今や幅広い年齢層に人気のピアスですが、ピアッシングに初めて挑戦する方にとっては、痛みや費用の面でも不安や疑問が尽きないものです。
本記事では、ピアッシングの基本的な知識から、ピアッサーとニードルという2つの施術方法の違い、安全に受けられる場所の選び方、そして施術後のアフターケアまで、ピアッシングに関する疑問を徹底解説します。
目次
ピアッシングとは耳や体に穴を開ける行為のこと
ピアッシングとは、一般的に、装飾品であるピアスを装着するために、耳たぶをはじめとする体の様々な部位に専用の器具を用いて穴を開ける行為を指します。
古くから世界各地で行われてきた身体装飾の一種であり、文化的な意味合いを持つ場合もありますが、現代においては、ファッションや個性を表現する手段として広く普及しており、その部位やピアスの種類も多岐にわたります。
ピアッシングを行う際には、衛生管理や安全性に十分な注意を払うことが重要であり、専門の知識と技術を持つピアッサーや医療機関で行うことが推奨されます。
ピアッシングの施術方法はピアッサーとニードルの2種類
ピアスホールを開けるための施術方法には、主に「ピアッサー」と呼ばれる器具と、「ニードル」と呼ばれる医療用の針を用いる方法の2種類が存在します。
どちらの方法を選択するかは、ピアッシングを行う部位、開けたいピアスの種類、そして施術を受ける側の希望や安全性への考慮によって異なります。
ここでは、それぞれの方法の違いと特徴について詳しく解説します。
ピアッサー
(編集部作成)
ピアッサーは、使い捨てのカートリッジに滅菌済みのピアスがセットされており、バネの力などを利用して一瞬でピアスを押し込み、同時に穴を開ける仕組みの器具です。手軽で比較的安価に施術を受けられることが多く、特に耳たぶのピアッシングによく用いられます。
施術時間が短く済むため、痛みを短時間で済ませたいと考える方にとってはメリットとなります。しかし、ピアッサーは構造上、皮膚や軟骨を押しつぶすようにして穴を開けるため、組織への負担が大きく、ニードルに比べて出血や腫れ、炎症などのトラブルが起こりやすいという指摘もあります。
また、ピアスの角度がずれやすい、厚い軟骨には適さない、再利用ができないため滅菌管理が徹底されているか確認が必要といった点も考慮すべきでしょう。
ニードル

(編集部作成)
ニードルを用いたピアッシングは、医療用の滅菌された専用の針を用いて、皮膚や軟骨にゆっくりと丁寧に穴を開けていく方法です。ピアッサーと比較すると施術時間はやや長くかかるものの、皮膚組織を傷つけにくく、出血や腫れ、痛みを抑えることができると言われています。
特に、軟骨部位やボディピアスの施術においては、ニードルを用いるのが一般的です。ピアスの角度や位置を細かく調整できるため、希望通りの仕上がりになりやすいというメリットもあります。また、ニードルは一回限りの使用が原則であり、衛生管理が徹底されているため、感染症のリスクを低く抑えることが可能です。
施術を行うのは、専門知識と技術を持ったピアッサーや医療従事者であることが多く、安全性への意識が高い方に選ばれる傾向があります。
関連記事:「ピアスニードルの使い方は?特徴やゲージの選び方、ピアッサーとの違いも解説」
ピアッシングはどこで受けられる?病院・セルフ・スタジオ
ピアッシングは、どこで受けるべきか悩む方も多いですが、特に初めての場合や安全性を重視するなら病院(医療機関)での施術が最もおすすめです。ここでは、ピアッシングを受けられる場所と、病院での施術をおすすめする理由を紹介します。
病院でのピアッシングが最もおすすめ
費用相場 | 5,000円〜10,000円程度 |
ピアッシングを受ける場所として、皮膚科、美容外科、耳鼻科といった医療機関は、安全性と安心感において最も推奨される選択肢です。その理由は、徹底された衛生管理のもと、専門知識を持つ医師が施術を行うためです。
医療機関では、医療行為として滅菌された器具や使い捨てのピアスを使用し、感染症のリスクを極限まで抑えた環境で施術が行われます。また、皮膚の構造や神経、血管に関する深い知識を持つ医師が施術を担当するため、安全かつ適切な部位に、トラブルの少ない方法でピアッシングを受けることができます。
さらに、施術後に炎症や感染などのトラブルが発生した場合でも、すぐに医師の診察と適切な治療を受けることができるため、安心してピアッシングに臨めます。
関連記事:「ピアスは病院で開けるべき?メリットや費用相場、病院の選び方を徹底解説」
セルフでのピアッシングも可能
