「まつ毛が最近減ってきた気がする」「もともとまつ毛が短い、少ない、細い」と感じている方は、もしかしたら「睫毛貧毛症」かもしれません。
この記事では、睫毛貧毛症の原因や症状、診断方法、そして効果的な治療法まで詳しく解説します。睫毛貧毛症について知ることで、あなたのまつ毛の状態を正しく理解でき、お悩みを解消する方法を見つけることができるでしょう。
睫毛貧毛症とはまつ毛が不足している状態のこと
睫毛貧毛症とは、まつ毛が少なく、短く、細くなることで、量が不十分だったり、物足りないことを特徴とする疾患です。これにより、目の印象が変わってしまったり、目にゴミや埃が入りやすくなるなど、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。
女性のまつ毛に対する意識調査によると、まつ毛に悩みを持っているうちの全体の72.8%の人が「ボリュームがない」と感じており、57.8%が「短い」と回答しています。
これらの悩みは、睫毛貧毛症の特徴と一致しており、この問題が広く認識されていることがわかります。
特に注目すべきは、年齢層による違いです。20代では「細い」という悩みが他の年齢層よりも高く20.0%となっています。一方、「ボリュームがない」という悩みは全ての年齢層で最も多く、特に50代では80%近くに達しています。
生まれつきまつ毛が不足している場合は、遺伝的な要因が考えられますが、後天的な場合は加齢やまつ毛ケアの摩擦、間違った使い方によるダメージ、皮膚疾患、薬の副作用などが原因となることがあります。
睫毛貧毛症の診断方法は?日本人平均と比較してみよう
睫毛貧毛症の診断は、医師による問診と診察によって行われます。
まつ毛の状態や、普段のメイク、まつ毛ケアの方法、生活習慣、服用中の薬などについて確認します。
セルフチェックするのであれば、日本人女性のまつ毛の平均値と比較するのがおすすめです。日本人女性のまつ毛の平均値は、長さ約6.8mm、1mm間に生える本数約2.6本とされています。
ご自身のまつ毛と比較して、明らかに少ない、短い、細い場合は、睫毛貧毛症の可能性があるでしょう。
ただし、まつ毛の状態は個人差が大きいため、医師の診察を受け、総合的に判断してもらうことが重要です。
どうして睫毛貧毛症になるの?
(編集部作成)
まつ毛は、髪の毛と同じように「成長期」「退行期」「休止期」のサイクルを繰り返しながら生え変わっています。このサイクルはおよそ3週間から4ヶ月程度で完了し、常に繰り返されているのです。
しかし、様々な要因によってこのサイクルが乱れると、まつ毛が十分に成長せず、睫毛貧毛症になってしまうことがあります。
例えば、ビューラーやマスカラ、まつ毛エクステ、まつ毛パーマなど、まつ毛ケアによるダメージが毛根に負担をかけ、まつ毛の成長を妨げてしまうことがあります。
また、加齢もまつ毛の成長サイクルを乱す原因の一つです。年齢を重ねるにつれて、まつ毛の成長に必要な栄養が十分に届かなくなり、まつ毛が細く短くなってしまうことがあります。
さらに、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患や、抗がん剤などの薬の副作用も、まつ毛の成長に悪影響を与える可能性があります。
もし、ご自身のまつ毛の状態が気になる場合は、まずは専門医に相談してみてください。
睫毛貧毛症の治療は保険適用外!
