メトホルミン

メトホルミン塩酸塩とは

メトホルミン塩酸塩は、2型糖尿病の治療に用いられる経口血糖降下薬(ビグアナイド系薬剤)です。インスリン分泌を促進するのではなく、主に肝臓での糖新生抑制や末梢での糖利用促進などの作用により、血糖値を下げる効果があります。国内外の多くのガイドラインで第一選択薬として推奨されている薬剤です。

主な特徴
  • インスリン分泌を促進せずに血糖値を下げる
  • 低血糖のリスクが比較的低い
  • 食後に服用する内服薬

メトホルミンを服用する前に知っておくべきこと

ここでは、メトホルミンを使用できない方や注意が必要な方、他の薬剤との相互作用について紹介します。使用前に該当していないか確認しておきましょう。

参考:KEGG「医療用医薬品:メトホルミン塩酸塩

メトホルミンを服用できない方(禁忌)

  • 乳酸アシドーシスの既往歴のある方
  • 重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m²未満)または透析患者
  • 重度の肝機能障害のある方
  • 心血管系・肺機能に高度の障害のある方
  • 脱水症の患者または脱水状態が懸念される方
  • 過度のアルコール摂取者
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の方
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある方
  • 栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全または副腎機能不全の方
  • 妊婦または妊娠している可能性のある方

メトホルミンの服用に注意が必要な方

  • 中等度の腎機能障害患者(eGFR 30〜60mL/min/1.73m²)
  • 軽度〜中等度の肝機能障害患者
  • 高齢者(特に75歳以上)
  • 低血糖を起こすおそれのある方(不規則な食事摂取、激しい筋肉運動など)
  • 感染症の方

メトホルミンと他の薬剤との相互作用

以下の薬剤を服用している場合は、相互作用が起きる可能性がありますので事前に医師へ相談しましょう。

併用禁忌(一緒に使用してはいけないもの)

アルコール(過度の摂取)

併用禁忌(一緒に使用してはいけないもの)

乳酸アシドーシスの
リスクを高める薬剤
ヨード造影剤
腎毒性の強い抗生物質(ゲンタマイシン等)
利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)
血糖降下作用を
増強する薬剤
糖尿病用薬(インスリン製剤、スルホニルウレア剤、
DPP-4阻害剤、GLP-1受容体作動薬など)
たん白同化ホルモン剤
サリチル酸剤(アスピリン等)
β-遮断剤(プロプラノロール等)
モノアミン酸化酵素阻害剤
血糖降下作用を
減弱する薬剤
アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン
卵胞ホルモン
利尿剤
ピラジナミド
イソニアジド
ニコチン酸
フェノチアジン系薬剤
その他の
注意すべき薬剤
OCT2、MATE1、MATE2-K阻害薬(シメチジン、ドルテグラビル等)
イメグリミン塩酸塩

この表に記載されている情報は一般的なものであり、個々の患者さんの状態によって対応が異なる場合があります。必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。

メトホルミンの料金

通常購入定期購入
価格1,382円(税込1,520円)1,244円(税込1,368円)

メトホルミンの服用方法

メトホルミンは、1日2〜3回に分けて食後に服用します。食後に服用することで、胃腸障害の副作用を軽減できます。空腹時に服用すると、胃腸障害が起こりやすくなります。

服用後の注意点
  • 発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良などの体調不良時は服用を中止し医師に相談する
  • ヨード造影剤を用いる検査の前は一時的に中止する(緊急時を除く)
  • 過度のアルコール摂取を避ける
  • 定期的に腎機能・肝機能検査を受ける
  • 乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、倦怠感、筋肉痛、過呼吸など)に注意する

メトホルミンの副作用

頻度の高い副作用

5%以上
  • 下痢

比較的多い副作用

0.1〜5%未満
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 腹部膨満感
  • 便秘
  • 全身倦怠感
  • 頭痛
  • 頭重

その他の副作用

0.1%未満または頻度不明
  • 消化不良
  • 胃炎
  • 胃腸障害
  • 放屁増加
  • 貧血
  • 白血球減少
  • 血小板減少
  • 肝機能異常
  • 眠気
  • 筋肉痛
  • めまい・ふらつき
  • 味覚異常
  • ビタミンB12減少
注意: 乳酸アシドーシスは重大な副作用で、予後不良のことが多いです。胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸などの症状があらわれた場合は、直ちに投与を中止し、医師に相談してください。また、低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、発汗など)にも注意が必要です。全身倦怠感や筋肉痛は乳酸アシドーシスの初期症状である可能性もあるので特に注意しましょう。

メトホルミンに関するよくある質問

メトホルミンに関するよくある質問とその回答を紹介します。

メトホルミンは体重に影響しますか?
メトホルミンは他の糖尿病治療薬と比較して体重増加が少なく、むしろ体重減少をもたらすことがあります。食欲抑制効果があるとの報告もあり、適切な食事・運動療法と併用することで、体重管理にも役立つ可能性があります。
乳酸アシドーシスとはどのような状態ですか?
乳酸アシドーシスは、血液中の乳酸が異常に増加して血液が酸性に傾く状態で、重篤な場合は死に至ることもあります。初期症状として胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸などがあります。

発生頻度は非常に稀ですが、腎機能障害、肝機能障害、過度のアルコール摂取、脱水状態などにより発症リスクが高まります。
メトホルミンを長期服用すると何か問題はありますか?
長期服用によりビタミンB12の吸収が低下することがあります。定期的な血液検査でビタミンB12の値を確認し、必要に応じてサプリメントの摂取を検討することがあります。それ以外には、適切な用量で使用する限り、長期服用による重大な問題は報告されていません。
メトホルミンの服用中に飲酒しても大丈夫ですか?
過度のアルコール摂取は乳酸アシドーシスのリスクを高めるため、メトホルミン服用中は避けるべきです。少量の飲酒であれば問題ないことが多いですが、お酒を飲む際には医師に相談し、適量を守ることが重要です。
メトホルミン低血糖になることはありますか?
単独での服用では低血糖は起こりにくいですが、他の糖尿病薬と併用した場合や食事量が極端に少ない場合などは低血糖症状(冷や汗、強い空腹感、手足の震えなど)が現れることがあります。

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