いびきの治し方は?即効性のある7つの対策と根本的な治し方を紹介

「家族からいびきがうるさいと指摘された」「自分のいびきで目が覚めてしまう」ということはありませんか。いびきは単なる騒音問題だけでなく、睡眠時無呼吸症候群のサインである可能性もあり、放置すると健康リスクが高まります。

この記事では、いびきが起こる4つの原因、今日から試せる即効対処法7選、根本的に治すための3つの方法、いま話題の「CPAP治療」まで解説します。いびきを改善して快適な睡眠を取り戻したい方はぜひ参考にしてみてください。

なぜいびきが起こるのか?即効で治すためにはまずは原因を知ろう!

いびきは、睡眠中に空気の通り道である「気道」が狭くなり、そこを空気が通過する際に喉の粘膜などが振動して発生する音です。

いびきを治すためには、まずなぜ気道が狭くなっているのか、その原因を知ることが重要です。

原因1|睡眠中に舌や喉の筋肉がゆるむ

起きている間は意識的に筋肉が働いていますが、睡眠中、特に深い眠りに入ると、全身の筋肉がリラックスします。これには喉や舌の筋肉も含まれます。

加齢や疲労によって喉の筋力が低下していると、この緩みが大きくなり、舌の付け根(舌根)が喉の奥に落ち込んだり、喉の壁がたるんだりして気道を塞ぎやすくなることでいびきが起こるのです。

参考:PMC「Pathophysiology of Adult Obstructive Sleep Apnea

原因2|鼻づまり・アレルギー性鼻炎による気道の狭まり

アレルギー性鼻炎や風邪、鼻中隔弯曲症(鼻の内部の骨が曲がっている状態)などによって鼻の通りが悪くなると、睡眠中に十分な空気を取り込めなくなります。

その結果、不足した酸素を補おうと無意識に口呼吸になりがちです。口呼吸になると、鼻呼吸の時よりも舌が落ち込みやすくなり、いびきが発生しやすくなります。

参考:NCBI Bookshelf「Obstructive Sleep Apnea

原因3|肥満や飲酒・仰向け寝などの生活習慣

いびきの原因は、日常生活の習慣に隠れていることも少なくありません。特に肥満は、首周りや喉の内部にも脂肪が沈着し、気道を物理的に圧迫するため、いびきの大きな原因となります。

また、就寝前のアルコール摂取は喉の筋肉を過度に弛緩させる作用があったり、仰向けで寝ると重力によって舌が喉の奥に落ち込みやすくなり、気道を狭めてしまうことがあります。これらの生活習慣がいびきを起こしやすくしているのかもしれません。

参考:Nature「Pathophysiological mechanisms and therapeutic approaches in obstructive sleep apnea syndrome

原因4|睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性も

毎晩のように大きないびきをかく、いびきが突然止まって呼吸が苦しそうになる、といった症状がある場合、それは単なるいびきではなく、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要なサインかもしれません。

SASは、睡眠中に気道が完全に、または部分的に閉塞することで呼吸が止まる状態を繰り返す病気です。いびきは、この閉塞した気道を空気が無理やり通ろうとするときに発生する音であり、放置すると深刻な健康問題につながるため注意が必要です。

参考:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

即効でいびきを止める!今日から試せる7つの対処法

自分のいびきの原因がある程度絞れたら、まずは今夜から試せる簡単な対策で症状の軽減を目指しましょう。ここでは、即効性が期待できる7つの方法を紹介します。

対処法1|横向きで寝る(仰向けを避ける)

いびき対策として最も簡単で即効性が高いのが、寝る姿勢を変えることです。仰向け寝は舌が重力で喉の奥に落ち込みやすいため、気道を塞ぐ最大の原因の一つです。

意識して横向きで寝ることで、舌の沈み込みを防ぎ、空気の通り道を確保しやすくなります。抱き枕を使ったり、背中にクッションを当てたりして、自然に横向きを維持できるよう工夫するのも良いでしょう。

対処法2|枕の高さを調整する

毎日使っている枕が、いびきの原因になっている可能性もあります。枕が高すぎると首が圧迫されて気道が曲がり、逆に低すぎると頭が下がりすぎて舌が落ち込みやすくなります。

理想は、リラックスして立った時と同じように、首の骨が自然なカーブを保てる高さです。自分に合った高さの枕を見直すことで、呼吸がスムーズになることがあります。

対処法3|寝る前のアルコール・喫煙を控える

アルコールには筋肉を弛緩させる作用があるため、就寝前に飲むと喉の筋肉が通常以上に緩み、気道が狭くなっていびきを引き起こしやすくなります。喫煙も、喉の粘膜に炎症やむくみを引き起こし、気道を狭める原因となります。

いびきを軽減するためには、特に就寝の3時間ほど前からはアルコールや喫煙を控えることが効果的です。

対処法4|鼻づまりを解消する

鼻炎やアレルギーで鼻が詰まっていると、自然と口呼吸になり、いびきにつながります。鼻の通りを良くするため、市販の点鼻薬(鼻スプレー)を使ったり、蒸しタオルで鼻を温めたりすると即効性が期待できます。

