ヤーズ配合錠は、月経困難症の治療に用いられる超低用量ピルです。主な効果として、月経時の疼痛緩和、腰痛や頭痛の改善、PMS(月経前症候群)の症状改善が期待できます。
この記事では、ヤーズ配合錠の特徴や効果、副作用、そしてヤーズフレックスとの違いについて詳しく解説します。ツラい月経症状の治療を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

目次
ヤーズ配合錠は月経困難症の治療に用いられる低用量ピル

引用元:バイエルファーマナビ「ヤーズ配合錠」
ヤーズ配合錠 | |
有効成分 | ドロスピレノン、エチニルエストラジオール |
ヤーズ配合錠は、月経困難症の治療薬として広く知られている低用量ピルの一種です。なかでも超低用量ピルに分類される薬剤で、副作用が比較的少ないとされています。そのため、月経に伴う痛みや不快感を軽減する治療目的で処方されることが多いです。
ヤーズ配合錠の主な副作用
ヤーズ配合錠は、吐き気や頭痛、不正出血や乳房の張りなどの副作用が現れる可能性があります。また、稀ですが血栓症のリスクを増加させる可能性があります。
特に服用開始から3ヶ月以内は、血栓症を含む副作用が現れやすい時期になるため、体に異変を感じた場合は、すぐに医師に相談しましょう。
なお、副作用には個人差があり、すべての方に現れるわけではありません。ご自身の体質や症状に合わせて、医師と相談しながら服用を検討してください。
ヤーズ配合錠のジェネリック医薬品
ヤーズ配合錠には、ドロエチ配合錠というジェネリック医薬品も存在します。ジェネリック医薬品は、先発医薬品(ヤーズ配合錠)と同じ有効成分を含みながら、価格が抑えられるというメリットがあります。
製品名 | 1シートあたり (保険3割負担) |
---|---|
ヤーズ配合錠 | 2,000円程度 |
ドロエチ配合錠 | 850円程度 |
ドロエチ配合錠は、2022年に発売され、あすか製薬が製造販売しています。価格を抑えたい場合は、ジェネリック医薬品も検討してみてください。
ヤーズ配合錠とヤーズフレックスの違いは服用方法
「ヤーズ配合錠」と「ヤーズフレックス」は、名前が似ていることから混同しやすい傾向にあります。どちらも避妊や月経困難症の治療に使用される低用量ピルですが、どのような違いがあるのでしょうか。
ヤーズ配合錠 | ヤーズフレックス | |
---|---|---|
錠剤構成 | 28錠タイプ (実薬24錠+プラセボ4錠) | 28錠タイプ (全て実薬) |
服用方法 | 28日間連続服用し、29日目から新シート開始する。 | 最長120日間まで連続服用可能。25日目以降に3日間連続で出血がある場合、または120日到達時は4日間休薬する。 |
保険適用範囲 | 月経困難症のみ | 月経困難症と子宮内膜症に伴う疼痛 |
ジェネリック | ドロエチ配合錠 | なし |
ヤーズ配合錠とヤーズフレックスは、服用できる期間と、服用の方法に違いがあります。配合されている成分はどちらも同じなので、ヤーズ配合錠からプラセボ錠を抜けば、ヤーズフレックスと同じになります。
ではなぜ分けているのかというと、服用する人の症状に合わせるためです。規則的な周期を望む患者にはヤーズ配合錠が適しているのに対し、子宮内膜症の痛みコントロールが必要な患者には、出血頻度を落とせるヤーズフレックスが適しています。
このように、患者の症状や生活スタイル、希望する月経コントロール方法に応じて、適切な選択ができるよう2つの製剤が用意されているのです。
ヤーズ配合錠の主な効果3つ
ここでは、ヤーズ配合錠の主な効果を3つ紹介します。
効果1|月経時の疼痛緩和
ヤーズは、月経に伴う痛みを和らげる効果があります。
具体的には、子宮の収縮を抑えることで、下腹部痛や腰痛などの症状を軽減します。月経痛がひどい方にとって、日常生活を快適に過ごすための助けとなるでしょう。
効果2|腰痛や頭痛の改善
ヤーズは、月経に伴う腰痛や頭痛を改善する効果も期待できます。これらの症状は、プロスタグランジンという物質の過剰分泌が原因となることがあります。ヤーズは、プロスタグランジンの産生を抑えることで、腰痛や頭痛を軽減する効果が期待できます。
効果3|PMS(月経前症候群)の改善
ヤーズは、PMS(月経前症候群)の症状を改善する効果も期待できます。PMSとは、月経前に起こるイライラや不安、倦怠感などの精神的・身体的な症状のことです。ヤーズは、ホルモンバランスを整えることで、これらの症状を軽減する効果が期待できます。
ヤーズは避妊目的での使用は認められていない
ヤーズ配合錠は、海外では避妊薬として使用されていますが、日本では避妊を目的とした使用は認められていません。これは日本人における避妊目的での有効性及び安全性が確認されていないためです。
しかし、ヤーズ配合錠のパール指数※は0.41〜0.80%(妊娠件数は年間100人中1人未満)とされており、理論上、一定の避妊効果があるというのも事実です。
そのため、正しく服用すれば避妊効果はありますが、日本では月経困難症の治療薬としての承認にとどまっています。低用量ピルと比較すると避妊効果は低いため、確実な避妊を目的とする場合は、トリキュラーやマーベロンなどの低用量ピルを検討してください。
※パール指数とは、100人の女性が特定の避妊方法を1年間実施した場合の妊娠数を表す数値
まとめ
ヤーズ配合錠は、月経困難症の治療に用いられる超低用量ピルです。主な効果として、月経時の疼痛緩和、腰痛や頭痛の改善、PMS(月経前症候群)の症状改善が期待できます。
副作用として吐き気や頭痛、不正出血などが報告されており、特に服用開始3ヶ月以内は注意が必要です。価格面では、ジェネリック医薬品であるドロエチ配合錠を選択することで、費用を抑えることが可能です。
また、同じ成分を含む製剤としてヤーズフレックスがありますが、こちらは最長120日間の連続服用が可能で、子宮内膜症に伴う疼痛にも保険適用があるという特徴があります。
なお、ヤーズ配合錠は日本では避妊目的での使用は認められていません。確実な避妊を望む場合は他の低用量ピルを検討する必要があります。
服用を検討する際は、自身の症状や生活スタイル、希望する月経コントロール方法などを医師と相談しながら、最適な選択をすることが重要です。