クラミジアは、感染者の多くが無症状のため、気付かないうちに症状が進行したり、パートナーへの感染を引き起こしたりするケースがあります。「症状が軽いから大丈夫」と放置してしまう人も多いですが、残念ながら自然治癒することはありません。
この記事では、クラミジアの特徴や放置した場合のリスク、適切な治療法や、再発予防のポイントについて解説します。正しい知識を身に着けて、ご自分やパートナーを守りましょう。

目次
クラミジアは自然治癒しない!早期治療が重要
クラミジア感染症は、性行為によって感染が広がる一般的な性感染症です。クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされ、感染部位は性器、喉、目など多岐にわたります。症状は、排尿時の痛み、性交痛などがありますが、無症状の場合も多いようです。
このクラミジアに感染した場合、残念ながら自然治癒することはありません。細菌感染症なので、放置すると細菌が増殖し、症状が悪化する可能性があります。そのため、免疫力ではクラミジアを完全に排除することはできないのです。
症状が一時的に消えても体内で進行し続けるため、放置すると、男女ともに様々な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見・早期治療が大切です。少しでも症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
参考:国立感染症研究所「性器クラミジア感染症とは」
クラミジアを放置した場合のリスク
クラミジア感染症は、放置すると様々な合併症を引き起こし、健康に深刻な影響を与える可能性があります。ここでは、男女別の特有のリスクと性別関係ない共通のリスクを紹介します。
男性の場合のリスク
男性の場合、クラミジアが自然治癒せずに放置されると、尿道炎から始まり、次第に前立腺炎へと進行していきます。さらに、精巣上体炎を引き起こすことで、精子の通り道が塞がれ、不妊症や無精子症につながるリスクが高まるため、注意が必要です。
女性の場合のリスク
女性の場合、クラミジアが自然治癒せずに放置されると、子宮頸管炎から子宮内膜炎へと進行します。その後、卵管炎や卵巣炎を引き起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因となることがあります。
そして、妊娠中の感染は特に注意が必要です。流産や早産のリスクが高まるだけでなく、出産時に新生児への感染の可能性があります。感染した赤ちゃんは結膜炎や肺炎を発症する可能性があるため、大変危険です。
共通のリスク
男女共通のリスクとしては、クラミジア感染が慢性化し、関節炎や結膜炎、反応性関節炎などを引き起こすことがあります。また、クラミジアに感染していると、HIVなど他の性感染症への感染リスクが3〜5倍に上昇することも分かっています。
感染者のほとんどが無症状なので、症状がないまま長期間放置されることで症状が悪化するだけでなく、気付かないうちに他者への感染リスクも高まってしまうという点に注意が必要です。
クラミジアの適切な治療法
クラミジアの治療は、主に抗生物質の服用によって行われます。
主な治療方法は抗生物質の服用

引用元:ニプロ「アジスロマイシン錠250mg「NP」」
クラミジアの治療には、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの抗生物質が使用されます。これらの薬を医師の指示通りに服用することで、クラミジア菌を体内から排除することが可能です。
治療を開始すれば通常1週間程度で症状が改善
抗生物質の服用を開始すると、通常1週間程度で症状は改善されます。しかし、症状が消失したからといって、自己判断で服用を中止してはいけません。医師の指示に従い、最後まで薬を飲み切り、完治を確認することが重要です。
治療後の検査で陰性を確認するまでの期間を含めると、約1ヶ月で完治が見込めます。クラミジアの治療は決して難しいものではないので、感染の可能性がある場合は早いうちに受診することをおすすめします。
治療費用の目安は?薬代は1,000円程度
クラミジアの治療にかかる費用は、医療機関や使用する薬の種類によって異なりますが、薬代は1,000円程度が目安となります。
ここに、初診料や検査代が加算されますが、基本的に症状がある場合や検査結果が陽性の場合の治療では保険適用が可能なので、多くの場合は(診察+検査+治療薬を含めて)5,000円程度で治療できます。
クラミジアの再感染を防ぐ方法
クラミジアは完治可能な病気ですが、再感染のリスクも高く、注意が必要です。再感染を防ぐためには、以下のポイントを心がけましょう。
予防法1|パートナーと一緒に治療する
クラミジアは性感染症のため、パートナーが感染している場合は、一緒に治療を受けることが重要です。自分が治療を受けても、パートナーが感染したままであれば、性交渉によって再感染してしまう可能性があります。
このピンポン感染を防ぐためにも、パートナーにも検査と治療を受けてもらい、共に完治を目指しましょう。
予防法2|完治するまで性行為を控える
治療中は、完治するまで性行為を控えることが大切です。性行為によって、パートナーに感染させてしまう可能性があるだけでなく、自身の治癒も遅れてしまう可能性があります。医師の指示に従い、完治を確認するまでは性行為を控えましょう。
予防法3|コンドームを正しく使用する
クラミジアを含む性感染症の予防には、コンドームを正しく使用することが非常に有効です。性行為の際には、必ずコンドームを使用し、感染のリスクを減らしましょう。コンドームは、正しく使用することで、高い予防効果を発揮します。
また、不特定多数との性的接触は控え、定期的に検査を受けることをおすすめします。
まとめ
クラミジア感染症は、性行為によって広がる一般的な性感染症ですが、残念ながら自然治癒することはありません。放置すると、男女ともに様々な合併症を引き起こす可能性があるため、適切な治療が必要です。
クラミジアの治療は、主に抗生物質の服用によって行われます。アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの抗生物質を医師の指示通りに服用することで、クラミジア菌を体内から排除することができます。
適切な治療を開始すれば、通常1週間程度で症状が改善します。しかし、症状が改善しても、医師の指示通りに薬を飲み切ることが重要です。
クラミジアの再感染を防ぐためには、パートナーも一緒に治療を受けることが重要です。また、治療中は性行為を控え、性行為を行う際はコンドームを正しく使用することで、感染のリスクを減らすことができます。
クラミジア感染症は、早期の治療と適切な予防策を行うことで、合併症のリスクを減らすことができます。少しでも不安を感じたら、医療機関を受診して検査を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。