少し言われただけで泣くのは病気?涙もろさの原因や対処法を紹介

職場での少しの指摘、友人との何気ない会話、家族からの些細な言葉でも、泣いてしまう自分を不思議に思うことはありませんか。その涙もろさは、決して弱さや未熟さの表れではありません。むしろ豊かな感受性や共感力の証であり、時には心身からのSOSサインである可能性もあります。

この記事では、少し言われただけで涙してしまう心理的背景や、それが病気のサインである可能性、そして適切な対処法について詳しく解説します。あなたの涙もろさを理解し、上手に付き合っていくためのヒントとなれば幸いです。

少し言われただけで泣いてしまうのは感受性が高いから?

ほんの些細な言葉や出来事で、涙が溢れてしまう人は、主に「感受性の高さ」と「共感力の強さ」という、あなたの持つ豊かな心の働きが深く関わっています。

感受性が強い場合、周りの人の言葉、表情、そして態度といった細部にまで、人一倍敏感に気づくことができます。相手の何気ない一言や、言葉の奥に隠された気持ちまでをも、無意識のうちに捉えようとする傾向があるのです。

さらに、繊細で傷つきやすい一面があるため、些細な失敗や、周りの人からの何気ない一言に対しても、深く心を痛めてしまうことがあるかもしれません。他者の期待や評価を真剣に受け止めるあまり、ちょっとした指摘や注意であっても、強い不安や悲しみを感じてしまうこともあるでしょう。

もともとの性質であることもありますが、日々のストレスや心の疲れによって、感情のコントロールが難しくなっている可能性があります。感情の起伏が激しく、日常的にストレスを感じやすいと感じているなら、心が疲弊しているサインかもしれません。

「少し言われただけで泣いてしまう」というのは、決して弱いからではありません。

少し言われただけで泣いてしまうときに考えられる病気

以前は些細なことで涙ぐむようなことはなかったのに、最近になって急に涙もろくなったと感じる場合、それは心が何らかのサインを送っている可能性があります。精神的な疲労が蓄積しているのかもしれません。

もちろん、もともとの性質として人より感受性が高いということも考えられます。しかし、変化を感じる場合は、念のため心の状態に注意を払うことが大切です。ここでは、少し言われただけで泣いてしまうときに考えられる病気や性質について紹介します。

うつ病

うつ病は、単なる気分の落ち込みとは異なり、日常生活に支障をきたすほどの深刻な状態です。主な症状としては、持続的な気分の落ち込み、興味や喜びを感じなくなることなどが挙げられます。

しかし、それ以外にも、集中力の低下、食欲不振や過食、睡眠障害、そして感情のコントロールが難しくなり、些細なことで涙もろくなるという症状が現れることもあります。もし、これらの症状が複数同時に見られる場合は、早めに専門機関への相談を検討することが大切です。

関連記事:「うつ病の診断方法は?見逃してはいけない11の初期症状も紹介

適応障害や不安障害

環境の変化やストレスの多い出来事にうまく適応できず、心身に様々な不調が現れる適応障害も、涙もろさの原因となることがあります。新しい職場や人間関係、予期せぬトラブルなどがストレスとなり、感情が不安定になることがあります。

また、漠然とした不安や強い心配事が続く不安障害も、自律神経のバランスを乱し、感情の波を大きくすることがあります。些細なことにも過剰に反応してしまい、涙がこぼれやすくなることがあるため、我慢せずに適切な治療を受けるようにしましょう。

参考:J-Stage「日本における「適応障害」患者数

PTSDによる症状

過去に体験した強烈なトラウマとなる出来事(事故、暴力、災害など)が、時間が経ってもなお心身に影響を与え続けるのがPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。フラッシュバックや悪夢といった再体験症状、トラウマに関連する状況や思考を避ける回避症状、そして常に神経が高ぶっているような過覚醒症状などが主な特徴として挙げられます。

感情のコントロールが難しくなることもその一つで、些細なことで強い反応を示したり、理由もなく涙が溢れてきたりすることがあります。過去の辛い経験が、現在の感情の動きに深く影響を与えている可能性があるため、心当たりがある方は専門機関を受診してみてください。

参考:NCNP病院「PTSD(心的外傷後ストレス障害)

発達障害(ASDなど)

発達障害の一つである自閉スペクトラム症(ASD)を持つ方の中には、感覚過敏の傾向がある場合があります。音や光、触覚だけでなく、他者の感情の機微にも敏感に反応し、精神的な負荷を感じやすいことがあります。

