加味逍遙散とは

販売名 | ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用) |
有効成分 | 日局 柴胡(さいこ) 3.0g 日局 芍薬(しゃくやく) 3.0g 日局 蒼朮(そうじゅつ) 3.0g 日局 当帰(とうき) 3.0g 日局 茯苓(ぶくりょう) 3.0g 日局 山梔子(さんしん) 2.0g 日局 牡丹皮(ぼたんぴ) 2.0g 日局 甘草(かんぞう) 1.5g 日局 生姜(しょうきょう) 1.0g 日局 薄荷(はっか) 1.0g |
加味逍遙散(カミショウヨウサン)は、血行を良くして体を温めたり、「気」の巡りを良くしていらいらや不安・不眠などの精神症状を改善する効果が期待できます。
「婦人科三大漢方薬」と呼ばれる漢方の1つで、女性の更年期障害や月経不順などに幅広く用いられています。
※婦人科三大漢方薬:加味逍遙散(カミショウヨウサン)・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)・当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
加味逍遙散の効果を詳しく解説
西洋医学と比べ、漢方医学は考え方も診断の軸も違うため、漢方をどう使えばよいのか分からないという方も多くいます。
ここでは加味逍遙散の効果である①血行を良くする②「気」の巡りを良くする、それぞれについて詳しく解説していきます。
▼漢方と西洋医学の違い
漢方医学 | 西洋医学 | |
---|---|---|
考え方 | 体全体のバランスを整える(根本改善) | 症状の原因を特定して取り除く(対症療法)の |
アプローチ | 自然治癒力を高める | 薬や手術で治す |
診断の軸 | 「気・血・水」「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」など | 血液検査や画像診断などの数値中心 |
薬の使い方 | 複数の生薬を組み合わせて体質に合わせて処方 | 有効成分を単独で用いる(薬効が明確) |
漢方医学は原因がはっきりしない体調不良(倦怠感や冷えなど)やストレスや自律神経の乱れからくる不調などの治療にも適しています。
効果発現までには個人差があり、数日から数週間程度で変化を感じる方もいますが、1〜2ヶ月程度かかる場合もあり、西洋医学と併用して処方されることもあります。
加味逍遙散の効果①:血行を良くする
加味逍遙散は、「肝の働きを整えて、気と血の流れをスムーズにする」ことが期待できる漢方薬です。
漢方医学でいう「肝」は肝臓そのものではなく、自律神経・情緒・血を貯めておく機能などを指します。
そして、漢方医学でいう「血流改善」は、西洋医学でいう抹消循環の改善・自律神経調整・ホルモンバランスの調整などを指します。
加味逍遙散の含有成分のなかで、血流改善のポイントとなる生薬は以下の4つです。
生薬名 | 主な作用 |
---|---|
①当帰(とうき) | 血を補い、血流を良くする(血を「養う」+「巡らせる」) |
②芍薬(しゃくやく) | 血を養い、筋肉の緊張を緩める |
③柴胡(さいこ) | 気の流れを良くして「うっ滞(詰まり)」を解消 |
④甘草・生姜など | 各薬のバランス調整&消化吸収のサポート |
加味逍遙散の効果②:「気」の巡りを良くする
気の巡りが良くなるとストレスなどで気の巡りが滞って「不安定」になった状態が、なめらかになり落ち着きます。
つまり自律神経の安定が期待できます。
加味逍遙散の成分で気の巡りに効果があるものは以下の3つです。
成分 | 働き |
---|---|
①柴胡(さいこ) | イライラや情緒不安定を整える(抗ストレス) |
②薄荷(はっか) | 気をめぐらせ、頭をスッキリさせる |
③当帰・芍薬 | 血を補い、気も補う(気血同源) |
加味逍遙散の内服が向いている人4選
加味逍遙散は次のような人に向いています。
1.ストレスで体調を崩しやすい人
イライラしやすい、情緒が不安定(気分の波がある)、精神的な緊張で体がこわばる、眠れないといった悩みがある方には効果が期待できます。
2.PMSや更年期症状が「精神的」に出やすい人
月経前に怒りっぽくなる、落ち込むなどの感情変化がある、更年期でのぼせや精神的な不調(焦燥感・不安感)が強いなどといった症状が出やすい方にも効果が期待できます。
3.自律神経が乱れやすい人
ちょっとしたことで動悸や息苦しさ、めまいが出る、疲れているのに眠れない、朝と夜で体調が違いすぎるといった自律神経の乱れがある方にも効果が期待できます。
4.冷え、のぼせ・肩こり・頭痛・便秘などが混在している人
ストレスがかかると便秘ぎみになる、肩や背中がこる、顔はほてるのに手足が冷えるといった症状にも効果が期待できます。
5.検査結果に異常がないが不調を感じる人
加味逍遙散は気血の調和が得意なため、全体的なバランスを整えやすい漢方です。
検査結果に異常はないがつらく感じたり、体調がゆらぎやすい方にも効果が期待できます。
加味逍遙散の服用方法
通常、1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服します。
なお、年齢、体重、症状により、増減します。
加味逍遙散の副作用
加味逍遙散には頻度不明ですが、重大な副作用があります。
安全に内服を続けていくために、定期的に医療機関を受診しましょう。
偽アルドステロン症 ミオパチー | 甘草(かんぞう)が含まれる漢方内服の際は、カリウム値や血圧値に注意が必要です。 脱力感、四肢痙攣、しびれ、こわばり、筋肉痛、麻痺などの症状が現れます。 |
肝機能障害、黄疸 | 肝機能に異常が出ることにより、皮膚や白目が黄色くなる黄疸の症状や、全身倦怠感や食欲不振、かゆみ、発赤などが見られることがあります。 血液検査でのAST・ALT、γ-GTP上昇など検査値異常に注意が必要です。 |
腸間膜静脈硬化症 | 山梔子(さんしし)含有製剤の長期内服(多くは5年以上の服用)により、起こり得る症状です。 腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などの症状が繰り返し現れます。 |
加味逍遙散を処方してもらうなら、オンライン診療のミライメディカルクリニックがおすすめ!
