妊娠初期に多くの妊婦さんを悩ませるつわり。その症状は人によって様々で、強い苦痛を伴うこともあります。しかし、その辛さは周囲の人には理解されにくく、一人で苦しんでいる方も少なくありません。
この記事では、つわりの種類や症状、ピーク時期について詳しく解説するとともに、症状別の具体的な対処法をご紹介します。また、医療機関を受診すべき目安や、つらい時期を乗り切るための精神的なストレス対策についても触れていきます。
つわりは必ず終わりが来る一時的な症状です。この記事を参考に、ご自身に合った対処法を見つけ、周囲のサポートを受けながら、この大切な時期を乗り越えていきましょう。

目次
地獄のようなつわりはいつまで続くの?症状とピーク時期
つわりは、妊娠初期に経験する吐き気や嘔吐、食欲不振などの症状です。人によっては、まるで地獄のような苦しみを感じ、「生き地獄」といった言葉で表現されるほどの辛さを経験します。このつらい時期は、一体いつまで続くのでしょうか。
つわりの症状は個人差が大きく、いつから始まり、いつまで続くのかを明確に断言することはできません。しかし、一般的には妊娠6週目頃から始まり、8週目から10週目頃にピークを迎えると言われています。
そして、多くの妊婦さんが安定期に入る妊娠5ヶ月頃には症状が軽快していきます。中には、「後期つわり」に悩まされる方もいらっしゃいますが、稀なケースです。
種類別のつわり対処法
まるで地獄のようなつわりを経験されている妊婦さんも少なくありません。つわりの症状は人それぞれで、何をしても軽減しない場合もあります。しかし、少しでも楽になる方法を探してみましょう。ここでは、つわりの種類別に、具体的な対処法をご紹介します。
吐きづわり
吐きづわりは、吐き気や嘔吐が主な症状です。ひどい場合は、脱水症状になることもあります。そのため、食べ物は無理でも、せめて水分補給はこまめに行いましょう。冷たい水や炭酸水など、口当たりの良いものを選び、少しずつ飲むのがおすすめです。
また、空腹も吐き気を誘発するため、可能であれば少量を5〜6回に分けて食べるように心がけてください。クラッカーやゼリーなど、消化の良い食べ物を常備しておくと良いでしょう。
食べづわり
食べづわりは、常に何かを食べていないと気持ちが悪くなる症状です。食べたいものを食べられるだけ食べるという方もいらっしゃいます。しかし、栄養バランスが偏ったり、体重が増加しすぎたりする可能性も懸念されます。
そのため、一度の量を減らしてこまめに摂取したり、カロリーの低い食材を選ぶ、果物や野菜も一緒に摂るなどの対策を意識してみてください。
眠りづわり
眠りづわりは、強い眠気に襲われる症状です。妊娠中は、ホルモンバランスの変化により、眠気が強くなる傾向にあります。家事や仕事に支障が出るほど辛い場合は、周囲に相談し、協力を得ながら過ごしましょう。
また、昼間に適度に体を動かすことで、夜間の睡眠の質を高めることができます。眠気を無理に我慢すると、ふらつきなどが出て危ないので、適度に仮眠を取ったり、横になって休むようにしてください。
においづわり
特定のにおいで吐き気や不快感を覚えるのが、においづわりです。炊事の際は換気をしっかり行ったり、においの強い洗剤や柔軟剤の使用を控えたり、無香料のものに変更すると良いでしょう。また、マスクを着用することで、においを軽減することもできます。
においづわりの症状として、家族など身近な人の体臭に嫌悪感を持ってしまうことも少なくありません。あくまで一時的な症状なので、素直に打ち明けて協力を仰ぐことも大切です。
よだれづわり
よだれづわりは、唾液の分泌が過剰になる症状です。唾液を飲み込むのが辛い場合は、こまめに吐き出すようにしましょう。脱水症状を防ぐためにも、水分補給はしっかりと行ってください。また、唾液の分泌を抑えるために、ガムをかんだり、飴を舐めたりするのも効果的です。
「病院に行くべき?」つわりで受診すべき目安
つわりは妊娠初期に多く見られる症状ですが、あまりにもひどく日常生活に支障をきたす場合は我慢せずに医療機関を受診しましょう。
以下で受診すべき目安を紹介しますが、あくまで目安ですので、我慢できないほどしんどかったり、症状に不安を感じた場合は迷わず受診してください。
目安1|水分も受け付けない状態が続く
つわりで吐き気が強くても、水分だけはなんとか摂れているという方も多いはずです。しかし、水さえも受け付けず、脱水症状の危険性がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。
- 1日に何度も嘔吐し、水分を摂取しても吐いてしまう状態が続く場合
- 唾液を飲み込むのも困難な場合
- 尿量が減少し、脱水症状(口渇、倦怠感、立ちくらみなど)が見られる場合
脱水症状が進むと、母体にも赤ちゃんにも悪影響を及ぼす可能性があります。早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
目安2|急激な体重減少がみられる
つわりで食欲が低下し、体重が減ってしまうことは珍しくありません。しかし、短期間で急激に体重が減少する場合は、注意が必要です。
- 妊娠前から5%以上の体重減少が見られる場合
- 1週間で2kg以上の体重減少が見られる場合
