ゴムありの妊娠確率18%は1回あたりではない、数字の意味と失敗する原因

「コンドームの避妊率は98%」「ゴムありでも18%妊娠する」という2つの数字が並んで出てくるため、どちらが本当なのか分からなくなります。結論から言うと、どちらも本当で、どちらも「1年間使い続けた場合」の数字です。1回の行為で18%妊娠するという意味ではありません

この記事では、18%という数字が何を指しているのかを整理したうえで、コンドームを使っていたのに妊娠が起こる具体的な原因と、正しい使い方を説明します。今まさに「さっきの行為が心配」という状況の方は、判断の手順をまとめた避妊を心配しすぎかどうかの見分け方のほうが早く答えにたどり着けます。

医師 阿部一也
当記事の監修医師
医師:阿部 一也
東京慈恵会医科大学医学部卒業。現在は板橋中央総合病院の産婦人科医長として、妊婦健診や分娩管理、新生児対応をはじめ、切迫流産・早産の管理などにも従事。婦人科領域では、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌・卵巣癌に対する手術および化学療法(抗がん剤治療)まで幅広く対応。さらに、PMS(月経前症候群)や更年期障害など、ホルモンバランスに関連する女性特有の不調についても積極的に診療している。日本産科婦人科学会専門医として、日々多くの女性の健康課題に向き合い、臨床の第一線で診療を続けている。

ゴムありの妊娠確率18%は1年間の数字であって1回あたりではない

避妊法の効果は「その方法だけで避妊した100組が1年間続けたとき、何組が妊娠したか」で表されます。コンドームの場合、MSDマニュアル家庭版は次のように整理しています。

使い方1年時点の妊娠率意味
正確な使用2%毎回、最初から最後まで正しく使えた場合
普通の使用18%着け忘れや装着ミスも含む、現実の使われ方
引用元:MSDマニュアル家庭版「バリア法による避妊

18%という数字が大きく見えるのは、これが1年間およそ100回前後の行為を積み重ねた結果だからです。そして重要なのは、この18%の中身のほとんどが「コンドームが破れた」ではなく「そもそも正しく使えていなかった回」で占められているという点です。正確な使用なら2%まで下がるという差が、それを示しています。

1回あたりの確率は状況によって大きく変わる

「今回の1回はどうなのか」を知りたい場合、18%はそのまま当てはめられません。1回あたりの妊娠のしやすさは、排卵日との距離で大きく変わるためです。避妊をまったくしなかった場合でも、月経直後など排卵から遠い時期であれば妊娠はほとんど起こらず、排卵日の1〜2日前がもっとも高くなります。

そのうえで、コンドームが破れず外れず、最初から着けていたのであれば、その回に精子が腟内へ入った可能性は低いままです。逆に、途中から着けた回や外れた回は、実質的に避妊していない状態に近づきます。「18%だから危ない」ではなく、その回に精液が入る経路があったかどうかで考えるのが実態に合っています。

ゴムありでも妊娠が起こる7つの原因

原因1は途中から着けたこと

もっとも多い原因です。射精前に出る液(カウパー腺液)にも精子が混じることがあり、挿入してからしばらくして着けた場合、その間に精子が入っている可能性が残ります。避妊として成立させるには、勃起後・挿入前に装着する必要があります。

原因2は表裏を間違えて着け直したこと

裏表を間違えて途中まで装着し、裏返して着け直すと、外側になった面に精液が付着したまま挿入することになります。間違えたときは新しいものに交換します。

原因3は先端の空気を抜いていないこと

精液だまりに空気が残っていると、射精時の圧力の逃げ場がなくなり破れる原因になります。先端をつまんで空気を抜いてから根元まで下ろします。

原因4はサイズが合っていないこと

小さすぎると破れやすく、大きすぎると行為中に外れます。国内で販売されているものは装着時の直径で分かれているため、きつい・ずれるという自覚があるなら別のサイズを試す価値があります。「外れた経験が何度もある」場合は、たいていサイズが大きすぎます。

原因5は保管方法と使用期限

財布に長期間入れっぱなしにしたもの、車内など高温になる場所に置いたものは、素材が劣化して破れやすくなります。個包装に印字された使用期限も確認します。爪や歯で開封すると、その時点で目に見えない傷が入ることがあります。

