膣内に装着する女性用コンドームがあることをご存知でしょうか。性交渉の8時間前から装着でき、ペニスに圧迫感がないのが特徴です。
この記事では、女性用コンドームの使い方や注意点についてわかりやすく解説していきます。さらに、女性が主体的にできる別の避妊方法についても紹介します。望まない妊娠を防ぐために、ぜひ参考にしてみてください。
女性用コンドーム「フェミドーム」2024年12月現在は購入不可!
引用元:NHS「Internal (female) condoms」
女性用コンドームの「フェミドーム(femidom)」は、日本では生産が中止されており、現在は一般の小売店での購入は困難な状況です。類似品は流通していますが、購入を検討する場合は、品質に信頼性のあるメーカーの商品かどうかを慎重に確認する必要があります。
女性用コンドームは膣内に装着するバリア型の避妊具
(編集部作成)
女性用コンドームは、膣内から外陰部にかけて覆う避妊具です。ポリエーテルやポリウレタン素材で作られており、ラテックス製の男性用コンドームよりも丈夫な特徴があります。
女性用コンドームの使用感における研究によると、使用した男性の約6割が「ペニス挿入はスムーズである」「膣内での射精感が強い」と回答していました。
使用方法が複雑なので使いづらさが難点ですが、ペニスに圧迫感がないため、開放的に挿入できること。そして、男性に頼らなくても女性の意思だけで避妊具を使用できる利点があります。
参考:厚生労働化学研究成果データベース「男性における女性用コンドームの使用感と女性における使用意欲との関連に関する研究」
女性用コンドームの使い方
女性用コンドームは内側と外側にリングが付いた袋状の避妊具で、性交渉の8時間前まで装着が可能です。
女性用コンドームの正しい装着方法
女性用コンドームの正しい装着方法は以下の手順で行います。
- しゃがむか片足を椅子に乗せて挿入しやすい姿勢をとります
- コンドームを取り出す際は爪を立てたり破ったりしないよう注意しましょう
- コンドームを広げ、開口部を上にして持ちます
- 内リングの持ち方は2種類あります
・親指と中指で内リングをはさみ、楕円状にする
・親指と4本の指で内リングを包むように押さえる - 反対の手で膣の入り口を広げ、タンポンのように膣内に挿入します
- 全体の8割ほど挿入したら、人差し指で内リングを奥まで押し込みます
装着後は、外リングは膣入り口から2〜3cm出した状態にして、膣入り口や外陰部を覆うように広げます。もし外側のリングが膣内に入ってしまった場合でも、射精前であれば取り出して再度装着することが可能です。
女性用コンドームの取り外し方と廃棄方法
取り外す際は、横になったまま、精液がこぼれないように引き出しましょう。コツとしては、外リングを軽くひねると取り外しやすくなります。慎重に膣から取り外したら、ティッシュに包んでゴミ箱に捨てましょう。
女性用コンドームを使用する際の注意点3つ
女性用コンドームを安全に使用するために、以下の注意点を守る必要があります。
注意点1|男性用コンドームとの併用は避ける
女性用コンドームは、男性用コンドームと同時に使用してはいけません。素材同士が引っかかり合い、破損やズレの原因となります。より高い避妊効果を得たい場合は、低用量ピルとの併用がおすすめです。
注意点2|破けないよう取り扱いに注意する
薄い素材でできているため、爪や歯で傷つけないよう慎重に扱う必要があります。特に開封時や装着時には注意が必要です。また、パートナーからの愛撫の際にも、コンドームを傷つけないよう注意を払う必要があります。
注意点3|1個につき1回まで!何度も使用するのはNG
女性用コンドームは1回限りの使用が原則で、洗浄して再利用することはできません。男性用コンドームと同様に、コンドームの機能が低下し、破れや漏れが起こりやすくなります。性交のたびに新しいものに取り替え、品質が疑わしいものは使用せずに廃棄しましょう。
女性が主体的にできる避妊方法
最も一般的な避妊方法である「男性用コンドーム」は、男性側が装着するため、行為中に黙って外すなど、悪質な手法を取られる可能性も否定できません。
ご自身の大切な身体を守るために、女性が主体的にできる避妊方法を知っておきましょう。
低用量ピル (経口避妊薬) | ・毎日服用することで排卵を抑制します生理痛の軽減や月経量の減少などの効果もあります ・正しく服用すれば99%程度の避妊効果があります |
IUS (子宮内システム) | ・子宮内に入れる小さな器具で、黄体ホルモンを放出します ・一度の挿入で最長5年間の避妊効果があります避妊率は99.8%と非常に高く、生理痛も軽減します |
IUD (子宮内避妊具) | ・子宮内に装着する避妊具です一度の装着で2~5年間効果が持続します ・避妊率は99.2~99.4%と高い効果があります |
一番手軽におこなえる避妊方法としては、低用量ピルが挙げられます。即効性はないため、前もって継続した服用が必要です。また、医師の処方が必要な薬剤なので診察を受けなければなりません。
わざわざ病院に行くのが面倒であれば、オンライン診療での処方も可能ですので、興味がある人はぜひ検討してみてください。
参考:厚生労働省「健康・医療 オンライン診療について」
女性用コンドームに関するよくある質問
女性用コンドームについて、多く寄せられる疑問にお答えします。
- 装着のタイミングはいつがベスト?
- 女性用コンドームは性交渉の8時間前から装着が可能です。これは男性用コンドームと異なる大きな特徴です。事前に装着しておくことで、より自然な流れで性行為に移行できます。
- 途中でズレてしまったらつけ直しても大丈夫?
- 外側のリングが膣内に入ってしまった場合でも、射精前であれば取り出して再度装着することが可能です。
ただし、装着し直す際は新しい製品を使用する必要があります。また、装着時は男性器が外側のリングから確実に挿入されるよう注意が必要です。
まとめ
女性用コンドームは、女性が主体的に使用できる避妊具で、正しく利用できれば、男性用コンドームと同様の避妊効果が期待できます。内側と外側にリングが付いた袋状の構造で、性交渉の8時間前まで装着でき、ペニスに圧迫感がないのが特徴です。
装着方法は、しゃがむか片足を上げた姿勢で内側のリングを膣内に深く挿入し、外側のリングは外に出したままにします。男性用コンドームとの併用は破損の原因となるため避ける必要があります。
使用後は外側のリングをつまんでひねり、精液が漏れないよう注意深く取り外すのが重要です。もし装着中にズレが生じても、射精前であれば取り出して再度装着することが可能です。
現在、日本国内では製造が行われておらず、入手が困難な状況にあります。海外製品は医療機器としての認証がないため、安全性が確実ではありません。
避妊効果をより確実にしたい方は、医療機関に相談の上、低用量ピルの服用を検討することをおすすめします。