PMS(月経前症候群)の症状は、吐き気や腹痛、イライラ、気分の落ち込みなど、人それぞれです。漢方薬は、体の内側から優しく働きかけ、自然治癒力を高めることで、PMSの症状を緩和していくと考えられています。
この記事では、PMSの精神症状や身体症状におすすめの漢方薬を紹介します。また、漢方薬の効果を最大限引き出す飲み方についても解説しますので、PMSを根本からしっかり改善したい方はぜひ参考にしてみてください。

目次
漢方薬はPMSの症状を根本的に緩和する効果が期待できる
PMS(月経前症候群)は、月経前に起こる心身の不調のことで、イライラ、憂鬱、腹痛、頭痛、むくみなど、様々な症状が現れます。
漢方医学では、PMSを「気・血・水」のバランスの乱れとして捉え、このバランスを整えることで根本的に緩和する効果が期待できます。
西洋薬(鎮痛剤やピルなどの一般的な薬剤)のように即効性があるわけではありませんが、継続して服用することで個々の体質や症状に合わせた治療が可能です。
漢方薬は、自然の生薬を組み合わせて作られた薬で、体の内側から優しく働きかけ、自然治癒力を高めることで、PMSの症状を緩和していくと考えられています。また、漢方薬は、個々の体質や症状に合わせて処方されるため、より効果的にPMSの改善が期待できます。
PMSの精神症状におすすめの漢方薬
ここでは、PMSの時期特有のイライラや気分の落ち込み、不安感などに効果が期待できる漢方薬をご紹介いたします。
加味逍遙散(かみしょうようさん)

引用:ツムラ「加味逍遙散」
対象 |
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イライラしやすく、ストレスを感じやすい、怒りっぽい、のぼせやすい、肩こり、めまい、不眠などの症状がある方 |
加味逍遙散は、PMSによく用いられる漢方薬の一つです。イライラや不安、抑うつ感といった精神症状に加え、肩こりやのぼせ、頭痛といった身体症状にも効果を発揮します。特に、ストレスを感じやすく、イライラしがちな方におすすめです。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

対象 |
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精神的な緊張や不安が強く、のどや胸につかえ感がある、動悸、息切れ、めまいなどの症状がある方 |
半夏厚朴湯は、気分がふさぎ、不安感や胃腸の不調を伴うPMSに効果的な漢方薬です。5つの生薬(半夏、厚朴、茯苓、蘇葉、生姜)から構成され、特に胃腸が弱く、気うつ傾向の方に適しています。咽喉の違和感や精神的不安を緩和し、全身のバランスを整える作用があります。
抑肝散陳皮半夏(よくかんさんちんぴはんげ)

引用:クラシエ「抑肝散陳皮半夏」
対象 |
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神経過敏でイライラしやすく、怒りっぽい、不眠、不安、焦燥感などの症状がある方 |
抑肝散陳皮半夏は、自律神経系の調節をしながら「血」を補い、「気」「血」の巡りを改善する処方です。PMSによる易怒性や精神症状に即効性があり、胃腸のはたらきを整える作用もあるため、胃腸の弱い方でも服用しやすい特徴があります。
PMSの身体症状におすすめの漢方薬
ここでは、PMSの時期特有の頭痛、肩こり、むくみ、疲労感、胃腸の不調などの身体症状に効果が期待できる漢方薬をご紹介いたします。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

対象 |
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冷え性で、貧血気味、疲れやすい、めまい、むくみ、下腹部痛、腰痛などの症状がある方 |
冷え性や貧血気味の方には、当帰芍薬散がおすすめです。当帰芍薬散は、血行を促進し体を温める作用に加え、貧血を改善する効果も期待できます。
冷えや貧血によって引き起こされる、めまいやふらつき、立ちくらみなどの症状の緩和。普段から冷え性で、PMS期間中は特に症状が重くなるという方や、貧血気味の方に適しています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

