含まれるものです。中用量ピルの特徴は、次のとおりです。

使用目的月経異常や子宮内膜症の治療・不妊治療・生理日をずらすなど
避妊効果効果が期待できる
価格保険適用:800円~2,500円

保険適用外:2,000円~3,000円

種類プラノバールなど

中用量ピルは「生理移動ピル」とも呼ばれ、旅行や結婚式など特別な日に生理が重ならないように、生理を意図的にずらすことを目的によく使用されます。

また、低用量ピルと同様に、正しく服用することで高い避妊効果が期待できます。ただし、低用量ピルよりも薬の成分が強いため、とくに吐き気の副作用のリスクが高くなると言われています。

中用量ピルは、子宮内膜症や月経過多などの治療目的で処方される場合は保険適用、生理日をずらしたり避妊目的での使用は自由診療となり保険適用外になります。

アフターピル

アフターピルは、レボノルゲストレンと呼ばれるプロゲステロンを主成分とし、緊急避妊薬とも呼ばれます。アフターピルの特徴は、以下のとおりです。

使用目的緊急避妊
避妊効果効果が期待できる
価格6,000円~15,000円(1回分)
種類ノルレボ、レボノルゲストレル

アフターピルは、性行為後72時間以内に服用することで妊娠を防ぎ、服用までの時間が短いほど避妊成功率が高まります。

アフターピルは自由診療になり、保険適用にはなりません。

参考:厚生労働省「緊急避妊に係る取組について

緊急避妊の目的ならアフターピルがおすすめ

避妊に失敗した、または避妊をせずに性行為をおこなった場合、緊急避妊が必要になることがあります。そのような場合に効果的なのが、緊急避妊薬とも呼ばれるアフターピルです。

この章では、アフターピルの効果や特徴、入手方法について詳しく解説していきます。緊急避妊が必要になった場合に備えて、正しい知識を身につけておきましょう。

アフターピルの効果や特徴

アフターピルは、性行為後72時間以内になるべく早く服用することで高い避妊効果を発揮します。アフターピル(レボノルゲストレル)の具体的な特徴は、以下のとおりです。

避妊阻止率性行為後24時間以内:95%
性行為72時間以内の服用:58%
服用対象者BMI30以下の人
服用方法性行為後72時間以内に1回服用
副作用吐き気・不正出血・乳房の張り・倦怠感・胃腸障害・肌荒れなど

参考:日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針

アフターピルは、含まれるプロゲステロンの作用により、排卵を遅らせたり、子宮内膜の成熟を早めて着床に適さない状態にしたりすることで妊娠を阻止できるとされています。

性行為後72時間以内になるべく早く服用することで高い避妊効果が期待できますが、100%ではありません。生理が予定よりも7日以上遅れている場合や、生理が通常よりも軽い場合は医師に相談しましょう。

自分で市販の妊娠反応チェッカーで検査する方法もありますが、その場合は妊娠反応に敏感なhCG 25IU(25単位)のものがおすすめです。

また、服用後は次のことを心がけましょう。

  • 副作用の症状が重い・長引く場合は医師に相談する
  • 吐き気により嘔吐した場合は医師に相談する
  • 次の生理があるまで性行為をしない

アフターピルは緊急時の避妊方法であり、通常の避妊方法の代替にはなりません。望まない妊娠を避けるためにも、低用量ピルやコンドームの使用による避妊を心がけましょう。

入手方法

アフターピルは医師の診察と処方を受けなければ入手できず、一般の薬局やドラッグストアでは購入できません。入手する方法は、産婦人科での処方か、オンライン診療での処方になります。

それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

入手方法産婦人科での処方オンライン診療
メリット実際に目で見て診察してもらえる時間や場所を選ばずに診察してもらえる
プライバシーが守られる
デメリット予約が必要であったり、待ち時間が発生する恐れがある
診療時間が決められている
知り合いに会う恐れがある
オンライン診療を受ける環境が必要

アフターピルで避妊効果を得るためには、72時間以内になるべく早く服用する必要があります。産婦人科で処方してもらう場合、診療時間が決まっているうえ、予約や待ち時間が発生する恐れがあり、タイムリミットに間に合わなくなる恐れがあります。

オンライン診療のメリット

オンライン診療は、スマートフォンやパソコンなどのオンライン診療を受けるための通信環境さえ整っていれば、時間や場所を気にせず処方してもらえるため、緊急性の高いアフターピルの入手に最適です。

また、産婦人科では会いたくない知り合いに会う恐れがありますが、オンライン診療であればプライバシーが守られるため安心です。

オンライン診療の流れは以下のとおりです。

  1. オンライン診療サービスに登録
  2. 問診票に記入
  3. ビデオ通話で医師と面談
  4. 処方箋の発行
  5. 指定の薬局でアフターピルを受け取る

薬局でアフターピルを受け取る際は、その場での服用が推奨されています。性行為から服用までの時間を短縮できることはもちろん、服用時の注意点や副作用などについて薬剤師が教えてくれるため、不安も和らげられるでしょう。

まとめ

本記事では、低用量ピルの種類や効果から、避妊効果がないものと避妊効果が期待できるものを解説しました。

低用量ピルを避妊目的で使用する場合は、診察時にその旨を伝えて避妊効果が期待できるものを処方してもらい、正しく服用することが大切です。

もしも、低用量ピルを飲み忘れた、避妊に失敗したなどの場合は、緊急避妊の手段としてアフターピルが有効です。オンライン診療を利用すれば、服用までの時間を短縮し、避妊効果が期待できるタイムリミットに間に合わせることができるでしょう。

ただし、アフターピルはあくまで緊急手段です。望まない妊娠を避けるためにも、避妊に関する正しい知識を持ち、日頃から適切な避妊方法の実践を心がけましょう。

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