初体験で妊娠が不安なときに確認する3つのこと

初めての性行為のあとで妊娠が不安になったとき、確認する順番は決まっています。まず避妊できていたかどうか、次に72時間が過ぎていないか、最後に検査ができる時期かどうかです。この3つを順番に見ていけば、いま何をすべきかがはっきりします。

この記事では、その判断の手順に加えて、10代の方が気にする「保護者に知られずに受診できるのか」「費用はいくらか」という点にも答えます。

医師 阿部一也
当記事の監修医師
医師:阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部卒業。現在は板橋中央総合病院の産婦人科医長として、妊婦健診や分娩管理、新生児対応をはじめ、切迫流産・早産の管理などにも従事。婦人科領域では、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌・卵巣癌に対する手術および化学療法(抗がん剤治療)まで幅広く対応。さらに、PMS(月経前症候群)や更年期障害など、ホルモンバランスに関連する女性特有の不調についても積極的に診療している。日本産科婦人科学会専門医として、日々多くの女性の健康課題に向き合い、臨床の第一線で診療を続けている。

初体験で妊娠する確率は行為の中身によって変わる

「初めてだから妊娠しない」ということはありません。初回であっても、排卵が起きている体であれば妊娠は成立します。一方で、行為の中身によって可能性は大きく変わります。

状況妊娠の可能性
最初から最後までコンドームを正しく使った低い。正しく使えた場合の1年あたりの妊娠率は2%程度
途中から着けたあり。射精前の液にも精子が混じることがある
破れた、外れたあり。避妊できていなかったものとして扱う
外出しのみあり。1年あたりの妊娠率は22%程度で、避妊法として当てにできない
挿入したが射精はしていないゼロではない。射精前の液に精子が含まれることがある
避妊なしで腟内に射精した高い。とくに排卵日付近では可能性が上がる
引用元:MSDマニュアル家庭版「バリア法による避妊」「避妊の概要

表の数字は1年間続けた場合のもので、1回あたりの確率ではありません。1回あたりで考えるときは、排卵日との距離で大きく変わります。ただし、生理周期が安定していない時期は排卵日の予測が当たらないため、「安全な日だったから大丈夫」という考え方は成り立ちません。

初体験で心当たりがあるなら72時間以内に動く

上の表で「あり」に当てはまる場合、緊急避妊薬(アフターピル)を検討する場面です。国内では性交後72時間以内の服用が用法とされており、日本産科婦人科学会も、性交後できるだけ速やかに服用することを示しています。早く飲むほど妊娠を防げる可能性が高くなります

迷っている時間がそのまま不利になるため、「様子を見て、生理が来なかったら考える」という進め方は取らないでください。生理予定日を待っていると、72時間はとうに過ぎています。

未成年でも受診できるし、本人の同意なく親に連絡されることはない

ここが、いちばん検索されずに悩まれている部分です。実際のところを整理します。

気になること実際
未成年でも受診できるかできます。年齢を理由に診てもらえないことはありません
保護者の同意は要るか医療機関の方針によります。同意なしで対応するところもあれば、求めるところもあります。受診前に電話で確認すると確実です
学校や親に連絡されるか医療者には守秘義務があります。本人の同意なく連絡されることは基本的にありません
お金はいくらか緊急避妊薬は自費です。下の表に場面別の目安をまとめています
保険証は必要か自費診療なので必須ではありませんが、持参を求められることがあります
ひとりで行けるか行けます。付き添いは必須ではありません

費用は薬の種類(72時間タイプか120時間タイプか)と、受診の形で変わります。ミライメディカルクリニックの場合は次のとおりです。

種類飲める期限費用(税込)
72時間有効タイプ性交後72時間以内11,000円
120時間有効タイプ性交後120時間以内18,700円
出典:ミライメディカルクリニック「アフターピル(緊急避妊薬)」の料金表。金額は変更されることがあるため受診前に確認してください