妊娠初期は、赤ちゃんが成長するために必要な栄養を蓄える時期です。急激な体重減少は、母体や胎児の栄養状態が悪化しているサインである可能性があります。我慢せずに医療機関を受診するようにしてください。
目安3|吐いた物に血液や胆汁が混じる
嘔吐が続くことによって、食道や胃が炎症を起こし、出血することがあります。また、胆汁(黄色い液体)が混じっている場合は、肝臓や胆嚢の異常が疑われます。いずれの場合も、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしてください。
国内ではつわりを和らげる治療薬はない
海外には、Diclegis(ディクレジス)やBonjesta(ボンジェスタ)といったつわり治療薬が存在しますが、2025年2月現在、国内承認されているつわり専用の薬はありません。
どうしても服用したいという場合、一部の医療機関では、これらの類似薬を個人輸入して処方している場合もありますが、必ず信用できる医師に相談し、適切な指示に従ってください。
日本では、つわりを和らげる治療法として、ビタミン剤や漢方が処方されることがあります。即効性があるものとしては制吐剤がありますが、胎児への影響が懸念されるものもあるため、最終手段として医師が判断することがほとんどです。
「つわりを和らげる治療薬」はありませんが、脱水がひどい場合は点滴をするなど、状況に応じて医師が適切な処置をしてくれるため、つらい時は我慢せず、医師に相談するようにしてください。
つわり地獄を乗り切るための精神的ストレス対策
つわりがひどくて、「生き地獄」と感じるほど辛い時期を過ごしている方もいるかもしれません。心身ともに疲弊し、精神的なストレスも大きくなる時期です。このつらい時期を少しでも楽に乗り切るための精神的ストレス対策について紹介します。
対策1|パートナーや家族に不安を打ち明ける
つわりによる吐き気や倦怠感は、想像以上に辛く、孤独を感じやすいものです。パートナーや家族につわりの辛さを理解してもらうことは、精神的な支えを得る上でとても有効です。
「今日の吐き気はいつもよりひどくて、何も食べられない」「体がだるくて、家事が何もできない」など、具体的な状態を伝えることで、周りの人も状況を理解しやすくなり、サポートを得やすくなります。

特におすすめなのが、パパ向けアプリ「パパninaru」の活用です。このアプリでは、妊娠中のママの体調変化や気持ちを代弁してくれる「ママのきもち」機能があり、先輩パパからのアドバイスも日替わりで届きます。アプリを通じて妊娠・出産に関する情報を共有することで、パートナーの理解や支援を得やすくなるでしょう。
パートナーや家族に頼れないという場合は、出産経験のある近くの先輩ママや、信頼できる友人でも構いません。つらい気持ちを一人で抱え込まず、周りの人にSOSを出すことで、精神的な負担を軽減していきましょう。
対策2|「今は休むのが仕事」と割り切る
つわり中は、家事が思うように進まなかったり、仕事に集中できなかったりして、罪悪感を感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、つわりは妊娠による体の変化によって起こる自然な現象です。
今は、赤ちゃんを育てるために、お母さんの体が一生懸命頑張っている時期です。「今は休むのが仕事」と割り切って、できる範囲で家事や仕事を行い、無理せず体を休めることを優先しましょう。
食事は簡単に済ませたり、掃除は最低限にしたり、仕事は同僚に協力を依頼したりするなど、「休む」以外のタスクは思い切って放棄するよう工夫してみましょう。
対策3|必要に応じて専門家に相談する
つわりによる精神的なストレスが大きすぎる場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することも考えてみましょう。産婦人科医や助産師、カウンセラーなどに相談することで、つわりの症状や精神的な不安への適切なアドバイスやサポートを受けることができます。
つわり期間に地獄のようなつらい思いをする人は少なくありません。妊娠期間中のサポートに精通している人たちであれば、良い意味で、そのような相談を受けることに慣れているはずです。個人に合わせた対処法やアドバイスをしてくれるでしょう。
まとめ
妊娠初期のつわりは、多くの妊婦さんにとって大きな試練となります。症状や辛さは人それぞれで、「地獄」と表現されるほどの苦しみを感じる方もいらっしゃいます。
つわりの症状は、一般的に妊娠6週目頃から始まり、8〜10週目でピークを迎え、安定期に向かって徐々に軽減していきます。吐きづわり、食べづわり、眠りづわり、においづわり、よだれづわりなど、その症状は多岐にわたります。
重要なのは、つらい症状を一人で抱え込まないことです。水分すら受け付けない、急激な体重減少、吐血などの症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。また、パートナーや家族に症状を具体的に伝え、協力を得ることも大切です。
つわり期間中は「休むのが仕事」と割り切り、自分の体調を最優先にすることをおすすめします。必要に応じて専門家に相談するなど、心身両面でのケアを心がけましょう。つわりは必ず終わりが来る一時的な症状です。周囲のサポートを受けながら、この大切な時期を乗り越えていきましょう。