人の髪は1日に50〜100本程度自然に抜けることが知られています。これは健康な髪のサイクルの一部であり、心配する必要はありません。しかし、「最近抜け毛が増えた気がする」「抜け毛が止まらない」と感じる場合、放置すれば薄毛や脱毛症へと進行する可能性があります。
この記事では、「正常な抜け毛」と「異常な抜け毛」の見分け方や、抜け毛が止まらない場合に考えられる原因、そして効果的な対処法まで、抜け毛に関する悩みを解決するための情報を詳しく紹介します。
目次
抜け毛が止まらない!正常な抜け毛との違いを解説
(編集部作成)
毛髪にはヘアサイクルがあり、成長期、退行期、休止期を経て自然に抜け落ちるため、毎日髪が抜けること自体は正常な生理現象です。
しかし、その量が通常よりも明らかに多かったり、抜け毛の状態に異常が見られたりする場合は、異常脱毛のサインである可能性があります。ここでは、抜け毛が止まらないと感じる状態と、正常な抜け毛との違いについて詳しく解説します。
異常なサイン1|枕元に大量の髪が残る
正常な抜け毛の範囲であれば、朝起きた時の枕元に残る髪の毛は数本程度であることが一般的です。しかし、毎朝、明らかに数十本以上の抜け毛が目につくような状態が続く場合は、異常脱毛の可能性を疑う必要があります。
これは、何らかの原因で、通常よりも多くの髪の毛が休止期に入り、抜け落ちているサインかもしれません。抜け毛の量が一時的なものではなく、長期間にわたって多いと感じる場合は、専門医に相談することをおすすめします。
異常なサイン2|抜け毛の毛根や髪質が弱っている
抜け毛の毛根や髪質を意識して観察することで、正常な抜け毛との違いを見分ける手がかりになります。正常な抜け毛は、毛根が白っぽく、丸みを帯びた形状をしていることが多いです。これは、毛根が自然なヘアサイクルの終わりに抜けたことを示しています。
一方、異常脱毛の場合、抜け落ちた髪の毛の毛根が細く萎縮していたり、黒っぽく尖った形状をしていたりすることがあります。また、髪の毛自体が細く、ハリやコシがなく、切れやすいといった状態も、髪の成長が阻害されているサインかもしれません。
異常なサイン3|頭皮や髪の見た目に変化がある
抜け毛の量だけでなく、頭皮や残っている髪の毛の状態も、異常脱毛を見分ける重要なポイントです。例えば、頭皮が赤くなっていたり、炎症を起こしていたり、フケやかゆみが異常に多いといった状態は、頭皮環境が悪化し、抜け毛を誘発している可能性があります。
また、髪の毛全体のボリュームが明らかに減ってきた、特定の部位だけ極端に薄くなってきた、髪の分け目が広がってきたなどの変化も、異常脱毛のサインとして捉えるべきでしょう。
これらの変化に気づいた場合は、早めに専門のクリニックを受診し、適切な診断とアドバイスを受けることが大切です。
抜け毛が止まらない場合に考えられる主な原因3つ
抜け毛が増える原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、抜け毛が止まらない場合に考えられる主な原因を3つに分けて解説します。
原因1|生活習慣や栄養バランスの乱れ
健康な髪の成長には、規則正しい生活習慣とバランスの取れた食事が不可欠です。睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長に必要なエネルギーを不足させる原因となります。
また、偏った食事や過度なダイエットによる栄養不足は、髪の主成分であるタンパク質や、髪の健康維持に必要なビタミン、ミネラルなどの不足を招き、髪の毛が細くなったり抜けやすくなったりする可能性があります。
喫煙や過度な飲酒も、頭皮の血行を悪化させ、毛根への栄養供給を妨げるため、抜け毛を助長する要因となるため、控えるようにしましょう。
原因2|頭皮環境の悪化
健康な髪は、健康な頭皮から育ちます。頭皮が不潔な状態であったり、乾燥していたり、炎症を起こしていたりすると、毛根が正常に機能しなくなり、抜け毛の原因となることがあります。シャンプーが合っていなかったり、間違ったヘアケアを行っていたりすることも、頭皮環境の悪化を招く要因となります。
例えば、洗浄力の強すぎるシャンプーは頭皮に必要な皮脂を過剰に洗い流し、乾燥を引き起こすことがあるため、注意が必要です。また、紫外線による頭皮へのダメージも、頭皮環境を悪化させ、抜け毛を促進する可能性があります。
原因3|ストレスやホルモンバランスの乱れ(AGA)
精神的なストレスは、自律神経の乱れを引き起こし、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させることがあります。また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与え、抜け毛を誘発する可能性があります。
