咽頭クラミジアは、性器クラミジアと同様にクラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる性感染症です。無症状な場合も多く、気付かないまま過ごしてしまうケースが少なくありません。
本記事では、咽頭クラミジアの基本的な知識から、感染経路、症状、検査方法、治療法まで、分かりやすく解説します。また、感染予防のための具体的な対策についても紹介しますので、自身とパートナーの健康を守るためにぜひ参考にしてみてください。

目次
咽頭クラミジアは無症状でも感染している可能性がある
咽頭クラミジアは、クラミジア・トラコマティスという細菌が喉に感染することで起こる性感染症です。感染しても自覚症状がない人がほとんどのため、感染していることに気付かないまま、パートナーに感染させてしまう可能性があります。
咽頭クラミジアの主な症状は喉の痛みや違和感
多くの場合は自覚症状がありませんが、稀に以下のような症状が現れることがあります。
- 喉の痛み
- 喉の違和感
- 咳
- 痰
しかし、これらの症状は他の感染症や風邪と非常によく似ており、咽頭クラミジア特有の症状とは言えません。そのため、感染に気づかないまま放置してしまうケースが多いのが現状です。
咽頭クラミジアと他の咽頭系性感染症との違い
咽頭クラミジアと似た症状が現れる他の咽頭感染症としては、淋菌性咽頭炎やマイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、ヘルペス性咽頭炎などがあります。
感染症 | 主な症状 | 特徴 |
---|---|---|
咽頭クラミジア | 喉の痛み、違和感、咳など | 多くの場合無症状 |
淋菌性咽頭炎 | 喉の痛み、腫れ、膿など | 咽頭クラミジアより症状が強いことが多い |
マイコプラズマ ウレアプラズマ | 喉の痛み、咳など | 無症状のこともある |
ヘルペス性咽頭炎 | 喉の痛み、腫れ、水疱など | 再発することがある |
これらの感染症は、原因菌や症状に違いがあります。例えば、淋菌性咽頭炎は、クラミジア性咽頭炎よりも強い炎症を引き起こすことが多いです。また、ヘルペス性咽頭炎では、口唇ヘルペスや性器ヘルペスが同時に発症することがあります。
咽頭クラミジアの検査方法
咽頭クラミジアは、知らず知らずのうちに周りの人へ感染させてしまう可能性があるため、気になる症状があればすぐに検査することが大切です。咽頭クラミジアの検査方法は、大きく分けて以下の3つがあります。
検査方法1|口腔外科など医療機関を受診する
咽頭クラミジアの検査は、主に以下のクリニックで受けることができます。
- 性病科
- 泌尿器科
- 婦人科
- 耳鼻咽喉科
- 口腔外科
これらのクリニックでは、医師による問診や視診、検査を受けることができます。検査方法としては、綿棒で喉の奥を拭う方法や、うがい液を採取する方法が一般的です。疑わしい症状があったり、パートナーが感染している場合は保険適用となることがあります。
検査方法2|地域の保健所
一部の保健所では、性感染症の検査を無料で受けることができます。金銭的な事情で病院に行けないという場合でも、該当する症状がある場合は必ず検査を受けるようにしましょう。

引用:東京都保険医療局「東京都性感染症ナビ」
都内の場合は「東京都性感染症ナビ」で詳細を確認することが可能です。他の地域でも同様の検査を実施しているため、「都道府県 咽頭クラミジア検査 無料」などで調べてみてください。
自宅でできる検査キット
近年では、自宅で手軽にできる検査キットも販売されています。これらの検査キットは、インターネットやドラッグストアで購入することが可能です。検査方法としては、うがい液を採取する方法や、綿棒で喉の奥を拭う方法があります。
自宅で検査できるメリットとしては、クリニックに行く手間が省けること、自分のペースで検査できることが挙げられます。ただし、検査結果が陽性だった場合に病院の受診をしないと治療ができないので、無症状だけど念のため確認したいという場合におすすめです。
咽頭クラミジアの主な治療法は薬物療法

引用元:ニプロ「アジスロマイシン錠250mg「NP」」
咽頭クラミジアの治療は、主に薬物療法で行われます。使用される薬は、クラミジアに有効な抗生物質です。代表的な抗生物質としては、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどが挙げられます。
これらの抗生物質は、医師の指示に従って服用する必要があります。自己判断で薬を中断したり、量を調整したりすると、症状が悪化したり、薬が効きにくくなる可能性があります。
なお、あとになって咽頭クラミジアに感染していることに気づいた場合、パートナーも感染している可能性が高いです。そのため、パートナーも同時に検査を受け、必要であれば治療を行うようにしましょう。
パートナーが治療を行わない場合、ピンポン感染と呼ばれる状態になり、お互いが何度も感染し合ってしまう可能性があります。
咽頭クラミジアの予防方法3選
咽頭クラミジアは、性行為によって感染する病気です。そのため、予防には性行為における感染対策が重要となります。
予防方法1|オーラルセックス時にもコンドームを着用する
オーラルセックスは、性器との接触を伴わないため、安全と思われがちです。しかし、クラミジアは口や喉にも感染することがあります。オーラルセックスを行う際は、コンドームやオーラルセックス用の薄いシートを着用することで、感染リスクを減らしましょう。
予防方法2|不特定多数との性的接触を避ける
不特定多数の相手との性交渉は、性感染症に感染するリスクを高めます。
咽頭クラミジアだけでなく、他の性感染症にも感染する可能性も高まるため、不特定多数との性的な接触は避けるようにしましょう。パートナーを限定し、お互いに検査を受けて、感染していないことを確認することが大切です。
予防方法3|抗生物質による予防薬の使用
Doxy PEP(ドキシペップ)とは、性行為後72時間以内に特定の抗生物質(ドキシサイクリン)を服用することで、クラミジアなどの性感染症の感染リスクを低減する方法です。
しかし、Doxy PEPは、誰にでも推奨される予防法ではありません。抗生物質の使用は、薬剤耐性菌の出現リスクを高める可能性もあります。Doxy PEPの使用を検討する際は、必ず医師に相談し、メリットとデメリットを理解した上で、指示に従って使用するようにしましょう。
まとめ
咽頭クラミジアは、性感染症の一種であるクラミジアが喉に感染することで起こる病気です。自覚症状がない場合も多いですが、喉の痛みや違和感、咳、発熱などが現れることがあります。
感染経路は、オーラルセックスなどによるものが主です。クラミジアは感染力が強く、コンドームを使用しないオーラルセックスで感染する可能性があります。
咽頭クラミジアは放置すると、肺炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性や、パートナーに感染させてしまう可能性もあるため、早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。
検査は咽頭の粘液を採取して行い、治療には抗生物質が用いられます。ピンポン感染を防ぐため、パートナーも同時に検査と治療を受けることが重要です。もし、少しでも咽頭クラミジアの疑いがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。