「ピルをやめたらいつから妊娠できるの?」「すぐに妊娠しても大丈夫?」ピルの服用を中止を検討している人の中には、妊娠についての疑問をお持ちの方も多いはず。
この記事では、ピル中止後の体の変化や妊娠の可能性について、わかりやすく解説します。服用を中止する際の注意点や、中止後に生理が来ない場合に考えられる原因についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ピルの服用中止直後に妊娠した!これってよくあるの?
「ピルの服用中止直後に妊娠した」という話は決して珍しいことではありません。むしろ、ピルを中止した直後は、子宮内膜の状態も良く、妊娠しやすい状態にあるといえます。
低用量ピルを長期間服用していると、「妊娠しづらくなるのでは?」と思う方もいらっしゃいますが、ピルの服用が直接、将来の妊娠に悪影響を与えることはありません。
ピルの服用中は、卵巣がお休みしている状態になります。中止する頃には子宮も卵巣も妊娠しやすい準備万端な状態にあるため、妊娠の可能性は十分にあります。
(「Rate of pregnancy after using drospirenone and other progestin-containing oral contraceptives」を参考に編集部作成)
ヨーロッパで実施した研究によると、ピルをやめてから1周期目で妊娠する確率は21.1%、3周期以内では45.7%、1年後には79.4%、2年後には88.3%というデータがあります。
もちろん、個人差はありますので、必ずしもすぐに妊娠するとは限りません。しかし、ピルの服用中止直後に妊娠する、というのは決して特別なケースではないと言えるでしょう。
ピルを服用中止すると早くて1ヶ月で妊娠可能!胎児への影響は?
ピルの服用を止めると、卵巣の活動が再開します。個人差はありますが、約1週間ほどで卵巣は再び働き始め、2〜4週間で排卵が再開することがほとんどです。
正常な生理周期に戻るまで3ヶ月ほどかかる場合もありますが、約半数の女性が1ヶ月以内に妊娠可能な状態に戻り、2〜3ヶ月以内にはほとんどの女性が妊娠可能になります。そのため、妊娠を望んでいない場合は、必ず避妊をするようにしてください。
なお、日本で行われた研究によると、ピル服用中止後に妊娠したことによる胎児への悪影響は、現在確認されていませんのでご安心ください。
参考:国立保険医療科学院「経口避妊薬服用後妊娠による心身障害児発生の防止対策に関する研究」
ピル服用中に妊娠しないのはなぜ?低用量ピルのメカニズム
低用量ピルは、2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を配合することで、妊娠を防ぎます。これらのホルモンは、脳下垂体からの排卵を促すホルモンの分泌を抑え、排卵そのものを抑制する働きがあります。
引用元:政府広報オンライン「2.妊娠が成立するまで」
妊娠の成立には、まず「排卵」されていることが必須です。低用量ピルはその排卵を抑制しているため、正常に抑制できていれば妊娠することはありません。また、受精卵が着床しにくくする効果や精子の侵入を防ぐ役割も果たしています。
そして、ピル服用中に起きている出血は「生理」ではありません。休薬期間中にホルモン量が低下することで起こる「消退出血」になります。そのため、通常の生理より量が少なく、痛みも軽くなるのです。
ピル服用を中止する際の3つの注意点
ピルの服用を中止すると、身体に様々な変化が現れる可能性があります。そのため、中止する際の注意点について理解しておきましょう。
注意点1|中止する前に医師に相談する
ピルはホルモンバランスに影響を与える薬です。自己判断で突然中止してしまうと、体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、ピルの服用中止を検討する際は、まず担当の医師に相談しましょう。
相談することで、医師はあなたの体調や服用状況を把握し、適切な中止時期や方法をアドバイスしてくれます。基礎疾患の有無や今後の妊娠計画などを相談することで、より的確にサポートしてくれるため、気軽に相談してみてください。
注意点2|生理に関する不調を感じやすくなる
ピルを服用中は、ホルモンバランスが安定しているため生理が軽くなる、生理痛がなくなるなどの効果があります。しかし、中止するとこれらの効果がなくなるため、以前のような生理の不調を感じやすくなることがあります。
- 生理痛が重くなる
- 生理不順になる
- 生理の量が増える
- PMS(月経前症候群)の症状が悪化する
などの症状が現れることがありますので、症状が強い場合は我慢せずに婦人科を受診しましょう。
注意点3|妊娠を望まないなら必ず避妊する
ピルの服用を中止すると、卵巣の機能が回復し、排卵が再開します。服用を中止してからすぐに妊娠することもあるため、妊娠を希望しない場合は、ピルの中止と同時にコンドームなどの避妊方法を併用することが大切です。
むしろ、子宮も卵巣も妊娠しやすい準備万端な状態にある場合もありますので、「少しなら大丈夫」と思わずに、しっかりと避妊を心がけるようにしてください。
ピルの服用中止後に生理が来ない時に考えられる原因
ピルの服用中止後、少し経っても生理が再開しない場合、いくつかの原因が考えられます。
原因1|体が通常の周期に戻っていない
ピルの服用を中止すると、体は元のホルモンバランスを取り戻そうとします。
この調整には個人差があり、数ヶ月かかる場合も珍しくありません。そのため、ピル服用中止直後に生理が来なくても、必ずしも異常ではありません。特に、もともと生理不順だった方は、周期が安定するまでに時間がかかる傾向があります。
3ヶ月以上経っても生理が来ない場合、きちんと排卵が起きていない可能性があるため、婦人科を受診するようにしてください。
原因2|妊娠している
ピルを中止すると、すぐに妊娠可能な状態に戻ります。そのため、服用中止直後に妊娠するケースも珍しくありません。心当たりがあれば、市販の妊娠検査薬を試してみる、もしくは医療機関を受診し、検査を受けることをおすすめします。
原因3|婦人科系疾患が隠れている
稀なケースですが、婦人科系の疾患が原因で生理が来ない可能性も考えられます。子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などは、生理不順や無月経を引き起こすことがあります。
ピル服用中止後、長期間生理が来ない、あるいは強い腹痛や不正出血などの症状がある場合は、速やかに婦人科を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
まとめ
ピルの服用を中止した直後に妊娠することは、決して珍しいことではありません。
ピルは将来の妊娠に影響を与えることはなく、服用を中止すると、子宮は妊娠に向けて準備を整えている状態になるためです。実際、ピルの服用を中止してから早ければ1ヶ月で妊娠する可能性もあります。
ピルを服用している間は、排卵が抑制されるため妊娠しにくい状態になります。しかし、服用を中止すると、この抑制が解除され、体が自然な生理周期に戻ろうとします。
この過程で、一時的に生理が来なかったり、不調を感じたりすることがありますが、これは体が正常な状態に戻ろうとしているサインです。
ピルの服用を中止する際には、事前に医師に相談することをおすすめします。また、妊娠を望まない場合は、ピルの服用を中止した直後から、必ず避妊するようにしてください。
ピルの服用を中止した後に生理が来ない場合は、体が通常の周期に戻っていない、妊娠している、または婦人科系の疾患が隠れているなどの原因が考えられます。不安な場合は、早めに医療機関を受診しましょう。