男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が、毛根に作用することでヘアサイクルを短縮させ、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまう進行性の脱毛症です。
AGAは遺伝的な要因も大きく関わりますが、ホルモンバランスの乱れもその進行に影響を与えると考えられています。女性の場合も、加齢や出産、更年期などによるホルモンバランスの変化が、抜け毛の原因となることがあるのです。
参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」
抜け毛が止まらない時に効果的な対処法3つ
抜け毛がなかなか改善しない場合、焦らずに適切な対策を講じることが大切です。ここでは、抜け毛が止まらないと感じる時に試してみるべき、効果的な対処法を3つご紹介します。
対処法1|生活習慣の見直し(食事・睡眠・運動)
健康な髪の成長には、体の内側からのケアが不可欠です。まずは、日々の生活習慣を見直すことから始めましょう。バランスの取れた食事は、髪の主成分であるタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルなど、髪の健康維持に必要な栄養素をしっかりと摂取するために重要です。特に、亜鉛や鉄分、ビタミンB群などは髪の成長に深く関わっているため、意識して摂るように心がけましょう。
質の高い睡眠も、成長ホルモンの分泌を促し、頭皮のターンオーバーを正常に保つために非常に大切です。毎日規則正しい時間に十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。適度な運動は、全身の血行を促進し、頭皮への栄養供給をスムーズにする効果が期待できます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣に取り入れると良いでしょう。
対処法2|頭皮ケア・頭皮マッサージを取り入れる
頭皮は、健康な髪が育つための土壌です。そのため、適切な頭皮ケアは抜け毛対策として非常に重要になります。シャンプーは、頭皮に優しく、洗浄力の強すぎないものを選び、丁寧に洗いましょう。洗い残しがないようにしっかりとすすぎ、シャンプー後は頭皮を優しくマッサージするように乾かすと、血行促進効果が期待できます。育毛剤や頭皮ローションを使用する場合は、製品の指示に従って正しく使用しましょう。
また、頭皮マッサージは、指の腹を使って優しく揉みほぐすことで、頭皮の血行を促進し、硬くなった頭皮を柔らかくする効果があります。入浴中やシャンプー時などに行うと、より効果的です。
対処法3|AGAの専門的な治療を受ける(医薬品の使用やクリニック受診)
男性型脱毛症(AGA)が抜け毛の原因として考えられる場合は、専門的な治療を受けることが最も効果的な対処法となります。AGAは進行性の脱毛症であり、放置すると症状が進行してしまうため、早めの対策が重要です。
医療機関では、AGAの進行を抑制する内服薬(フィナステリド、デュタステリドなど)や、発毛を促進する外用薬(ミノキシジルなど)が処方されます。これらの医薬品は、医師の診断に基づいて適切に使用することで、抜け毛の進行を遅らせたり、発毛を促進したりする効果が期待できます。AGAが疑われる場合は、自己判断で市販の育毛剤を使用するのではなく、専門医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
まとめ|抜け毛が止まらない時に知っておきたいこと
抜け毛に悩まされている方にとって、「これは正常な抜け毛なのか、それとも異常な状態なのか」という判断は重要な第一歩です。枕元の抜け毛の量や、毛根の状態、頭皮や髪の見た目の変化などを観察することで、自分の状態を把握することができます。
抜け毛の原因は生活習慣から頭皮環境、ホルモンバランスまで多岐にわたりますが、原因に応じた適切な対策を講じることで改善が期待できます。日常生活の見直しや頭皮ケアなど、自宅でも取り組める対策も多くありますが、特にAGAが疑われる場合は、早めに専門医に相談することが大切です。
髪の成長サイクルは長いため、どんな対策もすぐに成果が出るわけではありません。継続することが何よりも重要なので、焦らずに自分に合った方法で地道に取り組むことが必要です。抜け毛の悩みは一人で抱え込まず、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、長期的な視点で改善を目指していきましょう。