残念ながら、睫毛貧毛症の治療は保険適用外です。自由診療となり健康保険は適用されないため、治療にかかる費用は全額自己負担となります。
主な理由として、睫毛貧毛症の治療が主に美容目的とみなされることが挙げられます。健康保険は「必要最低限の治療」をカバーするものですが、まつ毛の状態は生命や健康に直接的な影響を与えるものではないと考えられているからです。
また、睫毛貧毛症の治療は患者の希望や選択に基づいて行われることが多いため、自由診療として位置づけられています。健康保険制度では限られた財源を効率的に使用する必要があり、他の重要な医療ニーズと比較して優先度が低いと判断される可能性があります。
治療を検討される際は、これらの背景を理解したうえで、費用の面も考慮する必要があるでしょう。
グラッシュビスタは日本で承認された唯一の睫毛貧毛症治療薬
現在、日本で唯一睫毛貧毛症治療薬として承認されているのが「グラッシュビスタ」です。グラッシュビスタは、まつ毛の成長を促す成分「ビマトプロスト」を配合しており、まつ毛の長さ、太さ、濃さを改善する効果が期待できます。
1日1回、就寝前に上まつ毛の生え際に塗布して使用します。専用のアプリケーターを使用し、アイライナーを引くように塗布してください。効果を実感するには、少なくとも4ヶ月間の継続使用が必要となります。
グラッシュビスタの費用は16,500円〜22,000円程度
グラッシュビスタは、1本(5ml、約70日分)あたり16,500円〜22,000円程度が相場となっています。
22,000円で計算すると、1日あたりの費用は約314円です。
(22,000円 ÷ 70日 = 314.29円/日)
医療機関によって価格設定が異なる場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
グラッシュビスタ、ルミガン、ビマトプロストの違い
項目 | グラッシュビスタ | ルミガン | ビマトプロスト |
---|---|---|---|
特徴 | 睫毛貧毛症治療薬 | 緑内障治療薬 | ルミガンのジェネリック医薬品 |
有効成分 | ビマトプロスト | ビマトプロスト | ビマトプロスト |
濃度 | 0.03% | 0.03% | 0.03% |
適応症 | 睫毛貧毛症 | 緑内障、高眼圧症 | 緑内障、高眼圧症 |
グラッシュビスタ、ルミガン、ビマトプロストはいずれも有効成分としてビマトプロスト0.03%を含有しています。グラッシュビスタは睫毛貧毛症治療用の塗布薬として、ルミガンとビマトプロストは緑内障や高眼圧症治療用の点眼薬として使用されます。
ビマトプロストはルミガンと同じ有効成分を持つジェネリック医薬品で、価格はグラッシュビスタの半額以下です。しかし、睫毛貧毛症の治療薬としては承認されていません。
治療を受ける際は、医師とよく相談し、ご自身に合った薬剤を選択するようにしましょう。
睫毛貧毛症の治療薬はどこで手に入る?
睫毛貧毛症の治療薬は、医療用医薬品のため医師の処方箋が必要です。入手方法には、従来の病院とオンライン診療の2つがありますが、オンライン診療がおすすめです。
オンライン診療でも入手可能
最近では、オンライン診療でも睫毛貧毛症の治療薬を処方してもらえる医療機関が増えています。自宅にいながら医師の診察を受け、薬を自宅まで配送してもらうことができるため、忙しい方や通院が難しい方にもおすすめです。
便利で時間効率も良く、プライバシーも保たれるため、多くの方に適しています。また、定期配送やまとめ買いによる割引を受けられることもあるため、自由診療である睫毛貧毛症の治療にやさしい選択肢となっています。
皮膚科や眼科などの病院で診察を受ける
従来通り、皮膚科や眼科などの医療機関を直接受診し、医師の診察を受けることも可能です。
医師が、まつ毛の状態やその他健康状態などを確認し、適切な治療薬を処方してくれます。ただし、何の薬を処方してもらうかが事前にわからないため、オンライン診療と比べると効率が劣る場合があります。
いずれの場合も、自己判断で薬を購入したり使用したりすることは避け、必ず医師の指導のもとで治療を受けるようにしましょう。
まとめ
まつ毛のボリュームや短さに悩みを抱えている女性は多く、そして年齢とともにその傾向が強まります。これらの悩みの中には睫毛貧毛症が隠れている可能性があります。
睫毛貧毛症は、まつ毛の不足により目の印象や機能に影響を与える疾患です。
診断は医師による問診と視診で行われ、日本人の平均値と比較することでセルフチェックも可能です。遺伝的要因な場合もありますが、多くは後天的要因があり、まつ毛の成長サイクルの乱れが関係しています。
日本では「グラッシュビスタ」が唯一承認された治療薬ですが、治療は保険適用外で自己負担となります。ジェネリック医薬品のビマトプロストなら、同じ成分を持つうえに半額以下で処方してもらえるので、費用を抑えたい人は検討してみてください。
治療薬の入手には医師の処方箋が必要で、病院やオンライン診療を通じて処方してもらうことが可能です。
睫毛貧毛症でお悩みの方は、専門医に相談し、適切な治療法を見つけることをおすすめします。治療を開始することで目元の印象を改善し、自信を取り戻すことができるでしょう。