夜になると腹痛が毎日起こるのはなぜ?考えられる原因と受診の目安を解説

「夜になると決まって腹痛が起こる」「毎日同じ時間帯にお腹が痛くなる」こうした症状にお悩みの人も多いのではないでしょうか。夜の腹痛は日常生活に大きな影響を与え、睡眠の質の低下や翌日の体調不良につながることもあります。

夜間の腹痛には様々な原因があり、正しい対処法を知ることで症状の改善が期待できます。また、医師への相談が必要なケースの見極めも重要です。 

この記事では、夜の腹痛の主な原因から、受診すべき症状の見分け方、自宅でできるセルフケア方法まで解説していきます。

夜になると腹痛が毎日起こる原因とは?

夜になると決まって腹痛が起こる場合、その背景には大きく3つの要因が考えられます。食事による消化器への負担、ストレスや自律神経の乱れ、そして疾患が関与しているケースです。

それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

消化のリズムや胃腸の負担によるもの

夜の腹痛は、夕食後の消化器への負担が一因とされることがあります。特に就寝直前の食事や、量・内容の偏り、タイミングの不規則さなどが、胃腸に負担をかける主な要因です。

以下は、胃腸に負担をかけやすい食習慣と、その理由をまとめたものです。

夕食の食べ過ぎ胃が膨張して消化に時間がかかり、痛みの原因になる
脂っこい食事脂質の消化には時間がかかり、胃腸に負担がかかる
夜食や間食の習慣胃腸が休めず、消化器系が慢性的に疲労する
早食いや咀嚼不足消化不良を起こしやすく、胃に刺激が残る
刺激の強い食べ物香辛料・アルコール・カフェインなどが胃粘膜を刺激する
冷たいものの摂りすぎ胃腸の働きが一時的に低下し、消化に影響を与える可能性がある

特に夕食を食べてから2〜3時間以内に痛みが起こる場合は、食事内容や食べ方が原因である可能性が高いです。また、空腹時に痛みが起こる場合は、胃酸の分泌過多や胃壁への刺激が考えられます。

食事による腹痛は、食事の内容やタイミングを調整すれば改善が期待できます。

ストレスや自律神経の乱れによる影響

日中に蓄積されたストレスや疲労は、夜間になって腹痛として現れることがあります。これは自律神経のバランスが乱れることで、胃腸の働きが不安定になるためです。

ストレスを感じると交感神経が優位になり、胃腸の血流が減少して消化機能が低下します。また、ストレスホルモンの分泌により胃酸の分泌バランスが崩れ、胃壁への刺激が強くなることもあります。

ストレス性腹痛の特徴的な要因は以下のとおりです。

  • 仕事や人間関係のプレッシャー
  • 睡眠不足や不規則な生活
  • 過度な疲労の蓄積
  • 環境の変化
  • 完璧主義的な性格
  • 感情を抑制する習慣

決まった時間帯に起こるキリキリとした痛みや胃の緊張感が特徴です。ストレス軽減と生活習慣の見直しが改善のポイントとなります。

病気が原因のケース

夜の腹痛が続く場合、何らかの疾患が背景にある可能性も考慮する必要があります。特に症状が徐々に悪化している、他の症状も併発している場合は、早めの医療機関受診が重要です。

以下の表は、夜間腹痛を引き起こす主な疾患をまとめたものです。

疾患名症状の特徴主な併発症状
過敏性腸症候群(IBS)ストレスで悪化、排便で軽快下痢・便秘、腹部膨満感
胃潰瘍・十二指腸潰瘍空腹時や夜間に痛む胸やけ、吐き気、食欲不振
逆流性食道炎横になると悪化胸やけ、酸っぱいげっぷ
機能性ディスペプシア慢性的な胃の不快感早期満腹感、胃もたれ
胆石症脂肪食後に激痛右肩の痛み、発熱、黄疸

これらの疾患による腹痛は、単純な消化不良やストレスによるものとは異なる特徴があります。痛みが持続的で強くなる傾向がある、特定の食べ物で悪化する、発熱や吐き気などの症状を伴う場合は、疾患の可能性を疑う必要があります。

特に、IBSはストレスと関連が深く、腹痛の原因となることがあります。多くは日中に症状が出る傾向がありますが、生活リズムや個人差により夜間に痛みを感じる場合もあるため、症状が続く場合は専門医への相談をおすすめします。

毎日続く夜の腹痛で受診すべき症状とは?

