アフターピルや低用量ピルを服用した後に起こる「消退出血」について、聞いたことはあるものの、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、消退出血とは何か、その特徴や体への影響、避妊成功の確認方法などについて詳しく解説します。また、消退出血と着床出血の違いや、アフターピルの効果が得られないケースについても触れ、よくある質問にも答えていきます。
消退出血とはホルモンの変化による出血のこと
(編集部作成)
消退出血とは、ホルモンバランスの変化によって起こる出血のことです。主に、アフターピルの服用後や、低用量ピルの服用中に見られます。ここでは、消退出血の特徴や体の不調について紹介します。
消退出血の特徴
消退出血には、通常の月経とは異なる特徴がいくつかあります。
出血のタイミングについては、アフターピルを服用した場合、服用後2日から3週間程度で起こることが多いです。出血の期間は一般的に2~3日程度で、通常の生理よりも短い傾向があります。低用量ピルの場合は、休薬期間に入ってから2〜3日後に起こることが多いです。
出血量に関しては、生理と比べて少量であることが多く、鮮血か茶色のおりもののような色をしていることが一般的です。ただし、出血の色や量には個人差があるため、一概に言えない部分もあります。
消退出血の大きな特徴として、アフターピルや低用量ピルなどのホルモン薬の服用により人工的に引き起こされるという点が挙げられます。
つまり、自然な月経周期とは異なり、薬剤によってコントロールされた出血ということです。
また、消退出血は妊娠していない時に起こる出血であり、避妊成功のサインとなることがあります。しかし、着床出血との区別が難しい場合もあるため、完全に避妊成功を確信することはできません。
消退出血時の体の不調は一時的なことが多い
消退出血は通常の生理と似たメカニズムで起こるため、生理時と同様の不調を感じる方もいます。その結果、腹痛や頭痛、吐き気などの症状が現れる場合も少なくありません。
ホルモンバランスの変化が原因で起こる症状のため、多くの場合、一時的なものです。
体調の変化を過度に心配する必要はありませんが、症状は個人差が大きいため、自分の体調の変化をよく観察し、重い場合や長期間続く場合は医師に相談することが大切です。
アフターピル服用後の避妊成功の確認方法
アフターピル服用後の避妊成功を確認する方法は、主に3つあります。
確認方法1|消退出血の確認
消退出血は、アフターピル服用後2日~3週間以内に起こる少量の出血です。これが見られると避妊成功の可能性が高くなります。ただし、消退出血がない場合でも必ずしも失敗したわけではありません。
色は鮮血から茶色まで個人差がありますが、通常の月経よりも量が少なく、期間も短いことが多いです。
参考:北海道薬剤師会「緊急避妊に関する取り組と緊急避妊法について」
確認方法2|生理の確認
通常、アフターピル服用後3週間程度で生理が来ます。十分な量の出血があれば、避妊に成功した可能性が高いでしょう。
ただし、アフターピルの影響で月経周期が乱れることがあるため、数日のずれは問題ありません。生理が来た場合でも、その後の周期が通常と異なる可能性があるので、注意が必要です。次の生理までは、避妊具を使用するようにしてください。
確認方法3|妊娠検査薬の使用
アフターピル服用から3週間後が妊娠検査薬使用の目安となります。
起床後すぐの尿で検査するのが最も正確です。妊娠検査薬は薬局で購入できますが、使用方法や判定時間は守るようにしてください。陰性でも完全に妊娠を否定できない場合があるため、疑わしい症状がある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
消退出血と着床出血の違いは?
妊娠を望んでいない方にとって、消退出血と着床出血の違いは非常に気になるポイントです。以下の表で主な違いを比較してみましょう。
消退出血 | 着床出血 | |
---|---|---|
原因 | ピルによるホルモン変動 | 受精卵が子宮内膜に着床するため |
出血量 | 生理よりも少ない | 非常に少ない |
出血の色 | 鮮血または茶色 | ピンクまたは薄い茶色 |
出血の期間 | 2〜3日ほど続く | 1〜2日程度で止まる |
消退出血は、アフターピル服用後に起こる出血で、避妊成功の可能性を示すサインです。ピルに含まれるホルモンの影響で子宮内膜が剥がれ落ちることで発生します。
一方、着床出血は妊娠初期に起こる可能性のある出血で、受精卵が子宮内膜に着床する際に発生します。これは妊娠成立の兆候となるため、妊娠を防ぎたい方にとっては望ましくない出血です。
両者の見分けは難しいため、アフターピル服用後3週間経っても生理がこない場合は、妊娠検査薬で確認するか医療機関を受診することをおすすめします。
アフターピル服用の効果が十分に得られないケース
アフターピルは緊急避妊薬として広く知られていますが、その効果を最大限に発揮するためには適切な使用方法を守ることが大切です。以下では、アフターピルの効果が十分に得られない可能性がある3つのケースについて詳しく説明します。
ケース1|72〜120時間以降の服用
アフターピルは性交渉後72〜120時間以内に服用することが推奨されています。
推奨されている有効時間を過ぎると効果が低下し、120時間以降は避妊効果が著しく低下します。そのため、できるだけ早く服用することが重要です。性交渉後すぐに薬局や医療機関を受診し、アフターピルを入手することをおすすめします。
ケース2|服用後2時間以内の嘔吐
アフターピルを服用後、2時間以内に嘔吐してしまった場合、薬の吸収が不十分となり、効果が得られない可能性があります。
この場合、再度アフターピルを服用する必要があります。2時間以内に嘔吐してしまった場合は、医師に相談の上、再度服用するようにしましょう。
ケース3|服用後の避妊のない性交渉
アフターピルを服用した後に、再び避妊なしの性交渉をした場合は妊娠のリスクが生じます。なぜなら、アフターピルは1回の性交渉に対してのみ効果があり、その後の性交渉には効果がないからです。
アフターピルの効果を最大限に引き出すためには、これらのケースを避け、適切な使用方法を守ることが重要です。不安な点がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
消退出血に関するよくある質問と回答
消退出血に関するよくある質問とその回答を紹介します。
- 消退出血がこない場合は妊娠してるってこと?
- 消退出血は、ホルモンバランスの変化によって子宮内膜が剥がれ落ちることで起こる出血です。アフターピルを服用した場合でも、必ず消退出血が起こるとは限りません。
消退出血がなくても妊娠の可能性はありますが、適切なタイミングでの妊娠検査薬が陰性であれば、妊娠の可能性は低いと考えられます。
ただし、消退出血が来ない原因は様々ですので、不安な場合は医療機関を受診することをおすすめします。
- アフターピル服用後に生理が来なかったら?
- アフターピルを服用すると、生理周期が変化することがあります。そのため、生理が遅れる場合もありますが、多くの場合、数週間から1ヶ月以内に生理が再開します。
1ヶ月以上経っても生理が来ない場合は、妊娠の可能性も考えられますので、妊娠検査薬を使用するか、医療機関を受診しましょう。
まとめ
消退出血は、アフターピルや低用量ピルなどのホルモン薬の服用によって引き起こされる出血です。通常の月経と比べて出血量が少なく、期間も短いのが特徴です。
アフターピル服用後の避妊成功の確認方法として、消退出血の確認、生理の確認、妊娠検査薬の使用があります。ただし、消退出血と着床出血の区別は難しいため、注意が必要です。
アフターピルの効果を最大限に得るには、72時間〜120時間以内の服用、服用後2時間以内の嘔吐を避けること、服用後の避妊なしの性交渉を控えることが重要です。
消退出血や生理が来ない場合でも、必ずしも妊娠とは限りませんが、不安な場合は医療機関への受診をおすすめします。