「生理不順を改善したいけど、どんな薬があるの？」「不妊治療で黄体ホルモン薬を使うって聞いたけど、どんな効果があるの？」など、疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。黄体ホルモン薬は、月経周期の調整や不妊治療、更年期障害の症状緩和など、幅広い目的で使用されます。

この記事では、黄体ホルモン薬についてわかりやすく解説していきます。黄体ホルモン薬がどんな時に処方されるのか、服用する際に注意すべきことは何か、などを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

当記事の監修医師

医師：新田凌也

島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

黄体ホルモン薬はプロゲステロンと同様の作用を持つ薬

黄体ホルモン（プロゲステロン）は、女性の体内で分泌される重要なホルモンの一つです。特に排卵後に卵巣の黄体から分泌され、妊娠の維持や月経周期の調整において、重要な役割を果たしています。

黄体ホルモン薬は、女性の体内にある黄体ホルモン（プロゲステロン）と同様の作用を持つ薬です。黄体ホルモン薬には、大きく分けて2種類あります。

	特徴	具体例
天然型黄体ホルモン製剤	黄体ホルモンそのものを薬として投与する製剤で、比較的副作用が少ないとされています。	エフメノカプセル
合成黄体ホルモン製剤	黄体ホルモンに似た作用を持つ合成化合物です。天然型に比べて効果が強いですが、副作用が出やすい場合があります。	デュファストン、プロベラ、ディナゲスト、レボノルゲストレルなど

どのような黄体ホルモン薬が適切かは、症状や目的に合わせて医師が判断します。

黄体ホルモン薬は、女性の健康をサポートする上で有用な薬です。しかし、吐き気、頭痛、眠気、乳房の張り、不正出血などの副作用が現れることがあるため、服用後に気になる症状が現れた場合は、医師に相談するようにしてください。

黄体ホルモン薬はどんな時に処方される？主な目的4つ

黄体ホルモン薬は、様々な症状の改善を目的として処方されます。主に以下の4つの目的で処方されることが多いです。

月経不順	周期が不規則だったり、経血量が少ない・多い、月経期間が長い・短いなど
月経困難症	生理痛がひどく、頭痛や吐き気、気分の落ち込みなどの月経に伴う症状が強い
無月経	妊娠していないのに、3ヶ月以上月経がない
過多月経	経血量が異常に多い

黄体ホルモン薬は、月経不順や月経困難症、過多月経などの治療に用いられることが多いです。例えば、月経周期が不安定な場合、黄体ホルモン薬を服用することで月経周期を整える効果が期待できます。また、月経痛が重い場合にも、痛みを和らげるために処方されることがあります。

黄体機能不全	黄体ホルモンの分泌量が不足し、妊娠を維持しにくい
生殖補助医療	体外受精や胚移植などの際に、黄体ホルモンを補充し、着床を助ける

不妊治療においても、黄体ホルモン薬は重要な役割を果たします。排卵後に黄体ホルモンが不足すると、受精卵が着床しにくくなるため、黄体ホルモン薬で黄体機能を補助することで妊娠しやすくなる効果が期待できます。

更年期症状	エストロゲン分泌量の減少により、ほてりや動悸、めまいや不眠、イライラなどの症状が現れる
閉経後骨粗鬆症	閉経後にエストロゲンが減少することで骨量が減少し、骨がもろくなって骨折しやすくなる

更年期症状は、エストロゲンの分泌量が減少することで起こります。黄体ホルモン薬は、エストロゲンと併用することで、更年期症状を緩和し、骨粗鬆症を予防する効果が期待できます。

子宮内膜症	子宮内膜組織が子宮外にできる疾患で、強い生理痛や不妊の原因となる
子宮内膜増殖症	子宮内膜が異常に増殖する疾患で、不正出血や月経不順の原因となる

黄体ホルモン薬は、子宮内膜の増殖を抑える効果があり、子宮内膜症の治療に役立ちます。

黄体ホルモン薬は、黄体ホルモン補充や黄体機能不全の治療のために、医師から処方される薬ですが、服用にはいくつかの注意点があります。

黄体ホルモン薬は、必ず医師の診察と指示のもとで服用してください。症状や体質に合わせて、薬の種類や用量、服用期間が決定されます。自己判断で服用を始めたり、中止したり、量を調整したりすることは、副作用のリスクを高める可能性があるため控えましょう。

黄体ホルモン薬は、決められた時間に服用することが大切です。服用時間がバラバラだと、体内のホルモンバランスが不安定になり、効果が十分に得られない可能性があります。例えば、1日2回服用する薬であれば、朝と夜など、毎日同じ時間に服用するようにしましょう。

黄体ホルモン薬を飲み忘れた場合、2回分を一度に服用することは避けましょう。一度に大量に服用すると、副作用のリスクが高まる可能性があります。飲み忘れた場合は、次の服用時間に1回分を服用してください。心配な場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。

黄体ホルモン薬を服用している間は、定期的に検査を受ける必要があります。子宮内膜の状態やホルモンバランスの確認、副作用や治療効果の確認をすることが大切です。

検査の頻度は、服用している薬の種類や用量、症状、年齢、既往歴などによって異なります。医師の指示に従い、適切な頻度で検査を受けましょう。

黄体ホルモン薬とは、女性ホルモンの一種であるプロゲステロンと同様の作用を持つ薬です。月経不順や不妊治療、更年期障害に対するホルモン補充療法など、幅広い目的で使用されます。

月経関連の治療では、月経周期の安定や月経痛の緩和に役立ちます。不妊治療においては、排卵を促したり、受精卵の着床を助ける効果が期待できます。更年期障害に対するホルモン補充療法や子宮内膜症、子宮筋腫などの治療に用いられることも多いです。

服用する際は、医師の指示に従い、自己判断での服用は避けましょう。決められた時間に服用し、飲み忘れた場合でも2回分を一度に服用しないことが大切です。定期的な検査を受け、体調の変化に注意することも重要です。