いびき防止枕は本当に効果がある?仕組みと選び方・改善しないときの対処法を解説

いびき防止枕は、「寝姿勢を整えていびきを減らす」として注目されています。しかし、「どんな枕が効果的?」「使っても治らない場合は?」と疑問を感じている方も多いでしょう。

この記事では、いびきの仕組みと枕で改善できるケース・できないケースをわかりやすく解説します。あわせて、正しい選び方やセルフケア、医師に相談すべきサインも紹介します。

いびきの原因と枕で改善できるケース・できないケース

いびきは、ただのうるさい音ではなく、身体からのサインかもしれません。枕などである程度の対策はできますが、まずは「なぜいびきが起こるのか」を正しく知ることが大切です。

ここからは、原因とタイプ別の特徴を見ていきましょう。

いびきの仕組みと主な原因

いびきの正体は、狭くなった空気の通り道(上気道)を呼吸が通る際に、のどの粘膜が振動して鳴る音です。

眠ると全身の筋肉がゆるみ、舌や喉の周りの筋肉も例外ではありません。これによって舌が喉の奥に落ち込み(舌根沈下)、気道が狭くなることでいびきが発生します。

主な原因は以下の通りです。

  • 舌の落ち込み(舌根沈下):仰向けで寝ると重力で舌が喉の奥に下がり、気道を塞ぎやすくなる。
  • 鼻づまり:アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まると口呼吸になり、舌の落ち込みを招きやすくなる。
  • 肥満:首まわりや舌根部の脂肪が気道を内側から圧迫。
  • 加齢や疲れによる筋力低下:喉の筋肉がゆるみ、気道が狭まりやすくなる。
  • アルコールの摂取:筋肉を緩める作用により、寝る前の飲酒はいびきを悪化させる原因に。
  • 骨格の問題:顎が小さい、または下顎が後退している場合、もともと気道が狭くなりやすい傾向。

枕で改善しやすいタイプ・改善しにくいタイプ

いびきの原因によって、枕で改善が見込めるタイプと、医師の診察が必要なタイプがあります。

枕で改善しやすいのは、寝姿勢によって気道が狭くなっているタイプです。例えば「高すぎる枕で顎が引けている」「低すぎる枕で口が開き、舌が落ち込んでいる」といったケースでは、頭と首を適切な位置に保つことで気道を確保し、いびきの軽減が期待できます。

一方、鼻や喉の構造的な問題や病気が原因の場合、枕だけでの改善は難しいです。鼻中隔弯曲症・扁桃肥大・アデノイド肥大などで気道が物理的に狭くなっているケースや、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、医師による診断と治療が必要になります。

自分に合ういびき防止枕の選び方【高さ・形・素材】

いびき対策で枕を選ぶ際は、「高さ」「形」「素材」の3つのポイントが重要です。

自分に合ったものを選ぶことで、自然な寝姿勢を保ち、気道を確保しやすくなります。

高さの目安と寝姿勢との関係

枕の理想的な高さは、リラックスして立った姿勢を横になっても再現できる程度です。

枕の理想的な高さは、首や肩が無理なく自然な位置に収まる程度が目安です。頭や首の角度が適切に保たれることで、上気道の通りがよくなり、呼吸しやすい姿勢を維持しやすくなります。

高すぎる枕は顎が引けて気道を圧迫し、低すぎる枕は口が開いて舌が落ち込みやすくなります。

体格・寝姿勢別|理想の枕の高さ早見表

寝姿勢体格高さの目安
仰向け寝普通普通(敷布団と首の隙間を埋める程度)
仰向け寝がっちりやや高め(肩幅がある場合に頭を支える)
横向き寝普通やや高め(肩幅の分だけ高さを確保)
横向き寝がっちり高め(背骨が一直線になる高さが理想)

形状別の特徴

枕の形状にはそれぞれの特徴があり、寝姿勢やいびきのタイプに応じて選ぶことで、気道を確保しやすくなります。

  • 中央くぼみ型:後頭部が安定し、首の自然なカーブを保ちやすい。仰向け寝で舌の落ち込みを防ぎたい人に適している。
  • 横寝サポート型:サイド部分が高めに設計され、横向き姿勢をキープしやすい。仰向けでいびきが悪化する人におすすめ。
  • ウェーブ型:高低差を利用して首元をしっかり支える構造。首や肩こりを感じやすい人や、首のラインを安定させたい人に向いている。

