性行為後の出血は妊娠?考えられる原因と病院に行くべき目安を紹介

性行為後の出血は多くの女性が経験する症状です。「妊娠や病気のサインかも…」と心配になるかもしれません。

この記事では、性行為後の出血の原因を、良性のものから注意が必要なものまで詳しく解説し、病院へ行くべき目安や予防法も紹介します。原因を理解し、適切な対処法を知ることで、不安を解消しましょう。

医師 新田凌也
当記事の監修医師
医師:新田 凌也
島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

性行為後の出血はよくある?着床出血を見極めるのは難しい

性行為後に出血があると、妊娠したのではないかと不安になるかもしれません。出血の原因は、生理や排卵に関連するものから、性感染症などの病気まで幅広く考えられます。まずは落ち着いて、考えられる原因を一つずつ確認していきましょう。

まず、性行為の時期と生理周期との関係を確認してみてください。生理直後や生理前の性行為では、ホルモンバランスの変化や子宮内膜の状態により出血しやすくなります。また、排卵日や排卵日前後の性行為で少量の出血があったとしても、必ずしも異常とは限りません。

着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる出血で、妊娠の初期症状として知られています。一般的に少量で、色は薄いピンクや茶色であることが多いです。生理よりも出血量は少なく、期間も短い傾向があります。

しかし、着床出血と生理初期の出血を見分けるのは難しいため、不安な場合は妊娠検査薬で確認したり、婦人科で検査を受けるようにしてください。

性行為後に出血した際に考えられる良性の原因

性行為後の出血の原因は様々ですが、必ずしも深刻な病気とは限りません。ここでは、性行為後の出血で考えられる良性の(深刻ではない)原因をいくつか紹介します。

原因1|膣や外陰部の外傷

性行為の際、特に初めての方や久しぶりの場合は、挿入時に膣や外陰部に軽い傷が付いて出血することがあります。これは、摩擦によるもので、多くの場合、少量の出血で自然に治まります。ただし、激しい痛みや大量の出血が続く場合は、婦人科を受診しましょう。

原因2|子宮膣部びらん

子宮の入り口付近(子宮膣部)には、デリケートな粘膜があります。この粘膜が、性行為の刺激で炎症を起こしたり、少し剥がれたりして出血することがあります。

子宮膣部びらん自体は病気ではなく、多くの女性に見られるものです。しかし、出血が続く場合は、他の原因がないか検査を受けることをおすすめします。

原因3|子宮頸管ポリープ

子宮頸管にできるポリープが、性行為の刺激で出血することもあります。子宮頸管ポリープはほとんどが良性の腫瘍で、多くの場合、自覚症状はありません。しかし、性行為後に出血する場合は、ポリープが原因である可能性も考えられます。

切除が必要な状態でも、外来での処置で完了できますので、気になる症状がある場合は、婦人科で相談してみましょう。

性行為後に出血した際に考えられる要注意の原因

性行為後に不正出血があると、不安になる方もいらっしゃるかもしれません。出血の原因は様々ですが、中には注意が必要な疾患が潜んでいる可能性もあります。

要注意1|子宮頸がん

性行為後の出血は、子宮頸がんの初期症状の一つとして挙げられます。子宮頸がんは、子宮の入り口付近にできるがんです。主に性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因となります。

性行為による刺激で出血しやすくなるため、以前より出血しやすくなったと感じたら、医療機関を受診するようにしてください。

参考:厚生労働省検疫所FORTH「ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がんワクチン(ファクトシート)

要注意2|性感染症

クラミジアや淋病などの性感染症も、性行為後の出血を引き起こす可能性があります。性感染症は、パートナーとの性行為を通じて感染する病気です。同時に以下のような症状が現れることが多いので、心当たりがないか確認してみてください。

性感染症おりものの変化その他の症状
クラミジア黄色や白色粘り気が強いにおい少なめ下腹部痛性交痛
淋病黄色や緑色の膿状量が多い排尿時痛下腹部痛
トリコモナス症黄緑色や灰色泡立ちやすい魚が腐ったような悪臭かゆみ外陰部の腫れ

性感染症は気づかずに放置すると、不妊症などの深刻な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。気になる症状がある場合は、婦人科を受診し、検査を受けることをおすすめします。

要注意3|子宮内膜症

子宮内膜症は、本来子宮の内側にある子宮内膜が、子宮以外の場所で増殖する病気です。性行為時の痛みや性交後出血といった症状が現れることがあります。月経痛が酷かったり、酷くなったと感じる場合は注意が必要です。