加味逍遙散は市販薬でも購入できますが、症状等によっては処方すべき薬が異なるケースがあります。また、同じ名前の漢方でも、配合されている生薬が違うこともあります。
症状や体質によって適切な漢方は異なるため、自己判断せず医師に相談することをおすすめします。
忙しくてなかなか通院する時間が取れないという方もいるかもしれません。
通院が難しい方には、オンライン診療という選択肢もあります。
インターネット環境があれば、ご自宅などから医師の診察を受けることが可能で、加味逍遙散の処方についても相談できます。
診察後はネコポス、もしくは宅急便コンパクトで郵送され、最短当日発送で内服薬を受け取ることが可能です。
電話で気軽に診察を受けられるので、担当医師以外と顔を合わせる必要もありません。
また、ミライメディカルクリニックでは、加味逍遙散以外にもさまざまな漢方薬を処方しています。医師に相談しながら、ご自身の症状や体質に合った漢方薬を見つけることができます。
漢方の服用に興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考:厚生労働省「健康・医療オンライン診療について」
加味逍遙散エキス顆粒に関するよくある質問
加味逍遙散エキス顆粒に関するよくある質問とその回答を紹介します。
- 加味逍遙散の効果を感じるまでの期間はどれくらい?
- 加味逍遙散の効果を感じるまでの時間は、体質や症状、服用量などによって個人差があります。
内服を始めてから副作用が見られない場合、まずは1ヶ月継続して効果を確認することが多いです。
漢方薬は、西洋薬(一般的な薬剤)と比べて効果が現れるまでに時間がかかる傾向がありますが、根本から体質を改善する効果が期待できるため、根気強く服用を続けることが大切です。
効果が感じられない場合は、服用量や服用方法を見直したり、他の漢方薬との併用を検討したりする必要があることもあるため、医師または薬剤師に相談してみてください。
- 加味逍遙散服用時の注意点はある?
- 加味逍遙散を服用する際にはいくつかの注意点があります。
注意点1:胃腸への影響
加味逍遙散は、胃腸が弱い方が服用すると、食欲不振、胃の不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器系の副作用が起こることがあります。
食欲不振や悪心、嘔吐などの症状がある場合は、症状が悪化する可能性があるため、服用を避けるか、医師や薬剤師に相談してください。
注意点2:妊娠中・授乳中
加味逍遙散に含まれる「牡丹皮(ぼたんぴ)」という生薬には、血行を促進する作用があり、妊娠中の服用は流産や早産の危険性を高める可能性があります。
妊娠中または妊娠の可能性がある方は、内服前に医師や薬剤師に相談しましょう。
また、授乳中の方も、服用前に医師に相談することをおすすめします。
注意点3:生薬の重複
加味逍遙散には「甘草(かんぞう)」がふくまれており、過剰摂取により血清カリウム値や血圧値が変動する可能性があります。
甘草は芍薬甘草湯や補中益気湯、六君子湯など他の漢方にも含まれるため、他の漢方を併用する際は、医師や薬剤師に相談してください。
注意点4:5年以上の長期服用
山梔子(さんしん) が含まれている加味逍遙散を長期間(多くは5年以上)」服用することによって、大腸の色調異常や浮腫やびらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症が現れる可能性があります。
長期間服用する場合は定期的に検査を行うことが望ましいため、医師に確認しましょう。
- Q:加味逍遙散を他の漢方や内服薬と併用しても良い?
- 加味逍遙散は他の医薬品との飲み合わせで禁忌となる医薬品はありません。
ただし、先に述べたように、他の漢方薬を併用する場合は含有生薬の重複に注意が必要です。
- 加味逍遙散を生理前だけ飲んでも効果はある?
- 漢方薬の効果がでるまでの期間は体調や人によって異なります。
生理前に限らず、体質改善を目的として一定期間継続して服用することが推奨されています。
- 加味逍遙散は男性が内服しても大丈夫?
- 加味逍遙散に効果的な女性特有の症状以外で症状があてはまれば、男性でも服用できます。
- 加味逍遙散は更年期がきていない年齢でも服用して大丈夫?
- 更年期障害だけでなく、月経不順や冷え性、イライラ、不眠などの症状が当てはまれば月経トラブルや神経症状などで、幅広い年代の方に内服していただけます。