費用相場 | 1,000円~2,000円程度(ピアッサー代のみ) |
ドラッグストアや雑貨店などで市販されているピアッサーを使用すれば、自宅で手軽にピアッシングを行うことも可能です。費用を抑えられ、自分のタイミングで施術できるというメリットがありますが、安全性や衛生管理の面では注意が必要です。
セルフピアッシングは、不衛生な環境で行われることが多く、感染症のリスクを高める可能性があります。また、ピアスの角度がずれやすかったり、軟骨部位には適していなかったり、トラブルが起きた際に自分で対処しなければならないというデメリットもあります。
ピアッシングスタジオでのピアッシングは違法
日本国内において、医師免許を持たない者が業として他人の体に穴を開ける行為(ピアッシングを含む)は、原則として医師法に抵触する可能性があり、違法と解釈されています。
したがって、専門のピアッシングスタジオであっても、医療従事者ではない方が施術を行うことは違法行為にあたります。安全性を最優先に考えるのであれば、医療機関以外でのピアッシングは避けるようにしてください。
参考:明治通りクリニック「違法なピアススタジオによるトラブル」
ピアッシング後に注意したい3つのポイント
無事にピアッシングを終えた後、美しいピアスホールを維持し、トラブルを避けるためには、適切なアフターケアが非常に重要です。ここでは、ピアッシング後に特に注意すべき3つのポイントを紹介します。
注意点1|ピアスホールを毎日清潔に保つ
ピアッシング後のピアスホールは、小さな傷口と同じ状態です。細菌感染を防ぎ、順調な治癒を促すためには、毎日欠かさず清潔に保つことが最も重要です。
具体的なケア方法としては、まず手を清潔に洗ってから、刺激の少ない洗浄液(生理食塩水や、医療機関で推奨されたもの)でピアスホールとその周辺を優しく洗い流します。
入浴時やシャワーの際にもしっかりと洗い、水分を清潔なタオルやティッシュで丁寧に拭き取ることが大切です。消毒液の使用は、刺激が強すぎることがあるため、医師の指示がない限りは避けるようにしましょう。
注意点2|ピアスやピアスホールには極力触らない
無意識のうちにピアスやピアスホールを触ってしまうことがあるかもしれませんが、手には様々な細菌が付着しているため、できる限り触れないように心がけましょう。
特に、洗浄時以外は極力触らないことが、感染症のリスクを減らすために重要です。また、ピアスを必要以上に動かしたり、回したりするのも、ピアスホールを刺激し、炎症を引き起こす原因となることがあります。
ピアスが安定するまでは、できるだけ動かさずに、そっとしておくことが大切です。
注意点3|トラブルや異常を感じたらすぐに医療機関を受診する
ピアッシング後の経過には個人差がありますが、もし赤み、腫れ、強い痛み、膿が出るなどの異常を感じた場合は、自己判断せずにすぐに医療機関(ピアッシングを受けた病院や皮膚科など)を受診してください。
これらの症状は、感染症や金属アレルギーの初期症状である可能性があります。早期に適切な処置を受けることで、症状の悪化を防ぎ、より早く治癒することができます。
参考:厚生労働省「本邦における金属アレルギー診療の現状と課題」
自己流のケアで様子を見たり、市販の消毒薬や軟膏を安易に使用したりすると、症状を悪化させてしまうことがあるため注意が必要です。専門医の診断と指示に従い、適切な治療を受けることが、トラブルを早期に解決するための最も確実な方法です。
まとめ|ピアッシングとは
ピアッシングは体に穴を開ける行為のことを指します。施術方法には主にピアッサーとニードルの2種類があり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況に合わせて検討することが大切です。
ピアッサーは手軽で痛みが短時間で済む反面、組織への負担が大きく炎症リスクが高まる可能性があります。一方、ニードルは時間はかかりますが皮膚へのダメージが少なく、特に軟骨ピアスに適しています。
施術場所としては、衛生管理が徹底され専門知識を持つ医師が担当する医療機関が最もおすすめです。セルフピアッシングは費用を抑えられますが安全面で課題があり、医師免許のないピアッシングスタジオでの施術は法律上の問題があります。
施術後は、毎日の清潔なケア、ピアスホールに極力触れないこと、そして異常を感じたら迷わず医療機関を受診することが重要です。ピアッシングは安全性を最優先に考え、適切な方法と場所を選ぶことで、トラブルなく美しいピアスホールを維持することができます。