子宮内膜症は不妊の原因となる可能性もあるため、速やかに婦人科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

参考:日本産科婦人科学会「子宮内膜症

要注意4|子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。多くの場合、自覚症状はありませんが、筋腫が大きくなると、性行為後の出血や月経過多などの症状が現れることがあります。

サイズが小さく症状もない場合は、治療しないで経過観察することがほとんどです。ただし、日常生活に支障をきたす場合は、治療が必要となるケースもあります。

参考:日本産科婦人科学会「子宮筋腫

性行為後の出血で受診が必要な目安

性行為後の出血の原因は様々ですが、中には医療機関への受診が必要なケースもあります。どのような出血の場合に受診すべきか、具体例を交えて目安を紹介します。ただし、不安な症状がある場合は目安に限らず受診するようにしてください

目安1|出血が2日以上続く

性行為後に少量の出血が見られることは、珍しくありません。しかし、出血が2日以上続く場合は、注意が必要です。例えば、性行為の翌日に少量の出血があり、その翌日も出血が続くようであれば、婦人科を受診することをおすすめします。

少し出血しただけで大げさではないかと心配される方もいるかもしれませんが、早期に適切な診断を受けることが安心につながります。

目安2|性行為のたびに出血する

性行為をするたびに毎回出血する場合は、受診の必要があると言えるでしょう。例えば、先月は性行為後に少量の出血があり、今月も性行為後に同じように出血した場合などは、一度婦人科で診てもらうと良いでしょう。

出血の原因を特定し、適切な対処をすることで、不安を解消し、より安心して性行為を楽しめるようになります。

目安3|痛みや発熱を伴う

性行為後の出血に加えて、痛みや発熱などの症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。例えば、出血と共に下腹部に強い痛みを感じたり、38度以上の発熱がある場合などは、緊急性を要する場合があります。

自己判断で様子を見ようとせず、速やかに専門医の診察を受けることで、重篤な症状を防ぐことができます。

性行為後の出血を予防する方法

性行為後の出血は、痛みや不快感を伴うだけでなく、不安になってしまいますよね。もし、性行為が原因の出血であれば、予防法を知るだけで出血のリスクを軽減できます。

予防法1|潤滑ゼリーを活用する

引用元:日本家族計画協会「リューブゼリーとは

性行為中の摩擦は、出血の大きな原因の一つです。潤滑ゼリーやローションを使用することで、摩擦を軽減し、デリケートな粘膜を保護できます。

市販の潤滑ゼリーには、水溶性、シリコンベース、油性など様々な種類があります。ご自身の体質や好みに合わせて選びましょう。特に、初めて性行為を経験する方や、更年期などで膣の乾燥が気になる方は、潤滑ゼリーの使用を検討してみてください。

予防法2|痛みを感じたら伝える

性行為中に痛みを感じた場合は、すぐにパートナーに伝えましょう。言いづらいかもしれませんが、出血のリスクを高めるだけでなく、性交痛の原因にもなりかねません。

お互いの気持ちや体の状態を尊重し、コミュニケーションをしっかり取ることは、安全で快適な性行為を楽しむためにとても大切です。痛みを感じたら、我慢せずに伝えるようにしましょう。

予防法3|無理な体位を避ける

性行為の体位によっては、膣や子宮頸部に負担がかかり、出血しやすくなる場合があります。特に、初めて性行為を経験する方や、生理後など体がデリケートな時期は、無理な体位を避け、負担の少ない体位を選ぶようにしましょう。

まとめ

性行為後の出血は、多くの女性が経験する症状であり、必ずしも深刻な病気のサインではありません。膣や外陰部の小さな傷や、子宮頸管ポリープなどが原因で起こることも多く、一時的なものであれば心配する必要はありません。

しかし、出血が続く場合や、量が多い、痛みを伴うといった場合は注意が必要です。子宮頸がんや性感染症などの可能性も考えられるため、早めに婦人科を受診しましょう。

性行為後の出血を予防するためには、潤滑ゼリーを使用したり、無理な体位を避けたりするなど、性行為時の注意が大切です。また、パートナーとコミュニケーションをとり、痛みを感じたら我慢せずに伝えることも重要です。

もし不安な症状がある場合は、一人で抱え込まず、気軽に婦人科を受診してみてください。

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