後期つわりとは?初期つわりとの違いや症状を軽減する対策法を紹介

ようやく安定期に入り快適に過ごせるようになったと思ったら、妊娠後期に再び吐き気や胃の不快感に悩まされることがあります。これが「後期つわり」です。子宮の成長による胃腸への圧迫が主な要因となるため、胸焼けや胃もたれといった消化器系の不快感が特徴的です。

この記事では、後期つわりの症状や原因、効果的な対策法、おすすめの食事法から、医療機関に相談すべきケースまで詳しく解説します。つらい症状を少しでも和らげ、妊娠後期を快適に過ごすためのヒントを紹介します。

医師 新田凌也
当記事の監修医師
医師:新田 凌也
島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

後期つわりとは?いつからいつまで?

妊娠後期に、まるで初期のつわりが戻ってきたかのような症状に悩まされる方がいます。

これが「後期つわり」です。

妊娠初期のつわりは、ホルモンバランスの変化が主な原因と考えられている一方、後期つわりは、大きくなった子宮が胃や腸を圧迫することで、吐き気や胃もたれなどの症状を引き起こすと考えられています。

初期のつわりに比べて、後期つわりは胸やけや胃もたれといった消化器系の症状が強く出る傾向があります。例えば、食後に胃が重く感じたり、食べたものが逆流してくるといった症状です。また、胎動が活発になることで、夜眠れなくなる方もいらっしゃいます。

後期つわりは、出産まで続く場合もあれば、数週間で落ち着く場合もあります。個人差が大きく、7ヶ月頃から始まる方もいれば、8ヶ月、9ヶ月になってから症状が現れる方もいます。「急に後期つわりが始まった」と感じる方もいるかもしれません。

つらい嘔吐の症状に対しては、薬を処方してもらえる場合もあります。しんどいと感じたら、我慢せずに医師や助産師に相談しましょう。

後期つわりの主な症状と対策法

ここでは、後期つわりの症状と対策法についてご説明します。

症状1|吐き気・嘔吐が続く

妊娠後期に入り、赤ちゃんが大きくなるにつれて、胃や腸などの消化器官が圧迫されます。そのため、吐き気や嘔吐といった症状が現れることがあります。

対策としては、食事を分けて1回に食べる量を減らしたり、脂肪分の多い食事を避けるなどが良いでしょう。なるべく消化に良いものを食べるのがポイントです。

症状2|胃もたれ・胸焼けがひどい

子宮が大きくなることで、胃が圧迫され、胃酸が逆流しやすい状態になります。その結果、胃もたれや胸焼けといった症状が起こりやすくなります。また、妊娠後期にはホルモンバランスの変化により、消化機能が低下することも原因の一つです。

対策としては、食後すぐに横にならないように心がけたり、ゆったりとした服装にしてお腹周りを締め付けないようにしましょう。

症状3|食べても気持ち悪い、食欲不振になる

胃の圧迫やホルモンバランスの変化により、食欲不振になる妊婦さんもいます。食べられるものが限られてしまったり、何を食べても気持ち悪く感じてしまう場合もあります。

対策としては、冷たいものなどのさっぱりとしたものを口にしたり、食べられるときに食べれられるものを食べるようにしてみてください。

症状4|便秘や動悸・息切れが起こる

妊娠後期になると、子宮が大きくなり腸を圧迫することで便秘になりやすくなります。また、大きくなった子宮が横隔膜を押し上げることによって、肺が圧迫され、動悸や息切れが起こりやすくなります。

対策としては、食物繊維を多く含む食品を摂取したり、適度な運動を心がけましょう。反対に、動悸や息切れが起こる場合は無理をせず、こまめに休憩を取るようにしてください。

後期つわりの主な原因。なぜ妊娠後期に吐き気が出るの?

せっかく初期のつわりを乗り越えたのに、「またつわり?」と感じる人もいらっしゃると思います。なぜ妊娠後期に吐き気が出るのでしょうか、後期つわりの主な原因を3つ紹介します。

原因1|子宮の成長による胃腸の圧迫

妊娠後期になると、赤ちゃんはさらに成長し子宮も大きくなります。この大きな子宮が胃や腸を圧迫することで、吐き気や消化不良などの症状を引き起こすことがあります。

原因2|ホルモンバランスの変化

妊娠中は、プロゲステロンというホルモンの分泌が増加します。

プロゲステロンは、子宮の収縮を抑えて妊娠を維持するために重要な役割を果たしますが、胃腸の動きを鈍らせる作用もあるのです。そのため、妊娠後期にプロゲステロンの影響で胃の不快感や吐き気が強まることがあります。

原因3|ストレスや自律神経の乱れ

妊娠後期は、出産への不安や身体の変化によるストレスを感じやすい時期です。また、ホルモンバランスの変化も自律神経の乱れに繋がることがあります。

これらのストレスや自律神経の乱れが、つわりの症状を悪化させる一因となる可能性があるため注意が必要です。強い不安を感じると吐き気がしたり、眠りが浅くなって体調を崩しやすくなるなど、心身ともに影響を受けることもあります。

後期つわりにおすすめの食べ物

妊娠後期につわりがぶり返したり、新たに症状が出たりする方もいらっしゃいます。つらい症状を少しでも和らげるために、食事で工夫できることがあります。

後期つわりでおすすめなのは、消化がよく胃に負担が少ない食べ物です。例えば、おかゆ、うどん、柔らかく煮た野菜、豆腐などが挙げられます。

少量ずつ、頻回に食べることも大切です。

冷たい食べ物の方が食べやすいと感じる方もいます。冷奴やヨーグルト、ゼリーなどもおすすめです。水分補給も忘れずに行いましょう。脱水症状を防ぐために、こまめに水分を摂ることが大切です。麦茶やスポーツドリンクなどがおすすめです。

後期つわりの薬は飲んでも大丈夫?病院に相談するべきケース

つわりは妊娠初期の症状と思われがちですが、妊娠後期にも起こることがあります。後期つわりで吐き気や嘔吐がひどい場合、薬に頼りたいと思う方もいるかもしれません。

妊娠後期は胎児への影響も考慮しなければなりません。市販薬を自己判断で服用するのは避けましょう。必ず医師に妊娠していることを伝えたうえで処方してもらうことが重要です。

吐き気がひどく、食事もままならない場合は、点滴で栄養を補給するケースもあります。薬が飲めないと諦めるのではなく、我慢せずに医療機関を受診しましょう。

まとめ

妊娠後期に現れる「後期つわり」は、多くの妊婦さんを悩ませる症状です。大きくなった子宮による胃腸の圧迫やホルモンバランスの変化、ストレスなどが原因となり、吐き気や嘔吐、胃もたれ、胸焼け、食欲不振などの症状が現れます。

これらの症状を和らげるためには、少量ずつ消化の良い食事を摂ることや、体を締め付けない服装を心がけること、適度な休息を取ることなどが効果的です。おかゆやうどん、豆腐などの消化の良い食べ物や、冷奴やゼリーなどの冷たい食べ物も後期つわりの方におすすめです。

症状がひどく日常生活に支障をきたす場合は、自己判断での市販薬の服用は避け、必ず医師に相談しましょう。医師の処方による適切な薬や点滴などの治療を受けることで症状が緩和されることもあります。

一人で悩まず、つらい症状は我慢せずに医療機関を頼ることが大切です。出産までの限られた期間ですが、体調管理に気を配りながら、赤ちゃんとの対面の日を楽しみに過ごしましょう。

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