トリコモナスの放置は危険!主な症状や感染経路についても紹介

「最近、おりものの量や臭いが気になる」「排尿時に痛みを感じる」と感じたら、トリコモナス感染症のサインかもしれません。トリコモナスは性感染症の一種ですが、性行為の経験がない方でも感染する可能性があります。

この記事では、トリコモナスがどのような病気なのか、その主な症状や感染経路について分かりやすく解説します。また、放置した場合のリスクについても触れていきますので、自分や大切なパートナーを守るためにも、ぜひ最後までご覧ください。

医師 新田凌也
当記事の監修医師
医師:新田 凌也
島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

トリコモナスはトリコモナス原虫による感染症

トリコモナス症は、トリコモナス原虫という微生物によって引き起こされる感染症です。性感染症の一種であり、主に性行為によって感染しますが、それ以外の経路でも感染する可能性があります。

参考:J-Stage「トリコモナス感染症

特徴1|原虫による感染症であること

トリコモナスは、細菌やウイルスではなく、原虫という微生物によって引き起こされます。

原虫とは、肉眼では見えない大きさの、アメーバのような単細胞の微生物です。このトリコモナス原虫が、主に性器や尿路に寄生することで炎症を引き起こし、様々な症状が現れます。

特徴2|性器や尿路に感染して炎症を引き起こす

トリコモナス原虫は、主に女性の膣や男性の尿道に感染し、炎症を引き起こします。

女性の場合、膣炎を引き起こし、おりものの増加やかゆみ、外陰部の痛みなどの症状が現れることがほとんどです。男性の場合、尿道炎を引き起こし、排尿時の痛みや尿道からの分泌物などの症状が現れます。

特徴3|性行為経験のない女性や幼児でも感染する可能性がある

感染経路は性行為だけでなく、下着やタオル、バスルーム、トイレの便座などを介して感染することもあります。そのため、性行為の経験がない女性や幼児にもしばしば感染者がみられることが特徴です。

近年の日本では減ってきている性感染症ですが、中高年層でまれに見られることがあり、まだまだ注意するべき性感染症として認識されています。

トリコモナスの症状を男女別に紹介

ここでは、トリコモナスに感染した際に現れる症状を男女別に紹介します。心当たりがないか確認してみてください。

男性の場合は前立腺や精のう、尿道に寄生する

男性の約80%は感染に無自覚とされていますが、症状がある場合は以下のような軽い症状が現れます。

  • 排尿時の軽い痛み
  • 尿道口から分泌液(無色~白色)が出る
  • 尿道へのかゆみ・熱感・違和感

トリコモナス原虫は前立腺や精囊などに棲息し、たまたま尿道にでてくると症状があらわれることがあります。尿道のみの感染の場合、排尿により排出されて治る可能性もありますが、多くの場合は前立腺炎を伴っています。

女性の場合は膣や子宮頸管、膀胱、尿道に寄生する

女性の場合、以下のような症状が見られます。

  • 黄色や黄緑色の泡状のおりものが増加
  • においが強い(生臭い)おりもの
  • 腟や外陰部の強いかゆみ、痛みがある

また、膣以外にも、子宮頸管・膀胱・尿道への感染リスクがあり、早産・卵管炎・不妊症・子宮内膜炎などを発症するリスクが高まります。女性の場合も感染者の半数が無症状ですが、症状が出る場合は男性より強い症状が現れるようです。

トリコモナスの主な感染経路

ここでは、トリコモナスがどのように感染するのか、主な感染経路についてご説明します。

感染経路1|性行為による感染

トリコモナス膣炎は、性行為によって感染することが最も多いです。膣性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染する可能性があります。

パートナーがトリコモナスに感染している場合、感染する可能性が高くなるため注意が必要です。コンドームを正しく使用することで感染リスクを減らすことができますが、完全に防げるわけではありません。

感染経路2|日常生活での感染もあり得る

トリコモナス膣炎は、性行為による感染が主な原因ですが、まれに日常生活でも感染する可能性があります。

トリコモナス原虫は、湿った環境で生存することができるため、トイレの便座、浴槽、タオル、下着などを共用した場合に感染することがあるようです。ただし、プールの水や温泉の湯で感染することはほとんどありません。

トリコモナスは自然治癒することはない!放置すると不妊や流産のリスクも

引用元:丸石製薬株式会社「メトロニダゾールゲル0.75%「マルイシ」

トリコモナスは自然治癒せず、放置すると女性では不妊や流産のリスクを高める可能性があるため、早期の検査と治療が重要です。感染が疑われる場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。

トリコモナスの治療には、メトロニダゾールなどの抗原虫薬が用いられます。通常、10日間程度の服用が必要です。女性の場合は、内服薬に加えて腟錠を使用することもあります。

ピンポン感染※を防ぐためにも、パートナーも同時に治療を受けることが重要です。完治後も再感染のリスクがあるため、予防策を継続するようにしてください。

※ピンポン感染とは、パートナー間で性感染症が繰り返し感染すること

まとめ

トリコモナスは、トリコモナス原虫によって引き起こされる感染症です。性器や尿路に感染し、炎症を引き起こすのが特徴です。男性の場合は前立腺や精のう、尿道に、女性の場合は膣や子宮頸管、膀胱、尿道に寄生します。

主な感染経路は性行為ですが、タオルや下着の共有、浴槽や便座などを介して、日常生活の中で感染する可能性もあります。そのため、性行為の経験がない女性や幼児でも感染することがあり、若年層から高齢者まで幅広い年齢層で感染がみられます。

トリコモナスは自然治癒することはなく、放置すると不妊や流産のリスクを高めることにもつながります。少しでも気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。

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