対面の産婦人科でも自費診療である点は同じで、金額は医療機関ごとに決められています。72時間タイプのほうが安く、120時間タイプは高くなるという関係はどこでも共通です。時間内に間に合うなら72時間タイプで足りるため、早く動くほど費用も安く済みます

オンライン診療の場合は、これに配送料がかかることがあります。対面の場合は診察料が別途かかることがあります。総額がいくらになるかは、受診前の電話や予約時に確認してください。

費用や同意の扱いは医療機関ごとに違うため、行く前に電話で「未成年でも受診できますか」「費用はいくらですか」と聞いてしまうのがいちばん早い方法です。答えにくい質問ではありません。

誰にも相談できないときのために、公的な相談窓口もあります。匿名で相談できます。

初体験のあと妊娠が分かるのは生理予定日の1週間後から

不安な気持ちですぐ検査したくなりますが、体の仕組み上、早すぎると結果が出ません。順番は次のとおりです。

時期体で起きていることできること
性行為の当日〜数日受精が起こる可能性がある段階72時間以内なら緊急避妊薬を検討する
約1週間後受精卵が着床するまだ検査はできない
着床後hCGというホルモンが出始めるまだ検査薬では検出しにくい
生理予定日の1週間後hCGが十分な量になる妊娠検査薬が使える

市販の妊娠検査薬は、多くが生理予定日の1週間後から使えるように作られています。それより早く使って陰性が出ても、まだ判断できません。「フライング検査」で陰性を見て安心してしまうのがいちばん危ないため、時期を守って使ってください。

なお、性行為の翌日から吐き気やだるさが出た場合、それは妊娠の兆候ではありません。この時期はまだ着床すら起きていないためです。強い不安による自律神経の反応であることがほとんどです。

初体験のあとの出血は1〜2日で止まれば様子を見てよい

妊娠とは別に、初めての性行為のあとで心配になりやすいのが出血と痛みです。

様子を見てよい受診したほうがよい
少量の出血が1〜2日で止まった生理2日目より多い出血が続く
ひりひりする痛みが数日で引いた強い下腹部の痛みがある
出血がまったくなかった発熱がある
翌日に違和感が残る程度数日たっても痛みが強くなっていく

初回に出血がなかったからといって異常ではありません。出血する人としない人がどちらもいます。ここを気にする必要はありません。

また、行為から数日たって、おりものの量やにおいが変わってきた場合は、性感染症の可能性を考えます。クラミジアなどは自覚症状が出ないことも多いため、相手の状況が分からないなら、行為から2〜3週間後に検査を考えてください。

低用量ピルは自費で月3,000〜4,000円前後、生理1日目から飲み始める

「毎回不安になるくらいならピルを飲みたい」と考えたときの、実際の進み方です。

  1. 婦人科かオンライン診療で相談します。生理の周期、痛みの程度、たばこを吸うかどうかを聞かれます
  2. 飲めない条件に当てはまらないかを確認します。血栓症の既往、前兆のある片頭痛、35歳以上での喫煙などが該当します
  3. 処方を受け、生理1日目から飲み始めます
  4. 飲み始めの1〜3か月は不正出血が出ることがあります。ここでやめずに続けると落ち着きます

避妊目的のピルは保険が使えず自費になります。ミライメディカルクリニックの料金表では、1シート28錠あたり2,909円(税抜)から4,045円(税抜)で、薬の種類によって差があります。月あたり3,000〜4,000円前後が目安と考えてください。

一方、生理痛が重くて月経困難症の治療として処方される場合は保険が使えます。この場合の自己負担は3割で、薬によって月900〜1,500円程度になります。避妊が目的か治療が目的かで費用が3倍近く変わるため、生理痛の程度は必ず伝えてください。どちらに当てはまるかは診察で判断されます。