原因6は油性のローションとの併用

ワセリンやベビーオイル、マッサージオイルなど油性のものは、ラテックスを劣化させて破損の原因になります。潤滑剤を使う場合は水性のものを選びます。潤滑が足りない状態での摩擦も、破損と脱落の両方につながります。

原因7は射精後に抜くのが遅れたこと

射精後、勃起がおさまってくると根元にすき間ができ、精液が漏れ出したり、抜くときにコンドームだけが腟内に残ったりします。射精後は根元を手で押さえたまま、勃起が続いているうちに抜きます。抜いたあとの手で腟の近くに触れないことも大切です。

腟内に残ってしまった場合の対処はゴムが中に残ったときの取り方にまとめています。

コンドームの避妊率を2%側に近づける使い方

ここまでの原因を裏返すと、次の手順になります。特別なことではなく、毎回この通りにできるかどうかが98%と82%の差になります。

  1. 使用期限と保管状態を確認し、袋は指で押しずらしてから端を切って開ける
  2. 勃起後、挿入前に装着する
  3. 表裏を確認し、先端をつまんで空気を抜く
  4. 根元まで下ろす。途中で止めない
  5. 行為中も外れていないか確認する
  6. 射精後は根元を押さえたまま、勃起が続いているうちに抜く
  7. 1回ごとに新しいものに替える。洗って再使用しない

他の避妊法と比べたときのコンドームの位置づけ

方法普通の使用での1年妊娠率性感染症を防げるか
コンドーム18%防げる
経口避妊薬(低用量ピル)約9%防げない
子宮内避妊器具(IUD・IUS)1%未満防げない
腟外射精(外出し)約22%防げない
避妊なし約85%防げない
引用元:MSDマニュアル家庭版「避妊の概要」「バリア法による避妊

この表で押さえておきたいのは、性感染症を防げるのはコンドームだけという点です。ピルやIUDのほうが妊娠は防ぎやすいものの、感染は防げません。妊娠を確実に避けたいなら、ピルとコンドームを併用する形がもっとも守りが厚くなります。

また、腟外射精は避妊法として数えられることがありますが、コンドームより妊娠率が高く、避妊として当てにできる方法ではありません。

外れる原因の大半はサイズ、選び方は装着時の直径で決まる

「何度も外れる」「行為中にずれる」という自覚があるなら、まず疑うのはサイズです。国内で売られているコンドームは装着時の直径(ノミナル幅)で分かれており、これが実際のサイズより大きいと、動きの途中でずれて外れます。

起きていること合っていない方向対処
途中でずれる、抜けそうになる大きすぎるひとつ小さいサイズを試す
締めつけが強い、途中で痛くなる小さすぎるひとつ大きいサイズを試す。破損の原因にもなる
根元まで下ろせない小さすぎる、または装着方法サイズを上げるか、装着手順を見直す
先端がだぶつく長さが合っていない空気を抜けているか確認する

選び方としては、実際に測ってから選ぶのが確実です。勃起時の外周(一周の長さ)を測り、それを円周率で割ると直径になります。外周が10cmなら直径は約32mm、11cmなら約35mm、12cmなら約38mmです。パッケージに記載された直径がこの数字に近いものを選びます。

男性側が「大きいほうがいい」と考えて大きめを選ぶことがありますが、避妊の面では逆効果です。外れるくらいなら小さめのほうが安全です。

ゴムありでも心配なとき妊娠を確かめる手順とタイミング

心配な行為があったあと、いつ何をすれば答えが出るのかを時系列で整理します。焦って早く検査しても結果が出ないため、この順番を守るのがいちばん早い方法です。

時期できることできないこと
当日〜72時間緊急避妊薬を検討する妊娠しているかは分からない
3日〜1週間後検査薬はまだ反応しない
約1週間後受精卵が着床する時期。まだ検査できない
生理予定日この時点の検査薬はまだ早い
生理予定日の1週間後市販の妊娠検査薬が使える
陽性が出たら産婦人科を受診して確認する

