性感染症の中でも、クラミジアは特に症状が出にくいことで知られています。しかし、放置してしまうと、男女ともに不妊症などの深刻な問題に繋がるリスクがあるため、大変危険です。
この記事では、クラミジアの男女別の症状や、咽頭・直腸など性器以外の症状についても詳しく解説します。検査を受けられる場所についても紹介しますので、ご自身やパートナーの健康を守るためにも、正しい知識を身につけましょう。
目次
クラミジアは無症状なことが多いため感染に注意が必要
クラミジアは、「クラミジア・トラコマチス」という細菌によって引き起こされる性感染症です。性行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス)による感染が主な経路で、性器クラミジア感染症とも呼ばれます。

引用元:国立感染症研究所「性器クラミジア感染症の発生動向、2021年」
上記の調査によると、性器クラミジア感染症の定点当たりの報告数は、2002年をピークに減少傾向にありました。しかし、2016年から若干の増加傾向が続いていることが分かります。
多くの場合、クラミジアは感染しても自覚症状が現れません。そのため、無症状のまま気が付かないうちにパートナーに感染させてしまう可能性があります。
しかし、症状が軽い場合でも、放置すると深刻な合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。また、妊娠中に母親がクラミジアに感染している場合、出産時に赤ちゃんに感染することがあります。
クラミジアの男性特有の症状
クラミジアは感染しても症状が出ない場合が多くあります。しかし、症状が現れる場合、男性では主に泌尿器に症状が現れます。
症状1|尿道からの透明または乳白色の分泌物
クラミジアに感染した男性に見られる代表的な症状の一つに、尿道から分泌物が出るという症状があります。この分泌物は、透明または乳白色で、水のようなさらさらとした状態であることが多いです。朝起きた時などに、尿道口に分泌物が乾いて付着していることに気付く場合もあります。
症状2|排尿時の軽い痛みやかゆみ
尿道からの分泌物に加えて、排尿時に軽い痛みやかゆみを感じる場合もあります。症状が軽い場合、痛みやかゆみはわずかなもので見過ごしてしまう可能性もあるでしょう。しかし、このような症状を感じた場合は、クラミジア感染の可能性も考慮し、医療機関を受診することが推奨されます。
症状3|精巣上体の腫れと発熱感
稀ではありますが、精巣上体が腫れる、または発熱といった症状が現れる場合もあります。精巣上体は、精巣に隣接する器官で、精子が成熟し貯蔵される場所です。
ここが腫れると、陰嚢に痛みや違和感を感じることがあります。また、発熱を伴う場合もありますが、微熱程度であることが多いようです。
クラミジアの女性特有の症状
女性の場合も場合、症状が現れにくいため、感染に気づかないまま放置してしまうケースが多いです。しかし、放置すると不妊症などの原因となる可能性もあるため、より一層の注意が必要です。
症状1|おりものの量の増加や異常
クラミジアに感染すると、おりものの状態が変化することがあります。通常の状態では、おりものは無色透明または白色で、ほとんど臭いはありません。
しかし、クラミジアに感染すると、おりものが黄色や緑色っぽく変化したり、魚のような生臭い臭いを発するようになることがあります。変化に気づいたら、できるだけ早く検査を受けるようにしましょう。
症状2|不正出血
クラミジアに感染することで子宮頸管に炎症が起こり、不正出血が起こることがあります。ただし、不正出血はクラミジア感染以外にも、子宮頸がんなどの他の病気のサインである可能性もあります。
そのため、不正出血がある場合は、自己判断で放置せずに、医療機関を受診して原因を突き止めることが重要です。
症状3|下腹部痛や違和感
クラミジアに感染すると、子宮内膜や卵管に炎症が広がり、下腹部痛が起こることがあります。また、下腹部痛に加えて、腰痛や排尿痛、性交痛などを伴うこともあります。
しかし下腹部痛も、クラミジア以外の原因でも起こる可能性があるため、検査をしない限りは確定することはできないでしょう。
クラミジアの感染部位別の症状
クラミジアは、性器以外にも様々な部位に感染し、それぞれの部位で異なる症状が現れることがあります。
咽頭(のど)への感染
クラミジアが咽頭に感染した場合、咽頭クラミジアと呼ばれます。多くの場合、症状は現れませんが、以下のような症状が出ることもあります。
- 喉の痛み
- 喉の違和感
- 咳
- 発熱
これらの症状は風邪と似ているため、クラミジア感染に気づかないまま放置してしまうことも少なくありません。咽頭クラミジアは、オーラルセックスなどによって感染するため、心当たりがある場合は医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。
直腸や肛門への感染
クラミジアが直腸や肛門に感染した場合、直腸クラミジアや肛門クラミジアと呼ばれます。こちらも多くの場合、症状は現れませんが、以下のような症状が出ることもあります。
- 肛門周辺の痛みやかゆみ
- 便秘
- 血便
- 排便時の痛み
- 肛門からの分泌物
直腸や肛門への感染は、アナルセックスなどによって起こります。心当たりがある場合は、医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。
目への感染
クラミジアが目に感染すると、結膜炎やトラコーマといった眼の病気を引き起こす可能性があります。
- 結膜炎: 目の充血、かゆみ、目やに、痛みなどの症状が現れます。
- トラコーマ: 進行すると、視力障害や失明に至る可能性のある深刻な病気です。
目への感染は、感染した手指で目をこすったり、感染者の体液が目に入ることで起こります。性行為だけでなく、日常生活での感染にも注意が必要です。
クラミジアかもと思ったら速やかに検査を受けましょう!
クラミジアは、感染しても自覚症状がない場合が多く、放置すると深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と治療が重要です。「もしかしてクラミジアに感染しているかも…」と少しでも不安を感じたら、早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。
クラミジアの検査は、産婦人科や婦人科、泌尿器科などのクリニックはもちろん、内科や検診センターで受けることができます。また、地域によっては保健所などで匿名・無料で検査を受けられることもあります。

引用:東京都保険医療局「東京都性感染症ナビ」
都内の場合は「東京都性感染症ナビ」で詳細を確認することが可能です。他の地域でも同様の検査を実施しているため、「都道府県 クラミジア検査 無料」などで調べてみてください。
特定のパートナーがいる場合は、一緒に検査を受けることが推奨されます。お互いが検査を受け、適切な治療を受けることで、再感染のリスクを減らすことが可能です。
検査結果が陰性と分かるまで、性的接触は控えましょう。陰性と分かった後も、予防のためにコンドームを使用することが大切です。
まとめ
クラミジアは、多くの場合、無症状で経過することが特徴です。しかし、症状が現れることもあり、男性では尿道からの分泌物や排尿時の痛み、精巣上体の腫れなどがみられます。女性では、おりものの異常や不正出血、下腹部痛、性交時の痛みなどが主な症状です。
また、クラミジアは性器だけでなく、のどや直腸、目にも感染することがあります。のどに感染した場合は、痛みや違和感、直腸や肛門ではかゆみや分泌物、目では充血や目やになどの症状が出る可能性があります。
これらの症状は、クラミジア以外の原因でも起こりうるため、症状だけで判断することは難しいです。少しでも気になる症状がある場合や、感染の可能性がある場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けることが大切です。