対象 |
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のぼせやすく、顔が赤くなる、肩こり、頭痛、めまい、下腹部痛、便秘などの症状がある方 |
桂枝茯苓丸は、PMSの身体症状、特に下腹部痛や腰痛、むくみなどの症状に効果的な漢方薬です。血行を改善し、「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血液の滞りを解消する作用があります。
特に、生理痛が重く、下腹部に張りや痛みを感じやすい方、また冷えやむくみに悩む方におすすめです。
五苓散(ごれいさん)

対象 |
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むくみが強く、尿量が少ない、口が渇く、めまい、頭痛などの症状がある方 |
PMSによるむくみや水分代謝の乱れに効果的なのが五苓散です。五苓散は、体内の余分な水分を排出する働きがあり、むくみを軽減する効果が期待できます。
また、水分代謝が改善されることで、頭痛や吐き気などの症状も和らぐことがあります。特に、PMS期間中に顔がむくみやすかったり、足が重だるくなったりする方におすすめです。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

対象 |
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むくみが強く、尿量が少ない、口が渇く、めまい、頭痛などの症状がある方 |
だるさや疲れやすさ、食欲不振といった症状に悩まされている場合は、補中益気湯がおすすめです。補中益気湯は、気力を補い、胃腸の働きを活発にすることで、全身の倦怠感を改善する効果が期待できます。
仕事で疲れが溜まりやすく、PMS期間中は特にだるさが増すという方に向いています。
PMSへの効果を最大限引き出す漢方薬の飲み方
ここでは、漢方薬の効果をより高めるための飲み方のポイントを紹介します。
ポイント1|水や白湯で飲む
漢方薬は水または白湯で飲むことが基本です。また、白湯で飲むことで胃腸が温められ、消化吸収が促進されます。漢方薬の成分が溶けやすくなるためおすすめです。
お茶やジュースなどで飲むと、薬の吸収や効果に影響を与える可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
ポイント2|空腹時に服用する
漢方薬は、一般的に空腹時に服用するのが効果的と言われています。食後すぐの服用は、胃腸への負担を増大させる可能性があるため、食間や就寝前など、胃の中に食べ物がないタイミングで服用するようにしましょう。
朝食前、昼食と夕食の間、就寝前などが服用しやすいタイミングです。ただし、胃腸が弱い方は、食後に服用した方が良い場合もありますので、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
ポイント3|3カ月~半年ほど継続する
漢方薬は、すぐに効果が現れるものではなく、ある程度の期間、継続して服用することが重要です。効果を実感するためには、3カ月から半年程度の服用期間が必要となる場合もあります。
焦らずに、じっくりと体質改善に取り組むようにしましょう。もし、服用中に症状が悪化したり、新たな症状が現れた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。
ポイント4|自己判断で中止しない
漢方薬は、西洋薬(通常の薬)のように即効性があるわけではありません。体質改善を目的として服用するため、効果が現れるまでに時間がかかる場合が多いです。
一般的には、3カ月〜半年ほど継続して服用することで、PMSの症状が徐々に改善していくと言われています。
効果がなかなか実感できないからといって、すぐに服用を中止してしまうのではなく、根気強く飲み続けることが大切です。継続服用しても効果が見られない場合は、医師または薬剤師に相談してみましょう。
まとめ

漢方薬は、PMS(月経前症候群)の症状緩和に役立つ可能性があります。即効性はありませんが、根本的な体質改善が期待できるのが特徴です。
精神症状には、「加味逍遙散」や「半夏厚朴湯」、「抑肝散陳皮半夏」などがあります。身体症状には、「当帰芍薬散」や「桂枝茯苓丸」、「五苓散」や「補中益気湯」などがおすすめです。
PMSに効く漢方薬を飲む際は、空腹時に服用し、3カ月〜半年ほど継続することがポイントです。また、自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談しながら服用しましょう。
漢方薬は、PMSの症状を和らげる選択肢の一つです。市販でも購入できますが、症状等によっては処方すべき薬が異なるケースもあります。可能な限り自己判断せず、医師に相談して処方してもらうようにしましょう。
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