未成年の場合、処方に保護者の同意を求めるかどうかは医療機関ごとに違います。ここも事前に電話で確認しておくと、行ってから断られることを避けられます。

外出し、安全日、生理中、腟洗浄は避妊として数えない

方法当てにならない理由
腟外射精(外出し)射精前の液にも精子が混じる。1年あたりの妊娠率は22%程度
安全日を狙う排卵はずれる。とくに周期が安定していない時期は予測できない
生理中の性行為周期が短い人では、生理中の性行為でも妊娠しうる
行為後のシャワーや腟洗浄精子は数分で子宮頸管へ入るため、洗っても間に合わない

この4つは、いずれも「やらないよりまし」という水準ですらありません。避妊として数えないでください。

次から不安にならない備えはコンドームを自分で用意することから

今回の不安が大きかったなら、次の機会が来る前に手を打っておくほうが確実です。

  • コンドームを自分でも用意しておく。相手任せにすると、着けるかどうかを相手が決めることになります
  • 低用量ピルを検討する。正しく飲めば1年あたりの妊娠率は0.3%程度です。生理痛や生理不順が軽くなる利点もあります
  • ピルとコンドームを併用する。妊娠を防ぐ確実さと、性感染症を防ぐ働きの両方が得られます。性感染症を防げるのはコンドームだけです
  • 断ることを決めておく。避妊しないなら行為をしない、という線をあらかじめ自分の中で決めておくと、その場で迷わずに済みます

初体験と妊娠についてよくある質問

初エッチで妊娠する確率はどれくらいですか

初めてかどうかで確率は変わりません。決めるのは避妊できていたかどうかと、排卵日との距離です。避妊なしの場合、1年あたりでは85%程度の人が妊娠します。

入れただけで出していない場合も妊娠しますか

可能性はゼロではありません。射精前に出る液にも精子が混じることがあるためです。心当たりがあるなら、72時間以内かどうかで判断してください。

初体験の何日後に妊娠が分かりますか

市販の妊娠検査薬は、多くが生理予定日の1週間後から使えます。それより前に検査しても正しい結果が出ません。

生理が遅れているのですが妊娠でしょうか

強い不安やストレス、生活の変化でも生理は遅れます。まずは検査薬が使える時期になったかを確認し、その時期になったら検査してください。

初体験で避妊したのに不安が消えません

正しく使えていたなら、心配は当たっていない側です。眠れないほど不安が続くときの整理の仕方は避妊を心配しすぎかどうかの見分け方にまとめています。

検索を繰り返しても不安が消えないのは、足りないのが知識ではないから

初体験のあと、同じことを何度も検索して、そのたびに違う数字が出てきて余計に不安になる。この状態になっている方は少なくありません。

検索を続けても不安が消えないのは、足りないのが知識ではなく、確定する日付だからです。妊娠しているかどうかは、生理予定日の1週間後にならないと分かりません。それまでの期間にどれだけ調べても、答えは出ません。

  • 72時間以内かどうかだけを先に判断する。ここは急ぐ必要があります
  • それが済んだら、検査できる日をカレンダーに書く。日付が決まると、それまでは考えなくてよくなります
  • 検索を1日1回までと決める。同じ内容を繰り返し見ても新しい情報は出てきません
  • 眠れない、食べられないほど不安が続くなら、その不安自体を相談する。婦人科でも相談できます

強い不安やストレスは、それ自体で生理を遅らせます。遅れたことでさらに不安になるという悪循環が起きるため、日付を決めて区切ってしまうほうが早く終わります。

まとめ

初体験だから妊娠しないということはありません。決めるのは避妊できていたかどうかです。破れた、外れた、途中から着けた、外出しのみという心当たりがあるなら、72時間以内かどうかで動いてください。

妊娠検査薬が使えるのは生理予定日の1週間後からです。それより早い検査で陰性が出ても判断できません。未成年でも受診はできますし、費用や保護者の同意の扱いは受診前の電話で確認できます。ひとりで抱えずに、まず電話をかけるところから始めてください。

参考文献

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