カンジダの症状は男女で違う?性病との違いや日頃からできる予防法も紹介

カンジダ症は、女性ならほとんどの人が経験する感染症の一つです。性的接触とは関係なしに、ストレスや過労などの免疫力の低下で発症することもあります。

この記事では、カンジダの症状や原因、パートナーへの感染の可能性について解説します。日頃からできる予防法も紹介しますので、カンジダの正しい知識を身につけ、適切に対処できるようになりましょう。

医師 新田凌也
当記事の監修医師
医師:新田 凌也
島根大学医学部卒業卒業後、神戸大学医学部附属病院、丹波医療センター研修。ミライメディカルクリニックでオンライン診療全般を担当。

カンジダ症は性病ではなく常在菌の繁殖によるもの

カンジダ症のことを性病として認識している人も多いですが、「風邪をひいている人との性行為で風邪がうつることがあるが、風邪は性病ではない」というのと同じで、カンジダは一般的な性病とは異なります。

カンジダ症は、カンジダ菌という真菌が原因で起こる感染症です。カンジダ菌は、健康な人の皮膚や口、消化管、腟などにもともと存在している常在菌で、通常は何の問題もありません。しかし何らかの原因で過剰に増殖してしまった時にカンジダ症を発症します。

性的接触による感染も原因の一つとしてはありますが、自浄作用が弱まることによる自己感染のケースがほとんどです。

カンジダがパートナーにうつる可能性は低い

性行為によってカンジダ症がうつる可能性はおよそ5〜10%程度だといわれています。ただし、ストレスや過労で免疫力が低下しているタイミングは注意が必要です。

万が一の感染を防ぐためにも、パートナーがカンジダ症を発症している場合、完治するまでは性交渉を控えるようにしてください。口腔カンジダ症を発症することもありますので、オーラルセックスもしてはいけません。

また、同棲をしている場合はタオルや衣類の共有も控えたほうがいいでしょう。ピンポン感染と呼ばれる、パートナー間での感染の繰り返しを防ぐためにも、しっかりと対策することが大切です。

カンジダ症の女性特有の症状3つ

ここでは、女性がカンジダ症に感染した際にみられる症状を3つ紹介します。

症状1|性器周辺のかゆみや違和感

カンジダ症になると、外陰部や膣の入り口周辺に強いかゆみや灼熱感を覚えることがあります。これは、カンジダ菌が繁殖することで、皮膚や粘膜が炎症を起こしているためです。

かゆみは、夜間や生理前などに悪化することがあります。また、かゆみだけでなく、腫れや赤み、ヒリヒリとした痛みを感じることもあるようです。

症状2|におい・色の変化がある膣分泌物

カンジダ症になると、通常とは異なるおりものの変化が見られます。

特徴的なのは、酒粕状やカッテージチーズ状の、白くて粘り気のあるおりものです。また、おりものの量が増えたり、生臭いような独特のにおいを発することもあります。

症状3|性行為時の痛みや不快感

カンジダ症になると、性行為の際に痛みや不快感を覚えることがあります。これは、炎症を起こした膣の粘膜が、摩擦によって刺激されるためです。また、性交後に出血が起こることもあります。

カンジダ症の男性特有の症状2つ

男性の場合、性行為によって感染するケースが多く見られます。以下のような症状が見られた場合は、受診を検討してみてください。

症状1|亀頭部のかゆみやただれ

カンジダ菌が亀頭部に感染すると、強いかゆみやヒリヒリとした痛みを伴うことがあります。また、亀頭が赤く腫れ上がったり、白いカスのようなものが付着したり、さらに症状が進むと、亀頭の皮膚がただれてしまうこともあります。

症状2|尿道の違和感やかゆみ

カンジダ菌が尿道に感染すると、排尿時に痛みや違和感を感じることがあります。また、尿道にかゆみを感じたり、尿道から白い分泌物が出たりすることもあります。

日頃からできるカンジダ症の予防方法3つ

カンジダ症は、適切な予防を心がけることで、発症のリスクを減らすことができます。ここでは、日頃からできる簡単な予防法を3つご紹介します。

予防法1|通気性の良い下着を着用する

通気性の悪い下着は、デリケートゾーンを蒸れやすくし、カンジダ菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。綿素材など、通気性の良い下着を着用するようにしましょう。

特に、生理中はナプキンの使用で蒸れやすいため、こまめな交換と通気性の良い下着の着用が効果的です。また、締め付けの強い下着も血行を悪くし、免疫力を低下させる可能性があるため、なるべく避けるようにしてください。

予防法2|デリケートゾーンを清潔に保つ

デリケートゾーンを清潔に保つことは、カンジダ症予防の基本です。しかし、洗いすぎは、皮膚の常在菌を減らし、かえってカンジダ菌が増殖しやすくなる可能性があります。

石鹸はデリケートゾーン専用のものを使用し、優しく洗いましょう。また、排便後は、前から後ろへ拭くようにし、雑菌の侵入を防ぐように心がけてください。

予防法3|生活習慣やホルモンバランスを安定させる

睡眠不足やストレス、過労などは、免疫力を低下させ、カンジダ症を引き起こしやすくなります。規則正しい生活習慣を心がけ、十分な睡眠と休息をとりましょう。

また、バランスの取れた食事を心がけ、免疫力を高めることも大切です。ホルモンバランスの乱れもカンジダ症のリスクを高めるため、生理周期を整え、ストレスを溜めないようにすることが大切です。

カンジダ症に関するよくある質問

ここでは、カンジダ症に関するよくある質問とその回答を紹介します。

カンジダ治療の市販薬を使用してもいいの?
市販されているカンジダ治療薬も症状改善に効果的です。ただし、市販薬を使用してもいいのは「過去に医師からカンジダ症と診断され、治療を受けた経験がある」という場合に限られます。初めての症状の場合は必ず医療機関を受診してください。

なお、市販薬を使用して3日間で改善が見られない、または6日間使用しても症状が消失しない場合も医師の診察が必要です。
カンジダ症と他の感染症との見分け方は?
カンジダ症の特徴的な症状として、外陰部のかゆみや、カッテージチーズ状や酒粕状のおりものがあります。しかし、細菌性膣症やトリコモナス症など、他の感染症でも似たような症状が現れることがあるため、自己判断は危険です。

適切な治療が遅れると症状が悪化する可能性があるため、症状が気になる場合は、医療機関での確実な診断を受けることが推奨されます。

まとめ

カンジダ症は、私たちの体に普段から存在するカンジダ菌が過剰に増えることで起こる感染症です。基本的に、パートナーにうつる可能性は低いと考えられています。

女性の場合は、性器周辺の痒みや違和感、おりものの変化、性交痛などが主な症状です。一方、男性の場合は亀頭部のかゆみやただれ、尿道の違和感などが現れます。

カンジダ症を予防するためには、通気性の良い下着を着用し、デリケートゾーンを清潔に保つことが大切です。また、生活習慣を整え、ホルモンバランスを安定させることも効果的です。

症状が気になる場合は自己判断で市販薬を使用せず、医療機関を受診することをおすすめします。他の感染症との見分けが難しい場合もあるため、専門家の診断を受けることが重要です。

カンジダ症は適切な治療を受ければ、1〜2週間程度で改善する症状です。女性なら誰でも経験する感染症ですので、恥ずかしがらずに気軽に受診してみてください。

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