ピル服用中の不正出血はなぜ起こる?考えられる原因と対処法、受診の目安も紹介

ピルを服用しているのにもかかわらず、予定外の出血があると不安に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、少量の出血であれば心配ないことがほとんどです。

この記事では、ピル服用中に不正出血が起こる主な原因や、対処法について分かりやすく解説します。受診が必要な場合の目安も紹介しますので、不安な方はぜひ参考にしてみてください。

医師 新田凌也
当記事の監修医師
医師:新田 凌也
島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

不正出血とは生理以外の出血のこと

不正出血とは、生理以外の時期に起こる性器からの出血のことです。生理予定日より早く出血が始まったり、生理が終わった後に出血したり、生理と生理の間に少量の出血があったりなど、様々なケースがあります。

不正出血は、多くの女性が経験する症状です。少量の出血であれば心配ないこともありますが、出血量が多い場合や長期間続く場合は、何らかの病気が隠れている可能性もあります。

病気ではない不正出血の一つに、「排卵出血」があります。排卵出血は、排卵の時期に少量の出血が起こるもので、基本的には問題ありません。ただし、ピルを服用している場合は、排卵を抑えているため、排卵出血は起こりにくいとされています。

予期せぬタイミングでの出血に不安を感じる方も多いと思いますが、まずは落ち着いて、心当たりがないか確認する必要があります。なお、出血と同時に強い痛みや別の症状がある場合は、速やかに婦人科を受診するようにしてください。

参考:厚生労働省「特集:パートナーと一緒に読みたい生理から考える女性の健康

ピル服用中に不正出血が起こる主な原因3つ

ここでは、ピル服用中に考えられる不正出血の原因を3つ紹介します。予期せぬ出血があった場合は、まず心当たりがないか確認してみてください。

原因1|ピルの服用開始時に起きる一時的な副作用

ピルを飲み始めると、体が新しいホルモンバランスに適応しようとする過程で、不正出血が起こることがあります。これは特に服用開始後1〜3ヶ月に多く見られ、1週間から2週間ほど続く場合もあります。

一般的に起こりやすい副作用でもあるため、基本的には問題ありません。しかし、出血がなかなか収まらない場合や、不安を感じる場合は担当医師または薬剤師にご相談ください。

原因2|飲み忘れによるホルモン不足

ピルは毎日同じ時間に服用することが大切です。飲み忘れると、体内のホルモン濃度が低下し、子宮内膜が不安定になり不正出血が起こりやすくなります。

飲み忘れに気付いたら、すぐに1錠服用し、次の服用時間から通常通りに服用を再開してください。数日続く場合や大量の出血がある場合は、医師に相談しましょう。

原因3|ストレスによる影響

ストレスはホルモンバランスを乱す原因の一つです。強いストレスを感じていると、自律神経の働きが乱れ、ホルモン分泌に影響を与え、不正出血が起こりやすくなります。

環境の変化や人間関係のストレスに心当たりがある場合は、心身ともに健康な状態を保てるように心がけてみてください。改善しない場合は、必要に応じて専門機関に相談することも大切です。

ピル服用中に不正出血があっても服用を続けましょう

ピル服用中に不正出血があっても、多くの場合、服用を続けることで症状は落ち着いていきます。特に服用開始初期の不正出血は、体がピルに慣れるまでの過程で起こる一時的なものなので、3ヶ月程度は様子を見ましょう。

不正出血が続く期間は個人差がありますが、1週間、2週間、あるいはそれ以上続く場合もあります。

不正出血に加えて、下腹部痛や腹痛といった症状が現れたり、出血が鮮血で量が多い、あるいは茶色い出血が長引く場合は、婦人科系の疾患の可能性も考えられます。自己判断せず、医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けることが大切です。

不正出血がいつから始まり、いつまで続くのか、またどのくらいの量なのかを医師に伝えることで、適切な診断と治療を受けることができるでしょう。

ピル服用中に不正出血があった場合の受診目安は?