形状によって寝返りの打ちやすさや頭の位置の安定性が異なるため、店頭や口コミなどで実際の使用感を確認して選ぶと安心です。

素材の選び方

素材は寝心地だけでなく、通気性や衛生面にも影響します。季節や体質に合った素材を選ぶことで、快適に使い続けられます。

  • 低反発ウレタン:頭の形に沿って沈み込み、フィット感が高い。圧分散性に優れ、静かな寝心地を求める人に向く。やや通気性が低い点には注意。
  • 高反発ウレタン・ラテックス:反発力があり、寝返りがしやすい。通気性や放熱性は素材や設計によって差がある。暑がりの人におすすめ。
  • パイプ:通気性が高く、丸洗いできる製品も多い。中材の量を調整できるタイプもあり、高さを微調整したい人に最適。
  • そばがら:吸湿性に優れ、自然素材の香りが落ち着くが、硬めの寝心地。アレルギー体質の人は注意が必要。

素材ごとにお手入れ方法や耐久性が異なるため、購入前に「洗濯可能か」「高さ調整ができるか」を確認しておきましょう。

枕を変えてもいびきが続くときにできるセルフケア

枕の見直しは大切ですが、それだけでいびきが完全になくならないこともあります。

その場合は、生活習慣や寝るときの姿勢など、他の対策もあわせて行いましょう。

寝姿勢の工夫で呼吸を通しやすくする

仰向けよりも横向きで寝るほうが、舌の落ち込みを防ぎやすく、気道を確保しやすいとされています。

特に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」の方では、仰向けよりも横向きで寝るほうが、気道が確保されやすく症状の軽減に有効なことがあります。ただし、長時間続けるのは難しいため、改善しない場合は医療機関に相談しましょう。

横向き寝を快適に保つには、膝の間にクッションを挟んで体圧を分散させるのがおすすめです。抱き枕を使うと姿勢を安定させやすく、自然に横向きを維持できます。

また、寝返りを妨げない反発性のある寝具を選び、枕は「高すぎない」高さに調整しましょう。

生活習慣の見直し

いびきの改善には、日々の生活習慣を見直すことも欠かせません。

特に次の3つは、どのタイプのいびきにも効果が期待できる基本的な対策です。

体重を適正に保つ

肥満は首や舌の周囲に脂肪がつき、気道を狭める大きな要因です。

軽い運動や食事管理で体重を整えましょう。

<寝る前の飲酒を控える>

アルコールは喉の筋肉をゆるめ、気道が塞がれやすくなります。

就寝の数時間前(目安:2〜3時間以上)からは飲酒を控えるようにしましょう。

<寝室の環境を整える>

乾燥した空気は鼻や喉の粘膜を刺激します。

加湿器や濡れタオルを使い、湿度40〜60%を目安に保つと快適に眠れます。

いびきが続くときは、医師への相談を検討しよう

セルフケアを試してもいびきが改善しない場合や、次のようなサインが見られる場合は、医療機関への相談を考えましょう。いびきの裏には、「睡眠時無呼吸症候群」という病気が隠れている可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。放置すると、日中の強い眠気による事故リスクや、高血圧・心臓病などの生活習慣病につながることがあります。

受診を検討すべきサイン

  • 家族から「寝ているときに呼吸が止まっていた」と言われた
  • 大きないびきの後に静かになり、あえぐように呼吸を再開する
  • 夜中に息苦しさで目が覚める
  • 朝起きたときに頭痛がする
  • 日中の強い眠気や集中力の低下がある

これらのサインがある場合は、呼吸器内科・耳鼻咽喉科・睡眠専門クリニックを受診しましょう。

鼻や喉の状態を確認したり、自宅で行う簡易検査で睡眠中の呼吸を調べられます。

診断の結果、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群と判断された場合には、CPAP(シーパップ)療法が第一選択となることが多いです。これは寝るときに鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道が塞がるのを防ぐ治療法です。

一方、軽症の場合は、マウスピース(スリープスプリント)などの治療が検討されます。適切な治療を受けることで、いびきだけでなく日中の眠気も改善が期待できます。

参考:日本呼吸器学会「I-05 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)

参考:日本呼吸器学会「Q30. CPAP(シーパップ)とはどのような治療法ですか?

まとめ

いびき防止枕は、寝姿勢が原因のいびきに対しては改善効果が期待できます。しかし、枕だけで全てのいびきが解決するわけではありません。大切なのは、自分のいびきの原因を見極め、生活習慣の見直しと医療機関での相談を組み合わせることです。

まずは自分に合った枕を選び、横向き寝や体重管理などを意識してみましょう。それでも改善しない場合や、呼吸の停止・日中の強い眠気などがある場合は、自己判断で放置せずに医師に相談することが大切です。

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