また、コミュニケーションの特性から、意図しない言葉を受け取って傷つきやすく、それが涙につながることもあります。これは、病気というよりも、その方の持つ特性として理解することが大切です。

参考:NCNP病院「自閉スペクトラム症(ASD)

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)は病気ではなく、生まれつき感受性が非常に高い人のことを指します。HSPの方は、五感が鋭く、人の気持ちや環境の変化に敏感に気づきます。そのため、些細な言葉や環境の刺激によって感情的に大きく揺さぶられ、涙もろいと感じることがあります。これは、HSPの持つ特性であり、個性として理解することが大切です。

参考:サワイ健康推進課「心が疲れやすくて生きづらい…それは「HSP」かもしれません

少し言われただけで泣いてしまう場合の対処法

些細な言葉や態度に過剰に反応して涙が出てしまうことは、決しておかしなことではありません。ここでは、そんな時のための対処法を3つ紹介します。

対処法1|ストレスを発散したり休養を取る

些細なことで涙もろくなるのは、心身のエネルギーが低下し、ストレスが限界に達しているサインかもしれません。まずは、溜まっているストレスを積極的に発散し、心身を十分に休ませることが大切です。

適度な運動をする、趣味に没頭する、リラックスできる音楽を聴く、ゆっくりと入浴するなど、自分に合った方法で心と体の緊張をほぐしましょう。質の高い睡眠を確保することも非常に重要です。規則正しい生活を心がけ、心身の回復を促すことで、感情の波が穏やかになることがあります。

対処法2|泣いてしまう自分を否定せずに受け止める

少し言われただけで泣いてしまうことに対して、「また泣いてしまった」「情けない」などと自分を責めてしまうと、さらに自己嫌悪に陥り、悪循環を招きかねません。まずは、そのような自分を否定せずに、「今は心が敏感になっているんだな」「疲れているんだな」と受け止めることが大切です。

無理に感情を抑えようとするのではなく、「泣きたい時は泣いてもいい」と自分に許可を与えることで、かえって気持ちが楽になることがあります。自分の感情を理解し、優しく寄り添うことが、改善への第一歩となります。

対処法3|周囲の理解とサポートを求める

もし、少し言われただけで泣いてしまうことで日常生活に支障が出ている場合は、信頼できる家族や友人、職場の同僚などに、自分の状態を話してみるのも有効な手段です。理解ある周囲のサポートを得られることで、精神的な負担が軽減されることがあります。

また、カウンセラーや医師などの専門家に相談し、客観的な視点からアドバイスをもらったり、適切な治療を受けたりするのも有効です。一人で抱え込まず、周囲のサポートを求めることは、より穏やかな心の状態を取り戻すための大切な一歩となります。

少し言われただけで泣いてしまうのを改善したいなら専門機関を受診してみよう

もし、少し言われただけで涙がこぼれてしまう状態を本気で改善したいと考えているなら、心療内科や精神科などの専門機関を受診することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、以下のような良い影響が得られる可能性があります。

  • 専門家による診断やカウンセリングを通じて、自己理解が深まる
  • 症状や背景に応じて、最適な治療法を提案してもらえる
  • アドバイスをもとに、職場や学校、家庭のサポートを受けやすくなる
  • 病気や障害を早期に発見し、適切な治療や支援につなげることができる
  • 症状が長引いたり悪化したりする前に受診することで、日常生活への影響を最小限に抑えることができる

専門機関を受診することで、自分の特性や状態を正確に知り、適切な対処法やサポートを受けながら、より生きやすい毎日を目指すことができます。

少し言われただけでなく病気のまとめ

些細な言葉や出来事で簡単に涙が溢れてしまう状態は、決して珍しいことではありません。この涙もろさの背景には、生まれ持った感受性の高さやHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の特性がある場合もあれば、うつ病や適応障害、不安障害、PTSDといった精神疾患が隠れている可能性もあります。

特に、以前は涙もろくなかったのに最近になって変化を感じる場合は、心身のストレスや疲労が限界に達しているサインかもしれません。このような状態に対する効果的な対処法としては、まずストレスを適切に発散し十分な休養を取ること、そして涙もろい自分を否定せずに受け止めることが重要です。

また、信頼できる人に自分の状態を打ち明け、理解とサポートを得ることも心の安定につながります。日常生活に支障をきたすほど症状が続く場合は、心療内科や精神科などの専門機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

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