「ヘルペス」は多くの人が認知している感染症ですが、その感染経路や予防法について、正しく理解している人は意外と少ないのが現状です。
本記事では、ヘルペス基礎知識や感染経路、リスク、症状の特徴、有効な予防法、そして感染が疑われる場合の検査・治療について、分かりやすく解説していきます。正しい知識を身につけて、感染を予防するように心がけましょう。

目次
ヘルペスとは?ウイルス感染による疾患の基本知識
ヘルペスには主に2種類あります。口唇ヘルペスを引き起こすことが多い1型と、性器ヘルペスを引き起こすことが多い2型です。ここでは、ヘルペスの種類や症状について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ヘルペスの種類|HSV-1とHSV-2の違い
単純ヘルペスウイルスには、HSV-1とHSV-2の2つの型があります。
1型のヘルペスウイルス (HSV-1) | 主に口唇ヘルペスを引き起こします。口の周りに水ぶくれができ、痛みやかゆみを生じることがあります。乳幼児期に感染することが多く、キスや食器の共有などを通して感染します。 |
2型のヘルペスウイルス (HSV-2) | 主に性器ヘルペスを引き起こします。性器周辺に水ぶくれができ、痛みやかゆみ、排尿時の痛みなどを生じることがあります。性行為によって感染します。 |
ただし、HSV-1が性器ヘルペスを引き起こすことも、HSV-2が口唇ヘルペスを引き起こすこともあります。
参考:国立感染症研究所「性器ヘルペスウイルス感染症とは」
ヘルペスの症状|初感染と再発時の違い
ヘルペスの症状は、初感染時と再発時で異なります。初感染時は、発熱、頭痛、倦怠感などの全身症状が現れることもあります。また、水ぶくれの範囲も広く、症状も重くなる傾向があるため注意が必要です。
一方、再発時は、初感染時よりも症状が軽くなることが多いです。水ぶくれができる前に、ピリピリとした痛みやかゆみなどの前駆症状が現れることがあります。これらの症状に気づけば、早めのケアができます。
再発のきっかけは様々ですが、疲労やストレス、風邪などで免疫力が低下した時に起こりやすいです。
ヘルペスがうつるのはどんなとき?感染経路とリスク
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって引き起こされる感染症で、主に性器や口の周りに水疱や潰瘍などの症状が現れます。しかし、ヘルペスは性行為だけでなく、日常生活の中でも感染する可能性があります。
ここでは、ヘルペスの主な感染経路と、感染のリスクが高まる状況について解説します。
感染経路1|キスによる感染
ヘルペスは、キスによって感染する可能性があります。特に、口唇ヘルペスの症状が出ているときには、唇周辺にウイルスが大量に存在しています。
そのため、症状が出ている人とキスをすることで、感染のリスクが高まります。唇に水ぶくれなどの症状が見られる場合は、キスを控えるようにしましょう。
感染経路2|性的接触による感染
性器ヘルペスは、性行為によって感染します。性行為には、性交だけでなく、オーラルセックスなども含まれます。コンドームを使用することで感染リスクを低減できますが、完全に防げるわけではありません。

(男女100人に実施した「ヘルペスに関する意識調査」より編集部作成。)
上記の調査結果によると、ヘルペスが性交渉によって感染することを知っていたのは63.6%でした。つまり、3割以上の人が性交渉によって感染することを知らずに接触している可能性があるということです。
自分やパートナーがヘルペスを持っている場合、性行為の際に注意が必要なことを覚えておきましょう。
感染経路3|タオルや食器の共用による感染
ヘルペスウイルスは、症状が出ている部分に触れた手やタオル、食器などを介して感染することがあります。特に、免疫力が低下している時は感染しやすいため、注意が必要です。
家族にヘルペスの人がいる場合は、タオルや食器はそれぞれ分けて使用することが大切です。 また、こまめな手洗いも感染予防に効果的なので、心がけましょう。
ヘルペスは自然治癒する?放置するとどうなる?
「ヘルペスは自然治癒する」という言葉を耳にすることもありますが、これは少し注意が必要です。ヘルペスの症状自体は、多くの場合、2〜3週間で自然に軽快します。しかし、体内のウイルスが消滅するわけではありません。
そのため、免疫力が低下した時などに再発を繰り返す可能性があります。つまり、ヘルペスウイルス自体は自然治癒しないのです。
ヘルペスを放置すると、症状が悪化したり、重症化したりするリスクがあります。さらに、妊婦が性器ヘルペスに感染している場合、出産時に赤ちゃんに感染するリスクがあります。
これらのリスクを避けるためにも、ヘルペスの症状が出た場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。適切な治療を受けることで、症状の悪化や重症化を防ぐことができます。
ヘルペスの感染を防ぐには?予防方法3選
ヘルペスの感染を防ぐための具体的な予防方法を3つ紹介します。
予防方法1|コンドームを適切に着用する
性行為によるヘルペス感染を防ぐためには、コンドームの適切な着用が重要です。コンドームは、性器ヘルペスの感染リスクを低下させる効果があります。
ただし、コンドームで覆われていない部分への感染リスクは残るため、過信は禁物です。オーラルセックスの場合も、口腔ヘルペスを予防するために、オーラルセックス用コンドームやデンタルダムを使用することをおすすめします。
予防方法2|皮膚のただれがある時は性行為を控える
ヘルペスの症状が出ている時、特に水ぶくれやただれがある時は、性行為を控えることが大切です。症状が出ている時期には、ウイルスが大量に排出されます。
この時期に性行為を行うと、パートナーへの感染リスクが非常に高くなるため注意が必要です。症状が治まるまでは、キスや性行為を控え、パートナーへの感染を防ぎましょう。
予防方法3|性器周辺を清潔に保つ
性器周辺を清潔に保つことは、ヘルペスだけでなく、他の性感染症の予防にも繋がります。性行為の前後は、専用のソープや水で優しく洗いましょう。清潔を保つことで、感染リスクを低減できます。
また、タオルの共用は避け、常に清潔なタオルを使用することも心がけましょう。日頃から免疫力を高める生活習慣を送り、ウイルスへの抵抗力を高めることも大切です。
ヘルペスに感染したかも?検査と治療の流れ
ヘルペスの検査方法はいくつかあります。代表的なものは、水ぶくれからウイルスを直接検出するPCR検査や、血液検査でヘルペスウイルスに対する抗体を調べる方法です。泌尿器科や婦人科、皮膚科などのクリニックや地域の保健所でも受けられます。
治療は、抗ウイルス薬を内服または外用することで行います。抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑える効果があり、症状の悪化を防ぎ、治癒を早めることが可能です。初期の段階で治療を開始すると、症状を軽く抑えることができ、治りも早くなります。
ヘルペスは再発しやすい病気です。日常生活で再発を防ぐためには、十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動を心がけて免疫力を高めることが大切です。また、紫外線や過労なども再発の誘因となることがあるため、注意しましょう。
まとめ
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって引き起こされる感染症です。主に口唇ヘルペスを引き起こすHSV-1と性器ヘルペスを引き起こすHSV-2があり、一度感染するとウイルスは体内に潜伏し、免疫力が低下した際に再発を繰り返す可能性があります。
そして、キスや性交渉など、さまざまな経路でうつるため、注意が必要です。予防の際は、コンドームの着用や性器周辺の清潔を保つこと、タオルや食器の共用を避けることなど、日常生活でできることを心がけましょう。
もしヘルペスに感染した疑いがある場合は、早めに医療機関を受診して検査と適切な治療を受けることが大切です。