毎日夜になると腹痛が起こる場合、多くは生活習慣やストレスが原因ですが、中には医師の診察が必要なケースもあります。

以下のような症状がある場合は、早めの受診を検討しましょう。

1週間以上続く・痛みが強くなる

腹痛が1週間以上毎日続いている場合や、痛みが徐々に強くなっている場合は受診が必要です。

受診の目安となる症状は以下のとおりです。

  • 1週間以上毎日同じ時間帯に腹痛が起こる
  • 痛みの強さが日に日に増している
  • 市販薬を飲んでも痛みが治まらない
  • 痛みで眠れない、または目が覚めてしまう
  • 痛みの範囲が広がっている
  • 我慢できないほどの激しい痛み

特に痛みが悪化傾向にある場合は、何らかの疾患が進行している可能性があります。様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。

発熱・下痢・吐き気など他の症状を伴う

腹痛に加えて他の症状も現れている場合は、より注意が必要な状態です。

受診の目安となる症状は以下のとおりです。

  • 38度以上の発熱がある
  • 持続する下痢や血便が出る
  • 吐き気や嘔吐を繰り返す
  • 食欲が全くない状態が続く
  • 体重が急激に減少している
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が出る
  • 便の色が白っぽい、または黒い

これらの症状は、感染症や炎症性疾患、消化器系の重篤な病気が疑われます。特に発熱を伴う場合は、緊急性が高いケースもあるため、速やかな受診が必要です。

夜の腹痛をやわらげるセルフケアと生活改善

夜の腹痛が軽度で、生活習慣が原因と考えられる場合は、セルフケアで症状の改善が期待できます。特に食事の見直しとリラックス習慣を身につけることが効果的です。

夕食の内容とタイミングを整える

食事による腹痛を防ぐには、夕食の内容とタイミングの調整が重要です。以下の表を参考に食事習慣を見直してみましょう。

項目改善ポイント理由
食事時間就寝の3時間前までに済ませる消化時間を確保するため
食事量腹八分目を心がける胃腸への負担を軽減
食べ方よく噛んでゆっくり食べる消化を助ける
食事内容脂っこい食事・刺激物を控える消化に時間がかからない
温度温かい食事を選ぶ胃腸の機能低下を防ぐ

夜食の習慣がある場合は、徐々に減らしていきましょう。どうしても空腹の場合は、消化の良いものを少量摂る程度にとどめます。お腹が空いた時は、温かいハーブティーや白湯で空腹感を和らげるのも効果的です。

就寝前のリラックス習慣をつくる

ストレスや自律神経の乱れによる腹痛には、就寝前のリラックス習慣が有効です。深呼吸やストレッチで緊張した筋肉をほぐし、38〜40度のぬるめのお風呂で血行を促進させましょう。

軽い読書や音楽鑑賞、ラベンダーなどのアロマテラピーも心を落ち着かせる効果があります。スマホのブルーライトは睡眠の質を下げるため、就寝前の使用は控えることが大切です。

軽い腹部マッサージも効果的です。おへその周りを時計回りに優しくなでることで、腸の動きを促進し、緊張をほぐせます。強く押さず、気持ちいいと感じる程度の力加減で行いましょう。

これらの習慣を続けることで、夜間の腹痛の頻度や強さを軽減できる場合があります。ただし、症状が改善しない場合は無理をせず、医師に相談しましょう。

まとめ

夜になると毎日のように腹痛が起こる場合、原因は主に3つに分けられます。食事による消化器への負担、ストレスや自律神経の乱れ、そして疾患が関係しているケースです。

中でも多いのは、夕食のタイミングや内容による影響です。食事の見直しや、就寝前にリラックスする習慣を取り入れるだけでも、症状がやわらぐケースがあります。

一方で、1週間以上症状が続く場合や、発熱・下痢・吐き気などを伴う場合には、放置せず医師に相談してください。

夜の腹痛は睡眠や日中の体調に影響し、生活全体の質を下げる原因にもなります。つらさを我慢せず、できる対策から着実に取り入れていきましょう。

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