市販の妊娠検査薬は、尿に含まれるhCGというホルモンを検出します。このホルモンは着床してから出始めるため、行為の直後には存在しません。生理予定日より前に使って陰性が出ても、それは「まだ判断できない」という意味であって、妊娠していない証明にはなりません。

また、緊急避妊薬を飲んだ場合は、その後3週間以内に出血(消退出血)があるかを確認します。出血がないまま生理予定日から1週間以上遅れたときは、検査薬で確認してください。

コンドームを使う理由は妊娠だけではない

妊娠の心配ばかりに目が向きますが、コンドームには性感染症を防ぐという、ほかの避妊方法にはない働きがあります。そして性感染症の多くは、感染しても自覚症状が出ません

感染症症状の出方放置した場合
クラミジア女性側は自覚症状が出ないことが多い卵管に炎症が及び、不妊や子宮外妊娠の原因になることがある
淋菌おりものの変化程度で気づきにくい同様に骨盤内へ広がることがある
梅毒初期のしこりが痛みなく消える時間をおいて全身に症状が出る
HIV初期は風邪のような症状か無症状治療が遅れるほど不利になる

症状が出ないため、「何ともないから大丈夫」とは判断できません。相手の感染状況が分からない行為があった場合は、妊娠の心配と別に検査を考えてください。クラミジアや淋菌は行為から2〜3週間、梅毒やHIVはもう少し時間を置いてからのほうが正しく判定できます。

ピルに切り替えると妊娠は防ぎやすくなりますが、感染は防げません。切り替えるのではなく、足す形にしておくのが実際的です。

破れた、外れた、途中から着けたときにやること

この3つに当てはまる場合は、避妊できていなかったものとして動きます。緊急避妊薬(アフターピル)は性交後72時間以内の服用が国内での用法で、早く飲むほど妊娠を防げる可能性が高くなります。日本産科婦人科学会も、性交後できるだけ速やかに服用することを示しています。

  • 72時間以内に緊急避妊薬を検討する。時間が経つほど効果は下がるため、迷っている時間がもったいない状況です
  • 服用後、3週間以内に出血(消退出血)があるかを確認する
  • 生理予定日から1週間以上遅れたら、妊娠検査薬で確認する
  • 相手の感染状況が分からない場合は、性感染症の検査も検討する。クラミジアなどは症状が出ないまま進むことがあります

迷う状況かどうかの線引きは避妊を心配しすぎかどうかの見分け方で詳しく整理しています。

ゴムありの妊娠確率についてよくある質問

ゴムをつけていても妊娠することはありますか

あります。ただしその多くは、破れたり外れたり、途中から着けたりと、正しく使えていなかった回です。最初から最後まで正しく使えていた場合の妊娠率は1年で2%程度まで下がります。

ゴムありで外出しもしたら妊娠しませんか

コンドームを正しく使えていれば、外出しを重ねたかどうかで大きく変わるものではありません。逆に、外出しはコンドームの代わりにはなりません。

危険日にゴムありなら大丈夫ですか

正しく使えていれば、排卵日付近であっても妊娠の可能性は低いままです。ただし排卵日付近は、1回のミスが妊娠につながりやすい時期でもあります。破れた・外れた心当たりがあるなら、時期にかかわらず72時間以内の対応を検討してください。

ゴムを二重にすれば避妊率は上がりますか

上がりません。ゴム同士がこすれて破れやすくなるため、かえって危険です。重ねるのではなく、ピルとの併用で二重にします。

生理が来ないのですが妊娠でしょうか

妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から使えます。強い不安やストレスで生理が遅れることもあるため、まずは検査薬が使える時期になったかを確認してください。

まとめ

ゴムありの妊娠確率18%は、1年間の現実の使われ方をまとめた数字です。1回あたりの確率ではなく、正しく使えていれば2%まで下がります。差を生んでいるのは製品の性能ではなく、着けるタイミング、空気抜き、サイズ、抜き方といった使い方の部分です。

破れた、外れた、途中から着けたという心当たりがあるときだけ、72時間以内という時間の勝負になります。毎回不安になるのであれば、ピルを足して守りを二重にするほうが、そのつど心配するより現実的です。

参考文献

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