性器周辺の違和感や痛み、もしかして性器ヘルペスかも…と不安に感じている方もいるかもしれません。この記事では、性器ヘルペスの主な症状として、初感染時と再発時で異なる症状の特徴や、症状の程度について解説します。
性器ヘルペスは一度感染すると完治が難しい病気ですが、適切な治療で症状を和らげ、再発を予防することが可能です。性器ヘルペスに関する正しい知識を身につけ、もしもの時にも冷静に対処できるよう参考にしてみてください。
![医師 新田凌也](https://mirai-medical.clinic/wp-content/uploads/2025/02/sensei.png)
目次
性器ヘルペスは一度感染すると完治が難しい
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが原因で起こる性感染症で、感染によって性器やその周辺に水疱や潰瘍等の病変ができるのが特徴です。残念ながら、一度感染すると体内にウイルスが潜伏し続けるため、完治は難しい病気として知られています。
性行為による直接接触だけでなく、オーラルセックスやキス、稀に出産時の母子感染などでも感染する可能性があります。
このウイルスは、感染後2日から10日ほどの潜伏期間を経て発症します。症状が現れないままウイルスを保有している場合も多く、知らず知らずのうちに相手に感染させてしまうリスクも抱えています。
潜伏しているウイルスは、免疫力が低下した時などに再び活性化し、再発を引き起こします。そのため、感染した場合は再発を予防するための生活習慣を身につけることが大切です。
参考:国立感染症研究所「性器ヘルペスウイルス感染症とは」
性器ヘルペス初感染時の主な症状
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが原因で起こる性感染症です。初感染時は特に症状が強く出やすい傾向にあります。
症状1|性器周辺に水疱や潰瘍ができる
性器ヘルペスの最も特徴的な症状は、性器周辺に水疱や潰瘍ができることです。初めは小さな水ぶくれがいくつか現れ、次第に大きくなって潰瘍になります。
女性の場合、外陰部、膣、子宮頸部などに症状が現れ、男性の場合、陰茎、陰嚢、肛門周囲などに症状が現れることが多いです。
症状2|強い痛みや発熱を伴うことも
性器ヘルペスの初感染時は、強い痛みを伴うことが多く、発熱や頭痛、筋肉痛などの全身症状が現れることもあります。水疱や潰瘍が触れることによって生じるだけでなく、神経痛のような痛みを感じることもあります。
発熱は38度以上の高熱になることもあり、倦怠感や食欲不振を伴うこともあるため、注意が必要です。
症状3|排尿時痛や歩行困難
水疱や潰瘍が尿道口付近にできた場合は、排尿時に強い痛みを感じることがあります。
痛みのため排尿を我慢してしまうと、膀胱炎などの合併症を引き起こす可能性があるので注意しましょう。また、水疱や潰瘍が大きい場合や、痛みがある場合は、歩行が困難になることもあります。
性器ヘルペス再発時の特徴
性器ヘルペスは、一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、再発を繰り返すことがあります。ただし、再発時の症状は初感染時と比べて軽いことがほとんどです。
再発時の特徴1|同じ部位に浅い潰瘍ができる
性器ヘルペスの再発時は、初感染時と同じ場所に症状が現れることが多いです。
これは、ウイルスが神経節に潜伏しているため、同じ神経を伝わって皮膚に到達するためです。潰瘍の数は初感染時よりも少なく、大きさも小さい傾向があります。
再発時の特徴2|1週間以内で症状が改善する
再発時の症状は、通常1週間以内で改善します。これは、体がウイルスに対する免疫を持っているため、初感染時よりも早くウイルスを抑制できるためです。
しかし、免疫力が下がっていたり、再発を繰り返すうちに、症状が長引いたり、重症化したりする可能性もあるため、注意しましょう。
性器ヘルペスの治療方法
性器ヘルペスは、一度感染すると体内にウイルスが潜伏し続け、再発を繰り返す可能性のある感染症です。症状が出ている時だけでなく、再発を防ぐための治療も大切です。
治療法1|抗ウイルス薬での症状改善
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性器ヘルペスの治療には、抗ウイルス薬が用いられます。具体的には、バルトレックスやファムビルといった内服薬が処方されます。これらの薬は、ウイルスの増殖を抑えることで、症状の改善を促します。
初感染の場合、症状が強く出ているため、通常5〜10日間服用します。再発の場合は、症状が軽いため、5日間程度の服用で済むケースが多いです。水ぶくれや潰瘍といった症状が現れたら、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
治療法2|再発抑制療法で再発を防ぐ
性器ヘルペスは再発しやすい病気です。再発を繰り返すと、日常生活にも支障をきたす可能性があります。そこで、再発を予防するための「再発抑制療法」という治療法があります。
再発抑制療法では、毎日抗ウイルス薬を少量服用することで、再発のリスクを減らします。再発の頻度や症状の重さによって、医師が適切な薬の量や服用期間を判断します。再発に悩まされている方は、医師に相談してみてください。
性器ヘルペスと口唇ヘルペスの違いは?
性器ヘルペスと口唇ヘルペスは、どちらも単純ヘルペスウイルスによって引き起こされますが、原因となるウイルス型や発症部位、感染経路が異なります。
性器ヘルペスは主に性行為で感染する一方、口唇ヘルペスはオーラルセックスなどの接触感染で感染し、口唇やその周辺に水疱や潰瘍ができます。どちらも再発することがあるため、感染には注意が必要です。
治療法はどちらも抗ウイルス薬ですが、性器ヘルペスでは内服薬、口唇ヘルペスでは外用薬が用いられることが多いです。
性器ヘルペスかもと思ったら性病検査を
性器に水ぶくれができて痛みやかゆみがある場合、性器ヘルペスが疑われます。疑わしい症状が出たら、自己判断せず、すぐに性病検査を受けることが大切です。早期発見・早期治療によって、症状の悪化を防ぎ、再発のリスクを軽減できます。
地域によっては保健所などで匿名・無料で検査を受けられることもあるので、金銭的な事情で病院に行けないという場合でも、該当する症状がある場合は必ず検査を受けるようにしましょう。
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引用:東京都保険医療局「東京都性感染症ナビ」
都内の場合は「東京都性感染症ナビ」で詳細を確認することが可能です。他の地域でも同様の検査を実施しているため、「都道府県 梅毒検査 無料」などで調べてみてください。
性器ヘルペスは、性行為による直接接触だけでなく、オーラルセックスやキス、まれに出産時の母子感染などでも感染します。
コンドームを正しく使用することで感染リスクを低減できますが、完全に予防できるわけではありません。パートナーと性的な関係を持つ場合は、お互いの健康状態について話し合うことも大切です。
まとめ
性器ヘルペスは、一度感染するとウイルスが体内に潜伏し続け、完治が難しい性感染症です。主な感染経路は性行為であり、感染すると性器周辺に水疱や潰瘍ができるなどの症状が現れます。
初感染時は、強い痛みや発熱を伴い、排尿や歩行が困難になることもあります。再発時は、初感染時と同じ部位に症状が現れますが、比較的軽症で、1週間程度で改善することが多いです。
性器ヘルペスの症状は、抗ウイルス薬によって改善できます。また、再発を繰り返す場合は、再発抑制療法によって再発頻度を減らすことも可能です。口唇ヘルペスも同じウイルスによって引き起こされますが、発症部位が異なり、主に唇や口の周りに症状が現れます。
性器ヘルペスは、見た目だけでは判断が難しい場合もあります。「もしかしたら」と不安を感じたら、早めに医療機関を受診し、検査を受けることが大切です。早期発見と適切な治療で、症状の悪化や再発を防ぎましょう。