妊娠前には何とも思わなかった旦那さんの体臭や、炊きたてのご飯の香り、いつも使っていたシャンプーのにおいが、急に不快に感じられるようになる。これが「においづわり」の始まりです。
本記事では、なぜ妊娠するとにおいに敏感になるのか、どのようなにおいに特に反応しやすいのか、そしてつらいにおいつわりを乗り切るための効果的な対策法をご紹介します。急に変化した嗅覚との付き合い方を知って、より快適なマタニティライフを送りましょう。

目次
つわりのにおいとは?妊娠初期に嗅覚が変化する理由
妊娠初期のつわりで、今まで平気だったにおいが急に耐えられなくなる、というのは多くの妊婦さんが経験する症状の一つです。

(PRTIMES「ルナルナ|“つわり”について」を参考に編集部作成)
上記のアンケートによると、つわりの症状として67.2%の人が「においに敏感になる」と感じていることが分かりました。ほぼ7割の人が経験していることから、ほとんどの人が経験する変化と言ってもよいでしょう。
妊娠すると女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が増加し、高い状態が継続します。エストロゲンには脳内のセロトニン分泌を促進する作用があり、これによって嗅覚の感受性が高まり、特定のにおいに対して過敏に反応してしまうのです。
例えば、普段は気にならないご飯の炊けるにおいや、旦那さんのにおい、シャンプーのにおいなどが、急に不快に感じられることがあります。
つわりで不快に感じるにおいには何がある?よくある5つの例
つわりに感じる不快なにおいの多くは、実はアンモニアが原因となっている場合が多いです。アンモニアは、人間の汗や尿、タバコの煙、腐敗物などに含まれています。嗅覚が過敏になっている妊婦さんにとっては、微量のアンモニアでも不快に感じてしまうということです。
例1|ごはんが炊けるにおい
炊きたてのごはんの香ばしいにおいも、つわり中は不快に感じる妊婦さんがいます。「気持ち悪い」と感じるのは、お米に含まれるたんぱく質が加熱分解される際に、微量のアンモニアが発生するためです。
例2|タバコのにおい
タバコの煙には、アンモニアをはじめとする多くの有害物質が含まれています。そのため、普段からタバコのにおいが苦手な方はもちろん、そうでない方もつわり中は特に敏感になるのです。
例えば旦那さんがタバコを吸っていたり、タバコの煙を浴びる環境から帰宅した際に、強い不快感を覚えることがあります。
例3|香水や洗剤、シャンプーのにおい
香水や洗剤、シャンプーなど、香料が含まれている製品のにおいも、つわり中は不快に感じる場合があります。これらのにおいで悩んでいる方は、無香料の製品に切り替えることをおすすめします。
最近では、においが苦手な方向けの製品も多く販売されていますので、つわり中でも使いやすい商品が見つかるでしょう。
例4|体臭や加齢臭
体臭や加齢臭も、アンモニアが原因で発生します。そのため、人混みだけでなく、上の子のにおいや旦那さんのにおいなど、身近な人の体臭が気になってしまう妊婦さんもいます。人によっては、自分自身のにおいまでもが気になる方もいるかもしれません。
家族のにおいに対して嫌悪感を持ってしまうのは、「妊娠による生理的な反応」であり、決して家族への感情の変化ではありません。
自分を責めずに、一時的な現象であることをきちんと伝えましょう。理解を得ることで、こまめな換気や適度な距離を取るなどの対策を取ることが可能です。
例5|食べ物のにおい
つわり中は、特定の食べ物のにおいがダメになることがあります。油のにおいなど、普段は好んで食べていたものでも、においを嗅ぐだけで吐き気を催す場合もあります。栄養素など気になることもあるかと思いますが、まずは自分が食べられるものを見つけることが大切です。
どうしても難しい場合は、飲み物だけでも摂取して、しっかりと水分補給を心がけましょう。
つわりのにおい対策3選
残念ながら、つわりに対して有効な国内認可薬は2025年2月現在ではありません。ここでは、つわり期のにおい対策として、有効な手段を3つ紹介します。
対処法1|梅干しやレモンなどの酸っぱい食品を活用する
妊娠初期のつわりで、においに敏感になっている時に効果的なのが、酸っぱい食品です。梅干しやレモンなど、酸味のある食べ物は、つわりによる吐き気を抑える効果が期待できます。
においづわりで、ご飯のにおいや油のにおい、洗剤のにおいなどが辛い場合でも、これらの酸っぱい食品を口にすることで、不快感を軽減できるかもしれません。個包装のグミなどを持ち歩いておくとよいでしょう。
対処法2|クエン酸を希釈した溶液をマスクに使用する
つわり中のにおい対策として、クエン酸を活用する方法もおすすめです。クエン酸を水で薄めた溶液をマスクにスプレーして使用することで、においを軽減する効果が期待できます。
トイレのにおいや、家のにおい、部屋のにおいなど、様々なにおい対策に役立ちます。無香料のボディソープと併用すると、より効果的でしょう。
対処法3|食べ物は冷ましてから食べる
温かい食べ物は、においが立ちやすく、つわり中の妊婦さんにとっては辛いものです。食べ物のにおいで吐き気を感じてしまう方は、食べ物を冷ましてから食べるようにしましょう。
炊きたてのご飯のにおいが苦手な方は、ご飯を冷ましてから食べる、あるいは、においのしない食べ物を選択するのがおすすめです。
まとめ
妊娠初期のつわりで起こる「においに敏感になる」という変化は、実に7割近くの妊婦さんが経験する一般的な症状です。これは急激な女性ホルモンの変化によって引き起こされる自然な反応であり、特に心配する必要はありません。
炊きたてご飯の香り、タバコの煙、香水や洗剤のにおい、体臭、そして様々な食べ物のにおいなど、普段は何とも思わないものが突然不快に感じられるようになるのは、主にアンモニアに対する感受性が高まっているためです。
においづわりを少しでも快適に乗り切るには、梅干しやレモンなどの酸っぱい食品を活用する、クエン酸溶液をマスクに使用する、食べ物は冷ましてから食べるなどの対策が効果的です。また、無香料の製品を使用したり、こまめな換気を心がけたりすることも大切です。
この嗅覚の変化は一時的なものであり、ほとんどの場合、安定期に入ると症状が落ち着いてきます。家族や周囲の人には状況を理解してもらい、適切なサポートを受けながら、この特別な時期を穏やかに過ごせるよう工夫していきましょう。
つわりの時期は大変ですが、お腹の赤ちゃんのためにも、ご自身の体調を第一に考え、無理なく過ごしてください。つらい時は一人で抱え込まず、気軽に医療機関に相談し、一緒に乗り越えていきましょう。