朝に絶望感があるのはなぜ?主な原因と受診すべきタイミングを紹介

朝になると不安や憂うつさが先立ち、ベッドから起き上がることさえ大きな労力に感じることがあります。このような感覚は単なる「朝が苦手」という問題ではなく、心や体からのSOSサインかもしれません。

この記事では、朝に絶望感を抱いてしまう原因や、それが精神疾患のサインである可能性、そして専門家に相談すべきタイミングについて詳しく解説します。

朝に絶望感を感じるのはなぜ?考えられる主な原因3つ

一日を始める前から気持ちが沈んでしまうことがあるのは、決して珍しいことではありません。しかし、放置していい問題でもありません。このような朝の絶望感には、いくつかの原因が考えられます。ここでは、その主な原因を3つ紹介します。

原因1|仕事や学校への強いストレスがある

仕事や学校における過度なプレッシャーや人間関係の悩みは、心身に大きな負担を与えます。特に、抱えている問題が解決の糸口を見出せないほど複雑に感じられる場合、朝を迎えること自体が憂鬱になり、強い絶望感につながることがあります。

「今日も行かなければならない」という思いが、朝の目覚めと同時にネガティブな感情を引き起こしてしまうのです。

原因2|慢性的な疲労や睡眠不足

質の低い睡眠や睡眠時間の不足は、心身の回復を妨げ、自律神経のバランスを乱します。脳が十分に休息できていない状態で朝を迎えると、心身ともにエネルギーが不足し、些細なことにもネガティブに反応しやすくなります。

慢性的な疲労感は、気力の低下を招き、「今日も一日頑張れない」という無力感や絶望感につながることがあります。

原因3|将来への不安や自己否定感がある

将来に対する漠然とした不安や、自分自身の能力や価値を低く評価してしまう自己否定感は、心の深い部分に根ざした絶望感を生み出すことがあります。

「この先、良いことがあるのだろうか」「自分には何もできないのではないか」といったネガティブな思考が増幅され、強い絶望感として感じられることがあります。特に、漠然とした不安や自己否定感が影響している場合、朝の絶望感がより深刻になってしまうのです。

朝の絶望感が強いときに考えられる精神疾患3選

朝に強い絶望感を感じる状態が続く場合、背景に何らかの精神疾患が隠れている可能性も考えられます。自己判断せずに、気になる症状があれば専門医に相談することが大切です。ここでは、朝の絶望感が強く現れることがある代表的な精神疾患を3つ紹介します。

うつ病

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下が持続する精神疾患です。朝に症状が特に強く現れる「朝方悪化」という特徴を持つことが多く、目覚めた時から強い絶望感、倦怠感、思考力の低下などを感じることがあります。

その他にも、睡眠障害(不眠または過眠)、食欲不振または増加、体重の変動、集中力の低下、罪悪感や無価値感、希死念慮などの症状を伴うことがあります。朝の絶望感が日常生活に支障をきたすほど強い場合は、うつ病の可能性を考慮し、早めに精神科や心療内科を受診するようにしてください。

参考:NCNP病院「うつ病

適応障害

適応障害は、特定のストレス要因(仕事、学校、人間関係など)に直面してから3ヶ月以内に発症し、情緒面や行動面に症状が現れる精神疾患です。ストレスが持続している場合、朝に「今日もまたあの状況に向き合わなければならない」という強い憂うつ感や絶望感を感じることがあります。

日本ではこの10年で患者数が増えており、いつ誰が発症してもおかしくない疾患です。睡眠障害や不安、焦燥感、気分の落ち込みなども伴うことがありますが、ストレス要因から離れることで症状が改善することが多いとされています。

参考:J-Stage「日本における「適応障害」患者数の増加

睡眠障害(不眠症・過眠症など)

睡眠障害は、睡眠の質や量に問題がある状態を指します。不眠症や過眠症以外にも、睡眠呼吸障害や睡眠時随伴症(夢遊病、夜驚症、悪夢、レム睡眠行動障害など)も含まれます。

不眠症寝つきが悪い(入眠障害)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚める(早朝覚醒)、ぐっすり眠れない(熟眠障害)など。日中の疲労や集中力低下、気分変調を伴う。
過眠症夜に十分眠っているのに、日中に強い眠気が出てしまう。ナルコレプシーや特発性過眠症などが含まれる。

睡眠障害はストレスや精神疾患、身体疾患、薬の副作用、生活リズムの乱れなど様々な原因で起こります。症状が長引く場合は、睡眠専門医や精神科医に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

参考:NCNP病院「睡眠障害

病院に行くべき?朝の絶望感が続く場合の受診目安

朝に感じる強い絶望感がなかなか消えず、日常生活に影響が出始めている場合は、専門家のサポートが必要かもしれません。以下に、受診を検討する際の目安を3つ紹介します。

これらの目安に達していないと感じても、辛い気持ちが続くようであれば、遠慮せずに医療機関を受診してください。

目安1|気分の落ち込みや絶望感が2週間以上ほぼ毎日続いている

朝の憂うつ感や絶望感が一時的なものではなく、2週間以上にわたってほぼ毎日続いている場合は、注意が必要です。特に、目覚めた時から気分が沈んでいて、日中もなかなか回復しないといった状態が続く場合は、何らかの精神疾患のサインである可能性があります。

気分の落ち込みだけでなく、意欲の低下や倦怠感、食欲不振、睡眠障害などを伴う場合も、専門医への相談を検討しましょう。

目安2|日常生活(仕事・学校・家庭など)に支障が出ている

朝の絶望感が、仕事や学校への意欲を低下させたり、集中力を妨げたりして、日常生活に支障をきたしている場合も、受診の目安となります。

例えば、「朝起き上がることができず、遅刻や欠席が増えた」「家事が全く手につかない」「趣味や人との交流を楽しめなくなった」など、これまでできていたことが困難になっている場合は、無理せず専門家のサポートを求めてください。

目安3|死にたい気持ちや自分を責める気持ちが強くなっている

朝の絶望感とともに、死にたいと感じるようになったり、理由もなく自分を強く責めてしまう気持ちが強くなっている場合は、非常に危険な状態です。

決して一人で抱え込まず、すぐに精神科や心療内科を受診してください。また、そのような気持ちを誰かに話すことも大切です。信頼できる家族や友人、または相談窓口などを頼るようにしてください。最近ではチャットで相談できる機関も増えていますので、直接話したくない人でも気軽に話を聞いてもらえます。

参考:厚生労働省「まもろうよ こころ|困った時の相談方法・窓口

まとめ|朝の絶望感があるなら原因を知り適切な対処法を

朝に絶望感を感じる原因は多岐にわたります。仕事や学校へのストレス、慢性的な疲労や睡眠不足、将来への不安や自己否定感などが考えられます。このような感情が続く場合、うつ病や適応障害、睡眠障害などの精神疾患が背景にある可能性も無視できません。

朝の絶望感が2週間以上ほぼ毎日続いている、日常生活に支障が出ている、死にたい気持ちや自分を責める気持ちが強くなっているなどの症状がある場合は、専門医への相談を検討すべきです。

重要なのは、朝の絶望感は珍しいことではないものの、放置すべき問題ではないという認識です。原因を特定し、適切な対処法を見つけることで、朝の気分を改善し、前向きな一日をスタートさせることができます。辛い状態が続くようであれば、一人で抱え込まず、早めに専門家のサポートを求めるようにしてください。

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