オーラルセックスでも性病はうつる?注意したい性感染症と予防法を紹介

オーラルセックスはコンドームを使用しなくて良いと考えている人がほとんどです。しかし、性感染症は、性器だけでなく「のど」にもうつることをご存知でしょうか。

この記事では、オーラルセックスの基本的な知識や、感染症のリスクについて分かりやすく解説します。また、リスクを最小限に抑えるための予防法も紹介するので、自分自身とパートナーを守るためにぜひ参考にしてみてください。

医師 新田凌也
当記事の監修医師
医師:新田 凌也
島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

オーラルセックスとは?尿道炎患者の9割がオーラルセックスをしていた

オーラルセックスとは、口や舌を使って相手の性器やその周辺を刺激する性行為の一種ですフェラチオ(男性器へのオーラルセックス)とクンニリングス(女性器へのオーラルセックス)、アニリングス(肛門へのオーラルセックス)が該当します。

オーラルセックスだけでは妊娠しないため、コンドームを使用しなくて良いと考えている人がほとんどです。

実際、尿道炎患者を対象にした調査※によると、性交渉の際、9割以上の人でオーラルセックスが行われており、その際にコンドームを使用するのは1%もいないという結果でした。

しかし注意したい点として、性感染症のリスクがあります。特に、のどへの感染は無症状のことが多く、気付かないうちに感染を広げる可能性があるため注意が必要です。

※参考:厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A

オーラルセックスで注意すべき性感染症(STD)

オーラルセックスは、前戯の一環として行われることが多いですが、性感染症(STD)に感染するリスクがあることを理解しておく必要があります。ここでは、オーラルセックスで特に注意すべきSTDについて詳しく解説します。

性感染症(STD)主な症状
咽頭淋病無症状または喉の痛み、発熱
咽頭クラミジア無症状または喉の痛み、咳
口腔ヘルペス水ぶくれや潰瘍
梅毒硬いしこり、全身症状
コンジローマイボ状の突起物
HIV/エイズ免疫機能の低下

咽頭淋病

淋病は、淋菌という細菌によって引き起こされるSTDです。性器だけでなく、喉にも感染することがあります。咽頭淋病は、多くの場合無症状ですが、喉の痛みや違和感、発熱などを引き起こすこともあります。

自然治癒することはなく、放置すると咽頭炎や扁桃腺炎を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

咽頭クラミジア

クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌によって引き起こされるSTDです。咽頭クラミジアも、多くの場合無症状ですが、喉の痛みや違和感、咳などを引き起こすこともあります。自然治癒することはないため、感染が疑われる場合は検査と治療が必要です。

口腔ヘルペス

口腔ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症です。口唇や口腔内に水ぶくれや潰瘍などの症状が現れます。一度感染すると完治は難しく、ウイルスは体内に潜伏し続けるため、症状の有無に関わらず、適切な予防措置を取ることが大切です。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされるSTDです。初期症状として、性器や口に硬いしこりができます。自然に症状が消えることがありますが、治ったわけではありません。進行すると、全身に発疹など様々な症状が現れることがあるため、注意が必要です。

コンジローマ

コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる感染症です。性器や肛門周囲、口の中にイボ状の突起物ができます。無症状のことも多く、症状が出ても口内炎と間違われやすいため、気づかないうちに感染を広げてしまうことがあります。

HIV/エイズ

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、免疫システムを破壊するウイルスです。HIVに感染すると、エイズ(後天性免疫不全症候群)を発症する可能性があります。

オーラルセックスによるHIV感染のリスクは、膣性交やアナルセックスと比較して極めて低いとされていますが、HIVを含む精液や腟分泌液が口腔内の粘膜に接触することで感染する可能性があります。

オーラルセックスで性病リスクを下げる方法

性感染症(STD)のリスクを最小限に抑え、安全にオーラルセックスを楽しむために、いくつかの予防策を紹介します。

予防法1|コンドームやラップを使用する

オーラルセックスにおける性感染症の予防には、男性器にはコンドームの使用を、女性器にはラップなどを用いて、口と性器の直接接触を避けることで感染リスクを減らすことができます。ただし、性器周辺の皮膚同士の接触でも感染の可能性がありますので、完全に防ぎきれないこともあるようです。

予防法2|口腔内や性器を事前に清潔にしておく

オーラルセックスを行う前に、口腔内と性器を清潔にしておくことも大切です。口をゆすぐ、性器を洗うなどの行為は、感染リスクを低減することに繋がります。

予防法3|オーラルセックス後に排尿する

オーラルセックスを受けた側は、終わった後に排尿を心がけるようにしましょう。排尿によって、尿道に侵入した可能性のある細菌を洗い流す効果が期待できます。これは、尿路感染症などの予防にも繋がります。

オーラルセックスで性病になったかもと思ったら速やかに性病検査を

性感染症(STD)は初期段階では自覚症状がない場合も多く、放置すると重症化したり、パートナーに感染させてしまう可能性があります。「もしかして性病かも?」と思ったら、できるだけ早く医療機関を受診し、検査を受けることが大切です。

地域によっては保健所などで匿名・無料で検査を受けられることもあるので、金銭的な事情で病院に行けないという場合でも、該当する症状がある場合は必ず検査を受けるようにしましょう。

引用:東京都保険医療局「東京都性感染症ナビ

都内の場合は「東京都性感染症ナビ」で詳細を確認することが可能です。他の地域でも同様の検査を実施しているため、「都道府県 性病検査 無料」などで調べてみてください。

まとめ

オーラルセックスは、性的な快楽を得るための行為の一つとして一般的に認識されています。しかし、オーラルセックスには性感染症(STD)のリスクが伴うことを理解しておくことが重要です。

クラミジア、ヘルペス、淋病、梅毒、コンジローマ、HIV/エイズなど、様々な性感染症がオーラルセックスによって感染する可能性があります。

これらのリスクを減らすためには、いくつかの予防法が有効です。例えば、コンドームやラップを使用することで、性器や口腔内の粘膜同士の直接的な接触を避けられます。

また、オーラルセックスの前には、口腔内や性器を清潔に保つことが大切です。さらに、オーラルセックスの後に排尿することで、尿道に侵入した細菌を洗い流す効果が期待できます。

オーラルセックスは、適切な知識と予防策を講じることで、より安全に楽しむことができます。性感染症のリスクを正しく理解し、予防法を実践することで、自分自身とパートナーの健康を守りましょう。

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