また、アレルギーが原因の場合は、寝室のホコリやダニ、花粉などをこまめに掃除し、空気清浄機を設置するなど、アレルゲン対策も重要です。

対処法5|口閉じテープやナイトミンなどを活用

大正製薬「ナイトミン

睡眠中に無意識に口が開いてしまう「口呼吸」を防ぐことも、いびき対策に有効です。

ドラッグストアなどで市販されている、口に貼る専用の「口閉じテープ」を活用すると、唇を軽く閉じた状態を維持し、鼻呼吸を促進するのに役立ちます。同様に、鼻腔を広げるための鼻腔拡張テープも、鼻呼吸をサポートするアイテムとして有効です。

対処法6|いびき防止用マウスピース(スリープガード)

下あごが小さい、または睡眠中に下あごが下がりやすいことも、舌の落ち込みを招くいびきの原因となります。いびき防止用のマウスピース(スリープガード)は、装着することで下あごを少し前方に固定し、喉の奥の気道を広げる効果があります。

市販品でも一定の効果が期待できますが、歯やあごに負担がかかる場合もあるため、歯科で自分専用に作製する医療用(スリープスプリント)がより推奨されます。

参考:AADSM「Pathogenesis of Upper Airway Obstruction and Mechanical Intervention

対処法7|寝室環境を整える(乾燥・温度対策)

空気が乾燥していると、鼻や喉の粘膜が乾いて炎症を起こしやすくなり、いびきの悪化につながります。特に冬場やエアコン使用時は、加湿器を使って寝室の湿度を適切に保つことが大切です。

また、空気清浄機を使用して空気中のホコリやアレルゲンを除去し、喉への刺激を減らすことも、快適な呼吸環境を整える上で役立ちます。

即効対策だけでは不十分?いびきを根本的に治す3つの方法

セルフケアや対策グッズは即効性がありますが、いびきの根本的な原因が解消されたわけではありません。長期的にいびきを治すためには、体質や生活習慣そのものを見直すアプローチが必要です。

治し方1|肥満が原因の場合はダイエットや筋トレで気道を広げる

いびきの最大の原因の一つである肥満を解消することは、根本治療において非常に重要です。特に首まわりや、舌の付け根(舌根部)についた脂肪は、直接的に気道を圧迫します。

適正体重を目指してダイエットを行うことで、これらの脂肪が落ち、呼吸が格段にスムーズになります。実際の研究では、平均7.6kgの体重減少によりいびきがほぼ完全に消失した症例も報告されています。

参考:Chest「Treatment for snoring: Combined weight loss, sleeping on side, and nasal spray

治し方2| 睡眠の質を上げて生活リズムを改善する

不規則な生活や睡眠不足は、疲労を蓄積させ、睡眠中の筋肉の弛緩を強めてしまいます。毎日できるだけ就寝時間を一定にし、質の高い睡眠を確保するよう努めましょう。

また、寝る直前のスマートフォンやパソコンの使用は、脳を覚醒させて眠りを浅くする原因となるため避けるべきです。リラックスした状態で深い睡眠に入ることが、いびきの軽減にもつながります。

治し方3|睡眠時無呼吸が疑われる場合は医療機関へ

セルフケアを試してもいびきが改善しない場合や、日中に強い眠気がある、呼吸が止まっていると指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。この場合、自己流の対策だけでは不十分です。

呼吸器内科や睡眠専門のクリニックを受診し、簡易検査や精密検査を受けることを強く推奨します。重度のSASと診断された場合は、CPAP療法など適切な治療を受けることで、いびきが劇的に改善するケースも多くあります。

医師監修のいびき治療法「CPAP」とは?

CPAP(シーパップ)は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として確立されている方法です。睡眠中に鼻や口に装着したマスクから、装置本体が一定の圧力で空気を送り込み、気道が塞がってしまうのを物理的に防ぎます。

これにより、いびきや無呼吸が解消されます。特に中等症から重度のいびきや無呼吸症候群に対して非常に高い治療効果を発揮します。治療の開始には医師の診断が必要ですが、最近ではオンライン診療で検査や導入の相談が可能な医療機関も増えています。

関連記事:「CPAP(シーパップ)とは?睡眠時無呼吸症候群の治療法や具体的な使い方、費用目安を徹底解説

まとめ|いびきは「即効対策+根本改善」で治せる

いびきは睡眠中に気道が狭くなり、空気が通過する際に喉の粘膜が振動して発生する音です。主な原因は、睡眠中に舌や喉の筋肉がゆるんで気道を塞ぐ、鼻づまりやアレルギー性鼻炎による気道の狭まり、肥満や飲酒・仰向け寝などの生活習慣、睡眠時無呼吸症候群の可能性の4つです。

今日から試せる即効対処法として、横向きで寝る、枕の高さを調整する、寝る前のアルコール・喫煙を控える、鼻づまりを解消する、口閉じテープやナイトミンを活用、いびき防止用マウスピースを使う、寝室環境を整えるの7つがあります。これらは即効性が期待できますが、根本的な原因が解消されたわけではありません。

根本的に治す方法として、肥満が原因の場合はダイエットや筋トレで気道を広げる、睡眠の質を上げて生活リズムを改善する、睡眠時無呼吸が疑われる場合は医療機関を受診しCPAP療法などの適切な治療を受けるという3つのアプローチが重要です。

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