ピル服用中の不正出血はよくあることですが、中には注意が必要なケースもあります。自己判断せずに、以下の目安を参考に受診を検討しましょう。

目安1|3ヶ月経っても不正出血が続く場合

ピルを飲み始めてからの不正出血は、多くの場合、体がピルのホルモンに慣れるまでの間の一時的な反応です。1〜2週間、あるいは2週間以上続くこともありますが、多くの場合3ヶ月程度で落ち着きます。

そのため、ピル服用開始から3ヶ月経っても不正出血が続く場合は、一度婦人科を受診し、医師に相談することをおすすめします。原因を特定し、適切な対応策を検討してもらいましょう。

目安2|出血量が多い

不正出血の量は、少量の出血から、生理のような出血まで様々です。少量の茶色い出血であれば、経過観察で問題ない場合が多いですが、出血量が多い、鮮血が出る、あるいは貧血のような症状が出る場合は、すぐに婦人科を受診しましょう。

ナプキンを頻繁に交換する必要があるほどの大量出血は、体に負担をかける可能性がありますので、我慢せずに相談するようにしてください。

目安3|強い腹痛など他の症状をともなう

不正出血に加えて、強い下腹部痛や吐き気、発熱などの症状がある場合は、子宮筋腫や子宮内膜症などの他の病気が隠れている可能性も考えられます。

婦人科系の病気は、放置すると不妊の原因となる可能性もあります。少しでも異変がある場合は我慢せず、速やかに婦人科を受診し、医師の診察を受けましょう。

ピル服用中の不正出血に関するよくある質問

ピル服用中の不正出血に関するよくある質問とその回答を紹介します。

ピル服用中に不正出血は避妊効果に影響ある?
ピル服用中に不正出血があっても、基本的には避妊効果に影響はありません。

不正出血は、子宮内膜が不安定になって剥がれ落ちることで起こりますが、ホルモンの働き自体には影響を与えないため、避妊効果は維持されます。ただし、以下のケースでは注意が必要です。

飲み忘れがあったり、嘔吐や下痢がある場合は十分な効果が発揮されないことがあるため、コンドームなどの避妊具と併用するようにしましょう。
不正出血と生理の違いは?
不正出血は、生理よりも出血量が少なく、期間も短い傾向があります。色は茶褐色であることが多いです。

一方、生理は周期的に起こり、出血量も比較的多く、鮮やかな赤色であることが多いです。不正出血が始まってから1週間、2週間と続いても、出血量が少なければ心配する必要はありません。しかし、出血が続く、量が多い、鮮血である場合は、医師に相談してください。
ピルを飲む時間がバラバラだと不正出血が起こりやすい?
ピルは毎日同じ時間に服用することが推奨されています。服用時間がバラバラだと、ホルモンバランスが乱れ、不正出血が起こりやすくなります。

毎日きっかりと同じ時間に服用することが難しい場合でも、なるべく一定に保つように心がけましょう。どうしても服用時間がずれてしまう場合は、医師に相談し、適切な対応について指示を受けてください。

まとめ

不正出血は、生理以外のタイミングで起こる出血を指します。生活習慣の乱れやピルの服用、更年期や思春期におけるホルモンバランスの変化などが原因となることが多いです。

ピル服用中に不正出血が起こる主な原因は、服用開始時の副作用、飲み忘れによるホルモン不足、そしてストレスの影響の3つが挙げられます。

ピル服用中に不正出血があったとしても、基本的には服用を継続して問題ありません。ただし、3ヶ月以上不正出血が続く場合、出血量が多い場合、強い腹痛など他の症状を伴う場合は、医療機関を受診するようにしてください。

ピル服用中の不正出血は、多くの方が経験する症状であり、決して珍しいことではありません。しかし、不安なことがあれば、一人で悩まずに医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

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